日本の国家安全保障2000年代 141
第3章 東アジア各国の戦力 中国
2000年代 1
中国の軍事力は、
人民解放軍、
人民武装警察、
民兵
からなり、
人民解放軍
は
中国共産党が指導する軍隊
となっている。
人民武装警察
は
人民解放軍陸軍の効率化
によって生じた
余剰人員
を
平時には治安維持任務
にあたらせる
というもので、
実質的
には
陸軍の歩兵部隊
であり、
装備
も
アサルト・ライフル、
機関銃、
重機関銃
など
陸軍歩兵装備と同様
である。
人民武装警察
は
66万人
ほどいる。
民兵
は
輸送部隊、
工兵部隊、
兵站部隊、
後方支援部隊
の
色彩が濃く、
有事の際
には
人民解放軍の補佐
に
あたることになる。
中国の陸上戦力
は
総兵力160万人、
7個軍区、
28個省軍区、
21集団軍(軍団)、
59個師団、
35個旅団、
10個ヘリコプター連隊
からなり、
戦車7000両、
歩兵戦闘車5500両、
野砲/多連装ロケット発射システム15000門、
ヘリコプター300機以上
を
有する。
また、
快速反応部隊
と
呼ばれる
緊急展開部隊
が
創設され、
機動力を高めるため
中国国内で生産された
民間用航空機マクドネル・ダグラスMD-90旅客機
なども
軍事転用している。
陸軍
の
各種特殊部隊
や
空軍第15空挺軍
と呼ばれる
特殊部隊
も
創設され、
特殊部隊の総数
は
2万人以上
に登る。
渡洋能力
は
本格的大型揚陸艦、本格的大型輸送艦が少ないことから限られたものになっている
が
近海ならじゅうぶんに通用する能力である。
地球規模の渡洋能力獲得
のため
大型揚陸艦、大型輸送艦
を
急激に増やしている。
1996年
の
台湾総選挙
の際
の
威嚇的軍事演習
においては
民間船舶に多連装ロケット発射システムを搭載し実弾演習
を
している映像があり、
有事の際
は
中国に存在する
民間用船舶、
民間航空機
を
総動員することが予想される。
人民解放軍海軍
は
北海艦隊、
東海艦隊、
南海艦隊
からなり、
兵力26万人、
水上戦闘艦670隻、
潜水艦70隻
を有する。
ロシアから輸入した
ソブレメンヌイ級艦隊防空ミサイル駆逐艦
は
1996年9月
に
購入、
1999年12月
に
1番艦「杭州 HANGZHOU」
が
引き渡され、
2001年1月
に
2番艦「福州 FUZHOU」
が
引き渡された。
さらにその後1隻が配備された。
ソブレメンヌイ級艦隊防空ミサイル駆逐艦
は
満載排水量7940トン、
蒸気タービン推進、
兵装は
130mm連装砲2基、
SS-N-22艦対艦ミサイル8発、
SA-N-7艦隊防空用艦対空ミサイル発射機2基、
RBU-1000 6連装対潜ロケット発射機2基、
533mm連装魚雷発射管、
30mm近接防御武器システム4基
である。
搭載航空機
は
カモフKa-28哨戒ヘリコプター
2機
である。
SS-N-22艦対艦ミサイル(NATOコード:サンバーン)
は
マッハ2の速度
で
超低空をS字状に飛来するミサイル
で、
発見、迎撃すること
が
非常に困難である。
また、
SA-N-7艦対空ミサイル
によって
本格的艦隊防空能力
を
保持するにいたった。
基本設計
は
1970年代後半
であり、
情報処理能力、防空能力、電子戦能力、各種センサー
は
西側陣営
の
最新鋭艦に比べ劣っているが
西側陣営
も
1970年代後半の設計の水上戦闘艦
1980年代前半に就役した水上戦闘艦
は
多い。