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都流茶道って知ってますか?

 茶道というと、表千家・裏千家・武者小路千家という3つの流派ぐらいしか聞いたことがないという方がほとんどだと思います。

 茶道の流派は廃れた流派も含めると500以上あると言われています。

 そんな中でウチの流派「都流」を知ってる方はごく一部(笑)

 ホントに知られてない流派なんですよ。

 正式な流派名は「表千家都流」と言いまして、名前だけ聞くと表千家の分派に聞こえますが、全く関係ない流派です(苦笑)

 江戸千家の一派、川上宗順宗匠のお流派が「表千家不白流」と名乗られているのに少しだけ似てますかね?

 都流の家元は「荒木草榮」と云います。
 先代は荒木宗仙。先々代は荒木玉仙。

 先代が急に亡くなってしまったため、当代の家元は宗仙を継がなかったそうです。三代続いて女流家元が続いておりますが、次代は男性の家元の予定です(若宗匠が当代の息子さんなので)。

 荒木という姓でピンッ!と来た方は歴史にかなり詳しい方かも知れませんね。

 そう、家元家は、荒木村重の末裔です。

 嫡流ではない(荒木村次の家系ではない)のですが、村重の末裔であることは変わりません。

 肥後細川氏に仕え、熊本に移住し、お東さんと呼ばれる法華のお寺に伝わってきたのが当流です。

 流儀として茶道団体になったのは大正十三年、先代家元が表千家都派という流派を受け継いで教義を家伝のものに改めた時からだそうです。

 当代は「茶道は左手でするもの」とおっしゃいまして、茶道を稼ぐ手段にしないようにと指導されています。

 これは「客に媚びないこと」と「弟子を叱れなくならないこと」を念頭にした教えだそうで、確かに仰る通りです。

 都流の教義としては、他流からすると古いとされる改められた手が数多く残っていることが挙げられます。

 細かい違いは挙げるときりがないですが、大きな違いを挙げますと……

1.飾り残しがない
 飾られていた道具は飾って帰る、持ち出した道具は持って帰るというようになります。

2.小帛紗も出帛紗も使う
 唐物には出帛紗、国焼には小帛紗というように、どちらの帛紗も使います。

3.柄杓は建水から合を離さず蓋置を取る
 建水から蓋置を取る際に柄杓の合を建水から離さず、柄だけを持ち上げて蓋置を取ります。

4.点前座には必ず正面を向いて坐る
 裏千家さんのように、斜めを向いて坐ることがありません。

5.外隅狙い・内隅狙いがない
 完全に無いわけではないのですが、台目席でしかやらないので、広間や小間ではいたしません。斜め四十五度に向きます。

6.台子の総飾りの際に火箸を前にして飾る
 これは三斎流や有楽流(貞置流)と同じです。火箸を後ろにした場合、火箸には触りません。

 挙げればまだまだありますが、ざっとこんなもんでしょうか。

 これらは桃山時代からずっと荒木家に伝わってきた教えであり、三斎流・有楽流とともに利休十哲の流派であることに変わりはありません(二つの流派に比べるとマイナーですし、知名度もありませんが)。

 流儀としての成立は大正十三年と新派と呼ばれる流派の仲間ですが、表千家や裏千家成立以前からの大変古い流儀になります。

 勿論、古ければいいというものでもありませんが、私が個人的に調べている限りにおいて、利休時代の点前に最も近い流派の一つと言えるかと思います。

 折角縁した流派なので、出来るだけ多くの人に知ってもらい、次の世代に繋げていきたいと思っています。

都流茶道教室月桑庵

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