いいね1番乗り
いいね二万三万、というツイートが回ってくると、内容をみずにいいねを押してしまっていた。
良くない。
内容を見てもきっといいねを押すくらいには素晴らしいツイートなのだろうから、いいねは押すと思う。結果としてはおそらく変わらない。
それでも、良くないなと思う。
人がすごいと言ってるから、すごいと自分も言ってしまう。
鬼滅の刃あたりで、それに気付いて自分にゾッとした。
音楽の好みを人に話すと、「振れ幅デカイよね」と言われる。
当然だ、友人が好きな曲は好きになったし、なんなら大ヒットした曲の大概は好きになるまで何度も聞いた。
私は、人気があるものが好きなのだ。中身じゃなくて、数字。
だから、インディーズバンドも新人作家もいいねがひとつもついてないけど笑っちゃったツイートにも、いいねなんて飛ばしたことなかった。
でもこの前、面白いな、と思ったツイートのいいねを押してしまった。まだ誰もいいねしてなかった。いいね一番乗りだった。
キラキラとハートが瞬いて、ちょっと膨らんで元に戻った。いいね一番乗りのエフェクトが可愛らしくなっていた。
嬉しくなった。
良く頑張って褒めたね!と褒めたことを褒められたような、子供みたいなピュアな嬉しさだった。つきものが落ちたように、スマホを握る手の力が抜けた。
それからは、好き!と感じたものにためらわずいいねするようになった。
クスッと笑えた、ドキドキした、腹がよじれた、深くショックを受けた、自分のハートが瞬いたものには、残らずいいねをするようにした。
楽しい。とても楽しい。私が知らない私の好みがわかってきた。私のツイートのいいね欄が、だんだん私の好みという色がつき始め、自分の好みとは何かわからなくなっていた私に「好み」を見せてくれた気がした。
だから、これからはいいね一番乗りをもっとやろうと思う。今は誰も見ていないけど、私のハートを瞬かせてくれたお礼を込めて,いいねを押そう。
そう思って、「好きなものは褒めていこうな」とツイートした。
そのツイートに、いいねを押した。一番乗りである。
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