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★最近、表紙買いしたマンガ『その蒼を、青とよばない』が深い!
マンガが好き過ぎて、マンガの貯蔵量が60,000冊を越えながらも、毎月新しいマンガを買い漁る僕が、2024年1月に思わず表紙買いしてしまったマンガである『その蒼を、青とよばない』(©文川あや/小学館)を紹介させていただきます。
その蒼を、青とよばない 概要・感想
『その蒼を、青とよばない』は、ざっくりとした概要でいうと「「先天性色覚異常」と呼ばれる色弱の特性を持つ大学1年生の水瀬蒼太が、ほかの人とは違う色彩で世界が見えていることを誰にも言えず、疎外感を抱きながら日々を過ごしていた中で、とある写真サークルが展示していた1枚の写真に目を奪われ、自分がやりたいことよりも先にできることを優先していた自分を変え、無理だと思っていた写真の世界へと一歩踏み出していく色弱者の青年が写真を通して世界を知る青春群像劇の物語」です。
個人的にこの作品を読んだ感想としてテーマをつけるなら「強烈なコンプレックスとハンデをどう捉え、写真を通してどのように乗り越えながら世界の彩りを知っていくのか」でしょうか。
同じ大学の2年生である彩月ひなたが撮影した「桜と虹の風景写真」は蒼太には2色にしか見えないが、それでもその写真に映る風景を実際に見ていた蒼太は、青くてきれいだと感じてその写真に惹かれるように捉え方が大きく変わっていきます。
「先天性色覚異常」を持つ男性は5%と少なくはないことが作中でも紹介されていますが、蒼太の場合は、茶色と緑色の見分けがつかずに友人から勧められたお菓子で色の判断がつかず嫌いな抹茶味を選んでしまったり、バイト先で商品の色で説明されるとその色が判らなかったりと、日常で少しの不自由をしながら暮らしています。
また幼い頃に絵画教室に通うも色の選び方で、友だちから子どもながらの「変だよ!おかしいよ!」というキツめの言葉にふれてきたこともあり、自分の目に映るものはほかの人と違うというコンプレックスを感じていて、僕のようなあまり知識のない一般人にはハンデがあると捉えがちです。
「桜と虹の風景写真」に一目惚れしたことをきっかけに、同じ写真サークルに入部し、色覚異常があることはひなた以外には秘密にしながら、ほかの人と違った世界を見ている蒼太だからこその伝えられるもの・表現できるも、そして蒼太自身が写真で撮りたいものを模索していきます。
写真に興味を持ったことで、同じ色覚異常を持っていてもプロのカメラマンとして活躍している人の存在を知ったり、写真サークルで実際に一眼レフカメラを初心者ながら触っている中で色がないからこそできるモノクロという表現を知り、蒼太は徐々に世界を広げていきます。
また写真サークルでは同級生の鳥井茶佑と出会うも、彼はプロの写真家を親に持ち、写真へのこだわりが強くて意識が高くいために初心者の蒼太に対して当たりが強かったり、アルバイト先のコンビニが同じになり、蒼太の色に対する違和感から蒼太が「先天性色覚異常」であることを知りますが、それでもなお「自分の本当にしたいことは何なのか?」と蒼太に強く問いかけてきます。
このようなやり取りもあり、蒼太が「自分がやりたいこと」よりも「できること」を優先していたことや嫌いだと思っていた絵や写真などの色に関わることが好きだったんじゃないかという自己分析が始まります。
この過程を見ると嬉しさを感じずにはいられませんし、これから先、蒼太たちが表現していくものや関係性によって生じていく感情の色合いが楽しみです。
冒頭の蒼太とひなたの出会いからとても雰囲気が良くて、この2人がどんな関わり方をしていくのか、恋愛要素の展開になっていくのか、そんな関係性によって蒼太が表現していくものが自分の感情によって色づいていくのだろうなと楽しみな部分でもあります。
コンプレックスとどう向き合っていくのかは、自分1人ではなく他者との関りが必要だと感じますし、蒼汰がひなたであったことは蒼太にとって大事な出会いだったのかなと思いますし、これからどうやって色やカメラに関わっていくのか、コンプレックスに向き合っていくのか楽しみです。
僕個人の余談ですが、タイトルに『青』や『ブルー』などの単語があると名作率が高いなぁと思っていて、勝手に通称:「青の法則」が僕の中で密かに存在するのですが、この作品も心が動かされる最高の作品だと思います。
まだ物語は始まったばかりでこれからの展開が気になりますが、僕自身、「先天性色覚異常」を持つ人が想像より多くいて、身近な人にもいるのかもと知り、同じ世界を見ていても同じようには見えていないとは思ってもいなかったので、主人公を通して新たな世界の見え方に気づきましたし、もっと多くの人に知ってほしいと思う読み応え抜群&次巻がとても気になる作品ですので、ぜひ興味のある方は読んでみて損はないと思います!
