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星を編む 【ネタバレあり】

彼氏が読みたいというので、大学の図書館で借りてきた本。
『汝、星の如く』の続編?的な立ち位置だけど、『汝、星の如く』が大人気で借りられなかったのでこっちを先に読んだ。
心をいっぱい使うお話だった。

中でも私が一番気持ちを揺さぶられたのは、最初のチャプター。
高校教師の北原先生と、医者の娘の明日見さんがメインで登場する。立場は違えど、自分ではどうしようもできないしがらみの中で生きている二人。

どちらかというと私は明日見さんの立場に共感しやすい背景を持っていて、彼女にだいぶ感情移入してしまった。
私たちの痛みは理解されづらいどころか、つらさを主張することが嫌味ったらしく聞こえるんじゃないかっていう遠慮をせざるを得ない。
だから私は、誰かに自分の苦しさを理解してもらうなんて、とうに諦めたつもりでいた。

だけど、北原先生は明日見さんのことを理解して、受け入れて、守った。
目から鱗が落ちるような思いだった。
実在する人間ではないとわかっていても、現実世界にも希望を持ちたくなる。

その後の展開も素晴らしかった。
二つ目のチャプターまでは短編集だと思って読み進めていたら、その後からどんどん、パズルのピースがはまるように、世界が繋がっていく。
登場人物が出揃った時、あ、こことここが繋がってるんだ、と推理小説的なおもしろさも味わえる。

彼氏が読みたいって言った本だけど、彼氏に読ませるには、登場人物がいとも簡単に離婚してしまう気がする。わがままを言わせてもらうと、そういうところには影響を受けずに楽しんでほしい。
人間関係は儚いものだということなのかな。儚いからこそ、それでも他人と手を取り合おうとする姿は、確かに、美しい。

やっぱり、『汝、星の如く』を読んでいないからわからない部分もあって、何としても前編を読まなければという気持ちになった。
また感想文をここに書きに来たい。

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