シェア
この尻物語は、留学中に痔瘻(じろう)という病に冒されたひとりの日本人若手(当時)研究者の尻に関する体験談である。今回、物語は一つのクライマックスを迎えることになるだろう。ああ、もう思い出したくない。 あの日僕のお尻を襲ったのは、箪笥の角に深爪した小指をぶつけた時をも遥かに凌ぐ激痛だった。 痔瘻とは、体内の直腸と肛門の境目にばい菌が溜まって、そこから炎症と化膿がおきて体内が侵食されて、直腸から膿の通路が肛門ではない部分に貫通してしまう病気である。 知らない人からすると、鳥
認知編からずいぶん時間が経ってしまった。さて、尻物語の続きを語ろう。いよいよこのあたりから物語はより生々しく尻へと収斂していくことになるだろう。読者の中に同じ経験をした人、もしくは何かしら心当たりがある人は、きっとお尻がうずきはじめるはずだ。 引き続き、舞台は10年前のイタリア、アドリア海に面するマルケ州の州都アンコーナという街である。 この物語は全ての編をそれぞれ独立に読んでも一応成立するように書いているつもりだが、全編に興味があるという奇特な方は、以下のリンクから予兆
尻物語予兆編からの続き。予兆編はこちら。 10年ほど前のイタリアで、いよいよ僕はメスで尻を切られる決意をした。 前回の予兆編の最後(有料部分)で述べたように、事態はもう「放置できない」ところまで進行していたのである。 勘のいい人には既にお分かりと思うが、この尻物語は「痔瘻(じろう)」という病気に関する記述である。 痔瘻とは、読んで字の如く「痔(肛門付近の病気)の中で瘻(こぶ)ができるもの」という意味だ。また、「瘻(ろう)」は、胃瘻(いろう)という措置があるように、「管