その蒼を、青とよばない 名言一覧
自分ではどうにもできないこと、生まれ持った特性、それは“個性”だと誰かが言った。
水瀬 蒼太
蒼天にかかる虹を、ひらひら舞う桜を、とても綺麗だと思う。自分の眼に映る景色が、他の人に見えているそれとは違っていても。
水瀬 蒼太
見分けづらいことはあるけど色が全くわからないわけじゃないし、信号の色の違いも認識できる。でも普通の人と同じ色を同じように見ることはできない。これまでもこの先も変わらず、ずっと。
水瀬 蒼太
……鳥が翼をなくしたら不便と感じるだろうけど、最初から翼がなければ飛んでみようとも思わない。自分にとっての「色」もそれと同じた。ただたまに少しだけ、自由に空を飛ぶ翼を、普通の色を映す視覚を羨ましく思う瞬間があるだけで。
水瀬 蒼太
あの虹を見て俺も綺麗だと思ったけど、俺の「綺麗」とあの人の「綺麗」はたぶん全く別のものだから。
水瀬 蒼太
虹って普通は7色に見えるんですよね?
俺にはその虹、2色にしか見えてないんです。
水瀬 蒼太
普通の人と同じ色。同じ世界が見えないからわからない、伝わらないって最初から諦めて、“やりたいこと”より先に“できること”が何かいつも考えてた。
水瀬 蒼太
自分の目に映る景色の色が変わったわけじゃない。けど、あの人に出会って世界がほんの少しだけ鮮やかに色づいた気がした。
水瀬 蒼太
色がなくても、ーー色がないからこそ表現できる世界がある?モノクロなんて全然思いつかなかったけど、陰影をヒカリをモノクロだから活きる構図を探していくのも楽しいかもしれない。
水瀬 蒼太
やりたいこと。撮りたい何か。みんなどうやって見つけたんだろう。俺はいったい、どうやって見つけたらいいんだろう。
水瀬 蒼太
今まであんまり意識したことなかったんですけど、普段から何かを選ぶときも俺、好きだからっていうより無難な方を選んでる気がして…。
水瀬 蒼太
“写真は無理”って諦めていたのと同じで、他人と違うから苦手だって、好きなわけないって決めつけていたのはーー。
水瀬 蒼太
水瀬くんに見えてる色が私と違ったとしても、あのとき私の写真を見て「綺麗だ」って思ってくれたんでしょ?だったらそれで十分じゃない?
彩月 ひなた
見えてる色が同じでも違っても、私は見てみたいな。水瀬くんが世界をどう写すのか。
彩月 ひなた
色のないモノクロは表現の幅が狭い印象があるかもしれないけど、陰影やコントラストが大事になるし、シンプルだけど奥が深いよ。モノクロだからこそ活きる表現もたくさんあるし。
天野 翠
あれが好きなのにモノクロにいくの意味わかんないんだけど。なんとなくオシャレだから?かっこいいから?他人と違うことしたら目立つと思ったから?俺、そーゆーの好きじゃないんだよね、全っ然自分がない感じで。
鳥井 茶佑
それって考えたら出てくるの?話し合いになんてならないんじゃない?俺は撮りたいものが何もないならカメラやる意味ないと思うけど。
鳥井 茶佑
“なんでもいいから写真を撮りたいからカメラを始める”人って多分少数派で、普通は先に“撮りたいもの”があるんだよ。飼い猫の可愛い仕草とか、旅行の綺麗な景色とか、子供の成長とかそういうの。
鳥井 茶佑
俺には水瀬くんの見え方なんてわからないし、できるかどうかも知らないよ。…だからこれは俺がそう感じたってだけの話だけど、水瀬くん本当は“色”が好きなんじゃない?
鳥井 茶佑
違うから何?違うだけで別に見えてないわけじゃないんでしょ?他人と違うとかそんなことばかり気にしてたら、好きなものもテーマも永遠に見つからないと思うけど。
鳥井 茶佑
え、できることじゃなくてやりたいことじゃね?この場合。
ヒロ
いや別に無理じゃねーだろ。お前すぐ無理とか言うけどさ、有名な作曲家でも耳の聞こえない人いたじゃん。
ヒロ
人間、本気でやろうと思ったらわりとなんでもできるって。
ヒロ
いかがだったでしょうか?
学校や会社、その他の組織に所属していて、「落ち込んでいるとき、疲れているとき、悩んでいるとき、そして、少しでもあなたが夢に向かって突き進むとき、壁が現れたとき、壁を乗り越えるとき」に、モチベーションを上げてくれたり、グサッと心に刺さったり、物事の見え方が変わるヒントを見つけてもらえたら嬉しいです。
それでは今回はここまでです。
最後まで読んでいただきありがとうございました!