日本の国家安全保障2000年代 163
第4章 日本の危機
第1節 日本の危機 アメリカ
2000年代 2
1969年から1976年まで、
ニクソン/フォード政権
において
大統領補佐官や国務長官
をつとめ、
ハーバード大学の教授
でもあり、
アメリカ政界、学界、財界のみならず、
全世界に影響を行使しえる
ドイツ出身のユダヤ教徒である
ヘンリー・キッシンジャー氏。
コンドリーザ・ライス元国務長官
が
親北朝鮮外交、
親中国外交
を
推進したのもヘンリー・キッシンジャー氏の全面的なアドバイスに盲従したためである。
ヘンリー・キッシンジャー氏
は
1997年8月25日の読売新聞「地球を読む」において、
「米中関係 共存の道探る好機」
と題し、
そこで
「少なくとも今後十年間、日本の軍備はますます恐るべきものとなろう。」
と
国際政治学者とは考えられない
アホ過ぎる見解を表明した後、
「さらに、北京の立案者たちは、インドや韓国、ロシア、ベトナム、さらに台湾の軍事能力を無視することはできない。」
「中国にとって米国と日本の関係は、依然として懸念のもとである。」
と、
中国に肩入れし
中国の立場のみを強調している。
ヘンリー・キッシンジャー氏
は
1999年10月25日の読売新聞「地球を読む」
において、
「薄れた国家独裁色」
と題し、
中国は独裁でなくなってきている
と
中国を美化、
そして
「インドから日本、ロシアに至るまで、軍事的に相当な隣人と向き合っている」
と
中国の軍事力増強
を
擁護している。
ヘンリー・キッシンジャー氏
は
1999年5月10日の読売新聞「地球を読む」
においては、
「軍事的挑戦をおこなったのは台湾を巡る国家統一の懸念や、南沙諸島などの伝統的な領土主張の擁護のためだった。中国の戦略能力は20基そこそこの戦略核を擁するに過ぎない。」
と主張、
中国の台湾や東南アジアへの軍事的恫喝を支持している。
また、
ヘンリー・キッシンジャー氏
は
天安門事件
では
ABCテレビ「ABCワールド・ニュース・トゥナイト・ウィズ・ピーター・ジェニングス」
において、
マスター・オブ・セレモニーのピーター・ジェニングスのインタビュー
に対し、
「私ならどのような制裁もしない。」
と語っている。
1995年7月
には
ワシントン・ポスト
で
「アメリカも中国もそれぞれ理由は異なるが、一つの覇権国家によってアジアが支配されることに反対している」
と意味深な文言を残し、
「中国はアメリカに強力な近隣諸国との関係を均衡させる手助けをして欲しいのだ。」、
「少なくとも中国が自らそれができるほど力をつけるまでは」
と、
異様なまでに中国を大軍拡を擁護、
異様なまでに中国に肩入れ
中国の将来のアジア覇権を認めている。
ロナルド・レーガン大統領政権
の
東アジアの安全保障政策
は、
リチャード・アーミテージ国務次官補、ジェームズ・アワー国防省日本部長らの主張する
日本重視の考え
と
ヘンリー・キッシンジャー元国務長官の主張する
中国重視の考え
が
激しく対立した。
ジョージ・ブッシュ副大統領、
ジョージ・シュルツ国務長官、
キャスパー・ワインバーガー国防長官
は
リチャード・アーミテージ国防次官補、ジェームズ・アワー国防省日本部長
の
日本重視
を
採用した。