【教員のブラック労働:教師の情熱と過労死の狭間】

レトリカ教採学院、学院長の川上です。
 
 
「教師という職業は尊い仕事です。児童生徒の未来を育む使命感に溢れ、教育の根幹を支える存在です。」—このような美辞麗句で語られる教師の仕事ですが、その実態を知ると驚くべき現実が浮かび上がります。
 
長時間労働、休日返上の部活動指導、膨大な事務作業…。情熱があだとなり、過労死ラインを超える働き方を強いられる教員たちの姿を、ちょっと失礼ながらも、皮肉を交えつつ考察します。 
 



教員の1日は「タイムカードがない世界」


教員の勤務時間は、多くの学校で、タイムカードで正確には管理されていません。
 
なぜなら「教師は専門職だから」という建前があるからです。
 
朝の8時前には学校に到着し(早い人は午前6時過ぎには出勤するとか)、放課後は部活動を指導し、夜遅くまで事務作業をこなす日々…。
 
気付けば、労働時間は12時間以上に及ぶこともしばしばです。
 
さらに、休日も「授業準備」と称して教材作成や会議、研修、そして部活動指導に追われる教員は珍しくありません。
 
「やりがい搾取」という言葉がぴったりの状況ですが、教員たちはその現実を受け入れるしかない状況に置かれています。
 
「子供のため」という大義名分の前では、個人の健康や家庭生活は後回しになるのが実情です。
 
 


部活動という名の第二の仕事

 
日本の教員が抱える大きな負担の一つが部活動です。
 
本来、部活動は教育課程外の活動として位置づけられていますが、その運営を教員が担うのが当たり前となっています。
 
週末も生徒と一緒に大会や練習に参加し、教員自身がスポーツ指導や安全管理、保護者対応など多岐にわたる業務を行います。
 
とある中学校の教師は「休日に休めるのは月に1日だけ」と語ります。
 
この状況に疑問を感じる人も多いでしょうが、部活動が生徒の成長に寄与することは間違いありません。
 
しかし、それが教員の負担増に繋がり、結果的に心身の健康を蝕む事態は見過ごせません。
 
 

教員不足が拍車をかける現状

 
近年、教員不足が問題視されていますが、その背景には過酷な労働環境が影響していることは明白です。
 
若手教員は、勤務開始から数年で燃え尽き、離職を余儀なくされるケースも増えています。
 
また、採用試験の倍率も下がりつつあり、教職への魅力が失われている現状が浮き彫りになっています。
 
特に地方の学校では教員数が不足しており、一人当たりの負担がさらに増大しています。
 
こうした状況が続けば、教育の質そのものが低下する恐れがあり、日本全体の教育力に影響を及ぼす懸念があります。
 
 

改善への道筋を探る

 
では、この状況をどのように改善できるでしょうか?
 
いくつかの具体的な提案が挙げられています。
 

1. 部活動指導の外部委託

部活動を地域のスポーツクラブや専門指導者に委託することで、教員の負担を軽減することができます。
 
すでに一部の地域では成功例が見られ、全国的な早急な普及が期待されます。
 

2. 労働時間の適正管理

教員の労働時間を見える化し、時間外労働の削減を徹底する仕組みを導入します。
 
タイムカードの導入やICTを活用した業務効率化も有効です。

 
3. 教員数の増員と働き方改革

教員の採用数を増やし、一人一人の負担を軽減します。
 
また、授業準備や事務作業を補助するスタッフの配置も必要です。
 
 

結論:情熱が持続する環境へ

 
教員の情熱は、子供たちの未来を支える大きな力です。
 
しかし、その情熱を過酷な労働環境が奪い去るような状況は、教育界全体の損失と言えます。
 
教員が健康で、安心して働ける環境を整えることが、最終的には児童生徒たちのためにもなります。
 
「教育とは、誰かの犠牲の上に成り立つものではない。」
 
この言葉を胸に、教員の働き方改革を真剣に進めていく必要があるでしょう。
 
やりがいを持ちながらも、健全な生活を送れる—そんな未来が実現する日が早く来てほしいものです。
 

ではまた!

レトリカ教採学院
学院長
川上貴裕

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