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【書評・感想】君たちはどう生きるか?吉野源三郎著


この本は、14歳で中学生のコペル君(本田潤一君)の生活を題材にして、生きていくうえで大切な価値観や道徳・倫理について書かれた本です。コペル君のおじさんが主に手紙を通して、コペル君に大切なことを伝えていく形式となっています。
実際に、この本に出てくるような出来事に近い経験を私もしたことがあるので、身につまされる思いで読みました。
これから生きていくうえで、大切にしていこうと思う考え方に出会うことができたので、とても良い本でした。
考え方をもう一度見直そうかなと思っているかた、何か面白い本ないかなと思っている方におすすめの一冊です。


著者紹介

吉野源三郎

編集者、児童文学者、評論家、翻訳家、反戦運動家、ジャーナリスト等

代表作・・・君たちはどう生きるか

雑誌「世界」初代編集長、岩波書店常務取締役等


印象に残ったポイント


"生産者”

無論、誰だって食べたり着たりしずに生きちゃあいられないんだから、まるきり消費しないで生産ばかりしているなんて人はいない。また、元来ものを生産するというのは、結局それを有用に消費するためなんだから、消費するのが悪いなどということはない。しかし、自分が消費するものよりも、もっと多くのものを生産して世の中に送り出している人と、何も生産しないでただ消費ばかりしている人間と、どっちが立派な人間か、どっちが大切な人間か、こう尋ねて見たら、それは問題にならないじゃあないか。

君たちはどう生きるか 吉野源三郎著 岩波文庫

消費者と生産者の視点について考えるきっかけとなりました。生産するというイメージですぐに思い浮かぶのは自営業で商品等を生産している人だと思います。ただ、商品以外にもサービスであったり、生産の形態は様々だと思います。そのため、働いていれば何かを生産することに必ず携わることになると思います。
しかし、会社でも新しいことを考えて業務に取り組み生み出す人と前年踏襲であまり考えずに仕事を進めてしまい、あまり生み出すことが出来ない人がいると思います。わたしはどちらかというと後者です。何となく前のやり方で仕事を進めてしまうことがあります。やはり、自分が行っている業務について意味を考え、日々工夫して業務に取り組んでいくことが大切だと感じました。
また、いつか個人でも生産者になりたいと思いました。今の時代、様々な形で生産者側に回れると思います。生産者になるために、勉強を継続して行い自分にできることを少しづつ増やしていくことが大切なのかなと思いました。

”強い人”


君も大人になってゆくと、よい心がけをもっていながら、弱いばかりにその心がけを生かし切れないでいる、小さな善人がどんなに多いかということを、おいおいに知ってくるだろう。世間には、悪い人ではないが、弱いばかりに、自分にも他人にも余計な不幸を招いている人が決して少なくない。人類の進歩と結びつかない英雄的精神も空しいが、英雄的な気魄を欠いた善良さも、同じように空しいことが多いのだ。君も、いまに、きっと思いあたることがあるだろう。

君たちはどう生きるか 吉野源三郎著 岩波文庫

ナポレオンのくだりでこの話がでてきました。ナポレオンは戦いに敗れ、囚われの身になって民衆の前に姿を見せたとき、決してみじめな姿は見せず堂々と振る舞っていたそうです。そして、その毅然とした姿に民衆は感動を覚え、自然と拍手が起こったそうです。ナポレオンが語り継がれているゆえんだと思いました。ナポレオンの伝記を読んでみようかなと思いました。
さて強い人とは、一体どんなひとなのでしょうか。
私は、”どんなことが起こっても動じずに冷静に立ち振る舞える人”だと定義しました。そういう人になれるように余裕を常に持てるようにしたいと思います。余裕を作れる人になりたいです。

”失敗から学び立ち直る”


どんなにつらいことでも、自分のした事から生じた結果なら、男らしく耐え忍ぶ覚悟をしなくっちゃいけないんだよ。考えてごらん、君がこんどやった失敗だって、そういう覚悟が出来ていなったからだろう?一たん約束した以上、どんな事になっても、それを守るという勇気が欠けていたからだろう。

君たちはどう生きるか 吉野源三郎著 岩波文庫

また過ちを重ねちゃあいけない。コペル君、勇気を出して、ほかのことは
考えないで、いま君のすべきことをするんだ。過去のことは、もう何としても動かすことは出来ない。それよりか、現在のことを考えるんだ。いま、君としてしなければならないことを、男らしくやってゆくんだ。こんなことでコペル君へたばっちまっちゃあダメだよ。

君たちはどう生きるか 吉野源三郎著 岩波文庫

人間である限り過ちは誰にだってある。そして、良心がしびれてしまわない以上、過ちを犯したという意識は、僕たちに苦しい思いをなめさせずにはいない。しかし、コペル君、お互いに、この苦しい思いの中から、いつも新たな自信を汲み出してゆこうではないか、正しい道に従って歩いてゆく力があるから、こんな苦しみもなめるのだと。

君たちはどう生きるか 吉野源三郎著 岩波文庫

僕たちは自分で自分を決定する力を持っている。だから、誤りを犯すこともある。しかし、僕たちは自分で自分を決定する力を持っている。だから、誤りから立ち直ることもできるのだ。

君たちはどう生きるか 吉野源三郎著 岩波文庫

私は、持病が悪化し2ヶ月間入院していました。仕事が忙しい時期に離脱してしまったので、本当に職場の方に迷惑をかけて申し訳ない気持ちでいっぱいでした。
おそらく職場の人の中にも、私のことを良く思っていない人もいることでしょう。また、信頼も失われてしまったと思います。
過去のことは変えられない。今できることを精一杯頑張ることしかできないんだと再認識しました。
また、日常生活においても、友人や恋人、家族などになんであんなことを言ってしまったんだろうと後から後悔してしまうことがあります。本当に誤りを犯してばかりです。
”僕たちは自分で自分を決定する力を持っている。だから、誤りを犯すこともある。しかし、僕たちは自分で自分を決定する力を持っている。だから、誤りから立ち直ることもできるのだ。”
この言葉が特に胸に染みました。

最後に


この本は、今まで読んできた本の中でもトップクラスに印象に残っている本です。内容も濃いですし、小説のような形式で読みやすいのでぜひ読んで観てください。


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