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読書感想文 天才による凡人のための短歌教室

歌人になりたいわけではない。
短歌に興味があるわけでもない。
Twitterで流れてきたお勧めコメントが気になって、買ってみたこの本。
素晴らしかった。手元に置いておきたい本。

クリエイティブなわけでもないし、何かを生み出しているアーティストでもないけど、ためになった。

短歌のことだけを書いていて、歌人になる方法のみを書いているのだけど、読み手が勝手に自分の範疇にあてはめて、ほんまそれ。まじ真理。と思ってしまう。
シンプルかつ短く、無駄なく、何かを生み出すための方法を教えてくれている。

そして最終、短歌とか書こかな。まず歌集を読もうかな。と思うに至る。
なにこれ。すごい。

1章では歌人になるための心得が書かれている
まず徹底的に歌集を読む。二人好きな歌人を作る。毎日短歌を作る。歌人と名乗る。町へ出て実際に見たもの、実際に感じたことを起点にする。テレビを見て、新聞を読み普通の人であれ。

ネットこそSNSこそ世界そのもののように見える日もあるけれど、そこにあるのはだれかによって調理済みの言葉、画像、映像でしかない。

第1章より

時代の空気がどう動いているか、を知っておきべきだ。常識人が何を常識と思っているかを知っておくべき。そこを土台にすれば普通を裏切る、非常識な考えを持つ、共通認識にない新しい価値を提案するということが可能になる。みんなの頭のなかにあること=共通項 自分の頭のなかにしかないこと=独創性 このバランスを調整すれば、共感の歌、納得の歌、驚異の歌をつくることができる。

第1章より

2章では具体的な短歌の作り方
定型を守る。目を閉じてよく見る。音を意識する。文字列をデザインする。一首を推敲したおす。商品をつくる。投稿で負けまくる。量が質を生む。たくさんつくる。なるべく書くな。困ったら花鳥風月。きらきらひかるな。予定調和を避ける。固定されたものごとを分解し、流動させる。死、神をいじくる。メッセージではなくパッケージを盗め。

十首送って一首採用されたら、
一勝についてはそれでおわりだ。いじるところがない。けれど九敗については何が足りなかったのか、どう工夫すればよかったのか、別のアイデアはないかを検討し、推敲するいい機会になる。

第2章より

思いついたアイデアは頭の中の黒板に書いておいて、なるべく文字として紙におとさない。文字として紙に落としてしまうとそれは固定されて自由な発想に制限をかけてしまう。なるべく抽象的に頭のなかに抱えておく。
悩める力がいちばん大事。一首の完成までには何度も立ち止まり、時間をかけていい。

第2章より

歌の内容をそのまま拝借すればパクリだが、内容ではなく構造を拝借してみよう。

第2章より

第3章では歌人として生きていく方法
どこで続けるか。組織に所属するのか無所属か。群れるな。心身ともに普通であれ。自作と自分を切り離せ。短歌以外に短歌と同じくらい没入できる趣味を持つ。歌集を出して、装丁にこだわり、宣伝せよ。短歌をお金にかえよ。

群れるな。短歌そのものが人付き合いや話し合いで良くなることは決してない。真に独創的な作品は孤独から生まれる。歌人が目を向けるべきは他人の評価や顔色ではなく目の前の白紙だ。歌人が耳を傾けるべきは他人の自慢話ではなく自分の胸の内だ。 

第3章より

短歌はあなたの一部にすぎず、あなたそのものではない。あなたと短歌。天秤にかける必要もなく、捨てるべきは短歌だ。健やかに歌人として生きていくためには何を言われたって「クソリプ」だと思って受け流そう。

第3章より

第4章は推敲編。
投稿された短歌と筆者による推敲後の短歌を紹介。
なるほどー。うまいなー。と感心し、そのあとの巻末作品の短歌をよみ
すっかり短歌に魅了されて読了。
次に本屋さんに行ったら、歌集コーナーに行くこと請け合い。

引用した部分はメモっておきたい。と思った箇所。


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