ラクダを美味しく食べる夜
先日、カイロから少し足を伸ばして、キルダーサというピラミッドサイト方面にある町へ、ラクダのケブダ(内臓)を食べに行ってきた。お店の名前はそのものずばり、
Shaykh Muhammad Kebda Gamali
なんとインスタのアカウントもある。
https://www.instagram.com/kebdagamaly?igsh=MWhsZzc2b2Z2dG9wZA==
タクシーの運転手のおじいさんによると、この通りはぜーんぶラクダのケブダ屋らしい。「クーーッル・ケブダ・ガマリー!」と言っていた。
倉庫か、車の整備工場のような見た目の広い入口レストラン。
中もびっくりするほど広い。
プレハブのような建物なのだが、内装は一部ベドウィンのテントの中のような、ちょっとおしゃれな小上がりになっており、食事を終えた人たちがほっと一息つけるスペースになっていた。
ラクダを食す
面白いのがケブダを焼いて食べるテーブル。銀の大皿のようなプレートを直に熱して、目の前で調理してもらい、そのままそれをテーブル代わりにして食べる。
遊牧民の調理スタイルもこんな感じなのだろうか。
牛のケブダも食べたことがあるが、他のグリルレストランではこういうテーブルを見たことがないので、ラクダのケブダ専用なのかもしれない。
頼んだのは、ラクダのレバー、心臓、腎臓(多分)の盛り合わせと、牛肉・鶏肉のグリル盛り合わせ。
下の写真は、前者のラクダのケブダミックス。味付けは、スパイスとトマトとトウガラシだ。
「へー、目の前で料理してもらえるのか」と思って待っていると、やってきた調理担当者は、なんと小学生くらいの男の子だった。
児童労働では、という言葉を飲み込み、早速目の前で焼いてもらう。
小さい子だと侮るなかれ、男の子は慣れたもので、大きなフライをサッサッと動かしながら手早く調理していく。
「辛い味付けが良い?どのくらい?」
「味見してみて、味付けはどう?」と堂々とした接客で、思わず大げさなほど「美味しいよ、ありがとう!」と口々にいう大人たちであった。
私はもともと、鳥のレバーも牛のレバーも苦手であまり食べないのだが、このラクダのレバー盛り合わせはびっくりするほど美味しかった。
心臓と腎臓もコリコリとした歯ごたえで、うっすらと羊肉のような獣っぽさはあるものの、臭味は全くない。
トマトとトウガラシの味つけがまた良くて、さっぱりとした味に仕上がっていた。
ラクダのケブダの他にも、コフタとチキン・ビーフのグリルを頼んだのだが、このコフタがまた美味しい!
私も友人たちも「ここのコフタが今まで食べたものの中で一番!」ということで意見が一致した。
以前、ブーラークにあるケバブの有名店にも行ったことがあるが、正直に言うとそこのコフタよりもこの店のもののほうが数段美味しかった。
ラクダミルクの効用
こうしてラクダもグリルも存分に味わったあと、帰りがけにこんな張り紙を見つけた。
ボトル1本500mlが60LE。
牛乳に比べると2倍弱する。それでもレストランの入口近くにあるカウンターには、客がひっきりなしにやってきて、ラクダのミルクを買い求めていた。
試しにということで、私達も買ってみた。
味は、牛乳を想像していると大きく裏切られる。
牛乳というより、ヨーグルトのホエイに似たようにあっさりとしていて、薄い。しかも後味はしょっぱい。不思議な味わいだった。
冷凍保存してあるらしく、キンキンに冷えていたせいか、それでも比較的飲みやすかったように思う。
お腹も好奇心も満たされて、ふぅ、とタクシーに乗っていると、今更ながらメニューにラクダの肉がないことが不思議に感じられた。
友人たちと、「レストランでラクダのケブダを食べたんだけど、ラクダの肉は置いて無いの?」と聞いてみたところ、ほとんどのレストランではケブダしか出していないよ、との答えが返ってきた。
「肉は美味しくないのか」と聞くと、ラクダは肉も美味しいよ!とのこと。それでも家庭で買って食べるものらしい。
以前、カイロの旧市街でラクダ肉を買ったことがあるのだが、どんなに叩いてもなかなか柔らかくならず、カレーにいれて煮込んでやっとホロホロになったことを思い出した。
ラクダはそのままだと物凄く硬いので、ステーキ状などの形で食べるのではなく、ひき肉にして食べるものだそうだ。
「ラクダ肉のスープはうまいんだ!力がつく!」と運転手のおじいさんも言っていた。
今度自分で肉を買うときは、ひき肉にしてもらおう。