kazuya fukuda / ハンドパン奏者

ハンドパンという、悪魔的魅力を持つ楽器の虜になった家具職人、木工旋盤講師。 長崎県出…

kazuya fukuda / ハンドパン奏者

ハンドパンという、悪魔的魅力を持つ楽器の虜になった家具職人、木工旋盤講師。 長崎県出身、岐阜県在住。 山とスキー、楽器演奏と野田知佑の文章が好き。 ハンドパンという楽器に夢中になった経緯や、好きなハンドパン奏者の動画、その他色々書いてみます。

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ハンドパンという悪魔的魅力の楽器に出会った話。第一話

2023年、春。 見るとは無しに携帯を眺めていた私は、ある奇妙な動画を見つけた。 小さな画面の中で、地下鉄のホームらしき所に座る、少しくたびれた服を着た痩せた髭面の男が、膝の上にちょこんと乗せた不思議な形をした物体を、両手の指先で素早く叩いている。 その物体はどうやら艶消しの金属で出来ている楽器らしく、姿形はどう見ても大昔のSF映画に出てくるアダムスキー型UFOにしか見えない。 その楽器の上半分には七、八個の凹みが円周状に並んでおり、その部分を指先で正確に叩くことで音

    • 一年後、私はこの世にいないと分かったら 第五話

      あなたがもし、自分が一年後にはこの世から去ると知ったとしたら、一体どうするだろう? 私も含めて多くの人は、この問いに対して、見て見ぬ振りをするかも知れない。 別に健康に不安も無いし、あと一年しか生きられないなんて有り得ない。 だが、本当にそうだろうか。 よく考えてみてほしい。本当はこの世の中の誰もが、一年どころか明日の夕方まで生きていられるかどうかも確実とは言えないのだ。 ほとんどの人は、日常の忙しさにかまけて、あるいは今まで無事に過ごせてきたからという理由で、その

      • 短すぎたハンマーと可哀想なハンドパンの話 第四話

        四万円も払って、叩くほどに気持ちが悪くなるハンドパンを手に入れた私は、すっかり腹を立てて、それを物置きに放り込んで、ふて寝をした。 だが、いくら見ないふりをしても、例のかっこいい曲を今すぐにでも演奏したいという情熱は簡単には収まらない。 しばらく悶々とした私に、ある素晴らしいアイデアが閃いた。 「長年ギターをやってきた俺なら、この狂ったハンドパンを正しくチューニング出来るんじゃないか?いや、意外と簡単に出来てしまうに違いない!」 またまた謎の自信を悪い方向に発動させた

        • 狂ったハンドパンとブンブク茶釜の話 第三話

          例の動画を繰り返し120回ほど見て、すっかりハンドパンとか言う怪しげな楽器に魅了された私は、すぐに行動を起こした。 実は普段から私は、何か面白そうだと思った事は、すぐにやってみる方である。何事も最初の熱量が多いうちに始めないと、結局冷めてしまってやらないからだ。 今まではそのやり方で結構上手くいってきたのだ。 だが、今回ばかりは裏目に出ることになる。 後になって分かるのだが、脳の九割をハンドパンの魅力にやられていた私は、初めてハンドパンを買う時に最もしてはならないと言わ

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        ハンドパンという悪魔的魅力の楽器に出会った話。第一話

          ハンドパンという悪魔的魅力の楽器に出会った話。第二話

          気がつくと動画は終盤に向かっていた。ガランとした地下鉄のホームに入って来た列車の轟音と、それに続く英語のアナウンスと混じり合うようにして演奏は終わった。 映像のタイトルから、どうやらこの男がSam Maherという名前で、奇妙な楽器はハンドパンと言うらしい事が分かった。 しかし、この手作り感満載の楽器から放たれる、何とも形容し難いマットな質感を持つ魅惑的な音は、一体何なのだろう。 素焼きの陶器の肌がそのまま音符になったような響きは、時に優しく、油断すると突然、割れ鐘を叩

          ハンドパンという悪魔的魅力の楽器に出会った話。第二話