営業組織の改善は、やはり営業活動という行動を増やすことから始めるべき
おはようございます。
カイロスマーケティング株式会社で代表を務めております、佐宗(さそう|@dsasoon)と申します。
売上を伸ばすことは企業の宿命であり、事業拡大には営業活動を通じて売上を継続して創出するしかありません。営業活動は、多くの会社にとって経営上きわめて重要な活動となります。
売上を継続的に伸ばすための営業活動の改善には、自社の自助努力だけでは不十分な場合があります。なぜなら、営業活動にはお客さまの存在が必ずあり、競合他社の活動も自社の売上に影響をおよぼすからです。これらの影響を受けながら、自社が取るべき方針を見出し、営業活動を絶えず変化させ続けなければなりません。
営業活動を変化させ、改善することは、いつでも経営上の課題となりやすい特徴があります。
営業活動を再考する
売上増に向けた営業活動の改善は、営業活動を要素に分解し、それぞれの要素ごとの改善効果や実施の容姿さを考慮することから始めます。
営業活動は「量」と「質」に関するものに分類できます。
「量」は訪問数、提案数、商談数などの絶対的な数値であり、誰にでも理解しやすい特性があります。このような活動は、営業部門でKPIとして採用されます。
一方、「質」は提案内容、商談内容、営業プロセスの適切さなどであり、絶対的な評価が難しく、相対評価や時系列での変化、個々の主観に基づく評価が一般的です。「質」の指標を導入するのが難しい場合がほとんどですが、営業活動の「質」が計りにくいという理由だけで、その重要性を無視することはできません。
営業活動の「量」にだけ注力して改善を進めると、営業活動は場当たり論や確率論となり、競合他社を凌駕する営業組織の構築が難しくなります。したがって、戦略的な営業改善には、「量」と「質」の両方を考慮する必要があります。
営業活動の「量」と「質」は同時改善可能か?
営業活動の改善において、営業マネジャーは一人で組織を変えることはできません。必ず営業組織の部下がおり、部下に明確かつシンプルな指示を出し、それを実行させることで、営業活動が改善されます。
営業活動の改善のために、営業活動の「量」と「質」の両方を同時に改善する指示を出すと、営業現場が混乱します。営業活動は「量」と「質」の両方の要素から成り立っていますので、両方を同時に改善する指示を出すと、実質的には「営業活動を改善せよ」と言っていることになります。これは営業マネジャーの責任を部下に委ねることと同じです。
営業活動の改善には「量」または「質」のどちらかに焦点を絞った指示を出すことから始める必要があります。
営業の「量」か「質」かのどちらから改善を図るかを決めて部下に指示を出すと、指示が部下にとって理解しやすくなるだけでなく、指示による営業活動の改善効果を評価しやすくなります。
結局は原始的な改善が営業改革の原動力となる
営業活動の「量」を改善する代表的な方法は、アポ数・商談数・提案書提出数・見積り提出数、などの営業活動のそのものを増やすことです。労働時間の制約があるため、一人当たりの活動を増やすことには限界がありますが、多くの企業では改善の余地はあるでしょう。
営業活動の「質」を向上させる代表的な方法は、資料や提案書のていねいな作成、商談前の事前調査の徹底、効果的な営業トークの磨き上げなどがあります。
営業関連の書籍でも、このようなノウハウがベストセラーになることがあります。そのため、営業活動の「質」が重要であると考えられがちです。しかし、営業活動の「質」の向上だけが自社の営業成績を飛躍的に向上させるというのは幻想に過ぎません。
営業活動の「質」が改善されるためには、営業活動の「量」を増やすことが必要です。営業活動は実践を通じて経験を積まなければ、営業活動の「質」の向上は難しいものです。
事務所で時間をかけて提案書を作成するだけでは、営業活動の「質」の向上は見込めません。お客さま先を訪問し、そのニーズや課題を理解し、提案を繰り返すことによって、営業活動の「量」を増やし、その結果として営業活動の「質」を向上させることができます。
営業活動はお客さまとの対話が不可欠です。事務所でお客さまとの対話なしに提案書を作成するだけでは十分な成長が得られません。営業活動はお客さまのニーズを把握し、お客さまの課題を解決することです。そのため、営業活動ではできるだけ多くの時間をお客さまとの面談に費やすべきです。
要するに、営業活動の改善は必ず「量」から始まるということです。
商談数や提案数といったKPIは果たして有効か?
営業活動の行動「量」に注力し、KPIの設定をすることになります。KPIは営業活動の「量」に関連して、お客さまとのアポ数や商談数、提案数などが主な指標でしょう。
営業活動の「量」を増やすことには限界があります。日本人は勤勉ですし、この記事をご覧いただくような企業では、誰もが真面目に働いていると思います。営業活動の「量」を増やす余地はそんなに残されていません。
しかし、営業活動そのものを整理すれば、まだまだ営業活動の「量」を増やす余地があります。たとえば、提案の質を向上させるために、商談前にかなりの調査をしていたり、事務所で1日中提案書を作成していたり、見積りや在庫調整に多くの時間を割いていたりします。これらは、勤勉さが招く弊害とも言えます。
これらのタスクを軽減もしくは削減することで、営業活動の「量」を増やすことができます。
営業という業務では、営業活動の「量」と無関係なタスクをすぐに削減することは難しいでしょう。そのため、お勧めしたいのは、お客さまとの商談時間を計測することです。
営業活動はお客さまに対してするものです。お客さまとの面会時間を増やせば、ある一定の営業の「質」が向上します。ただし、面会回数を増やすだけでは不十分です。お客さまの情報やニーズをしっかりと把握する時間が重要です。この時間を確保するために、各営業部員が営業活動とは関係の薄い仕事に割く時間を減らすことにつながります。
営業活動のKPIを設定する場合、顧客とのアポ数も重要ですが、移動時間を除いた実際の商談時間を計測することも検討していただきたいです。一日あたりの商談時間が150分を超えるよう努力してみてはいかがでしょうか?
また、営業活動の記録にはSFA(営業支援システム)の活用をおすすめします。
さいごに
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