トレーナーで生きていく ・ 独立編 vol.28
第28話「売り方は寿司屋に学ぶんや。」
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突然リョウに呼び出されたユウタは寿司屋のカウンターに座っていた。
ホームページがリスティング広告の審査にかけられた数日後の事だった。
リョウ「急に呼んでごめんな。大丈夫やった?」
ユウタ「はい、全然。それで、、リスティング、どうでしたか。。通りましたか!?」
リョウ「おお、おめでとう。今日審査終わって、いつでもスタートOKや。」
ユウタ「おっしゃー!!それで今日は寿司屋なんですね!ありがとうございます!」
リョウ「違うわ。まだ審査通っただけやろ。」
ユウタ「あ、そうすね。確かに。」
リョウ「今日、ココに来たんは、ユウタ君にどうしても伝たい事があったからなんや。」
ユウタ「えっ、なんですか?」
リョウ「まぁ、じきにわかるわ。」
ユウタ「はぁ、」
店員「お待ちどう様です。」
キモノ姿の綺麗な店員が2人の前にビールを置く。
リョウ「ほな、乾杯や。第一関門突破おめでと。」
ユウタ「ありがとうございます!」
2人はビールを半分程飲み干し、グラスをカウンターに置く。
ユウタ「いや、しかし良いお店ですね。銀座の一等地なのにこんなにゆったり座れて。。」
リョウ「そうやな、ビールも美味いわ。」
2人の前に板前が現れる。
板前「リョウくん、お待ちどう。今夜は男の子とデート?」
リョウ「ハハハ。友達のユウタくんです。最近出会ったばっかですわ。」
ユウタ「い、いえ、違います。リョウさんは仕事の先輩です。」
板前「ハハハ、冗談だよ。板前の松田です。ユウタくんは食べられないモノとかない?」
ユウタ「いえ、大丈夫です。何でも!」
板前「あいよ!」
板前は調理に入る。
ユウタ「リョウさん、ココ良く来るんですか?」
リョウ「おお、寿司屋はだいたいココやな。板さんは毎回松田さんやし。」
ユウタ「へー、毎回同じ板前さんなんて偶然ですね。」
リョウ「偶然やない。松田さんに直接頼んどるんや。」
ユウタ「。。。」
板前「はい、まずはコレね。」
2人の前にワカメが出される。
ユウタ「いただきます!」
ユウタはワカメを箸でつまみ口に運ぶ。
ユウタ「!!」
リョウ「美味いやろ。」
ユウタ「うま、ワカメってこんなに美味いですっけ?」
リョウ「ハハハ。ほんまビックリするよな。」
ユウタ「それで、すみません。本題はなんなんですか?」
リョウ「まぁ、食べや。」
ユウタ「はぁ。。」
二人は板前のすすめるままに食べ続ける。
ユウタ「いやー、何食べても美味いっすねー。」
板前「ウニ、お待ち。今日のウニは美味いよ。」
口に入れるふたり。
ユウタ「んんん、、、、、。」
リョウ「美味いなぁ。。。」
ユウタ「これ、言葉になんないですね。。。」
リョウ「ユウタくん、これ一貫いくらやと思う?」
ユウタ「え?いやぁ、こんなに美味しいんだから1000円くらいするんじゃないですか?」
リョウ「これ単品やったら3000円以上するで。ねぇ松田さん。」
板前「ハハハ、そうだね、今日のウニはそれくらいかな。良い目利きしてるよ。」
ユウタ「えっ、嘘でしょ!?」
ユウタは流石に高すぎると感じた。
リョウ「。。。」
1時間後、寿司を食べ終えた二人は最後のお茶をすする。
リョウ「ふー、美味かったな。。ほな出るか。お勘定しとくからユウタくんは先に外で待っとって。」
ユウタ「え、はい、良いんすか?」
リョウ「出世払いや。」
ユウタ「ありがとうございます!がんばります!」
板前「ユウタくん、今日はありがとう!これ俺の名刺だ。連絡先書いてあるから、美味い寿司食べたくなったらいつでも連絡くれ!」
ユウタ「えっ、あ、はい、今度は自分のお金で来れるようにがんばります!」
板前「おお!待ってるぞ!」
リョウ「。。。。」
二人は店を出て、まだ寒い銀座の街を歩いた。
リョウ「ユウタくん、もう少しだけ飲んでくか?近くによく行くバーがあんねん。」
ユウタ「あ、はい良いすよ。」
二人はバーに入り、カウンターに腰掛けた。
リョウ「ハイボール2つお願いします。」
店員「はい。」
ユウタ「ハイボールすか?」
リョウ「おお。」
ユウタ「いやぁ、それにしてもお寿司美味しかったですね。ところであの。。全部でいくらだったんですか?お酒も結構飲んだし。。ウニだけで3000円以上って言ってたし。。料金表とかないし、、大丈夫でした?。。。」
リョウ「おお、料理だけで1万5千円や。一人前な。」
ユウタ「えっ、本当ですか?」
リョウ「おお、思ったより安いやろ?」
ユウタ「は、はい。。。」
リョウ「これが今日君に伝えたかった事のひとつ目や。」
ユウタ「え?と言うと?」
リョウ「今日の寿司屋の料金をパーソナルトレーニングに置き換えてみい。」
ユウタ「え。。。?」
リョウ「ユウタくんはウニ一貫3000円は高いと思ったけど、全体が1万5000円やったら安い思ったんやろ。」
ユウタ「はい。。」
リョウ「パーソナルの売り方に似とると思わん?」
ユウタ「!?」
リョウ「どんなに良いもんでも、単品じゃ高いと思われる。パーソナルもそうや。1本じゃ高いと思われるんや。だからコースにして全体で満足してもらうように考えんといかん。」
ユウタ「なるほど、確かにそう考えると、俺のパーソナルコースもやれる事はまだまだ沢山ありそうですね。」
リョウ「そうや。筋トレ教えるだけやなくて、契約期間は食事のアドバイスも毎日してあげられるやろ。レッスン以外のトレーニングメニューも組んで管理してあげられる。メンタルだって相談してあげられる。やれる事は沢山ある。こんなん全部してくれたら15万円でも安い言う人は沢山おる。10回コースだから言うて10回トレーニングするだけじゃダメなんや。」
ユウタ「。。」
リョウ「人の繋がり言うんは大事やで。さっきの松田さんが最後に名刺くれたんも嬉しかったやろ。今日で最後やないねん。また行ったら松田さんに会えるんや。また松田さんに会うの楽しみやん。頑張ろ思うやん。そんなんもパーソナル契約のサービスには入っとんねん。」
ユウタ「そうか。。。」
リョウ「。。。。」
リョウ「そんでな、こっからはちょい厳しい事言うで。今後君に沢山パーソナルの問い合わせが来るかもしれん。せやけど今の時点では君の実力でお客様が来るんやないって自覚しとけよ。リスティング広告の力で来るんや。」
ユウタ「。。。」
リョウ「お客様にガッカリされとうなかったら、必死で15万円のサービス作るんや。」
ユウタ「。。!」
リョウ「パーソナルトレーナーはトレーニングだけ教え取ったらダメや。ウニだけ売っとっても高い思われる。安いけど美味いワカメも出さんといかん。」
ユウタ「はい。」
リョウ「よっしゃ、そしたら予約一発目が来る前に15万円のコース作ろか!」
ふたりの熱い夜がまた始まった。
つづく・29話へ
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