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尻物語相談編

認知編からずいぶん時間が経ってしまった。さて、尻物語の続きを語ろう。いよいよこのあたりから物語はより生々しく尻へと収斂していくことになるだろう。読者の中に同じ経験をした人、もしくは何かしら心当たりがある人は、きっとお尻がうずきはじめるはずだ。

引き続き、舞台は10年前のイタリア、アドリア海に面するマルケ州の州都アンコーナという街である。

アドリア海に面するアンコーナ港 クロアチア・ギリシャ・トルコと往復するフェリーが入港する

この物語は全ての編をそれぞれ独立に読んでも一応成立するように書いているつもりだが、全編に興味があるという奇特な方は、以下のリンクから予兆編・認知編もご参照いただきたい。それぞれ100円で販売しているが、マガジンが198円/月で登録初月無料なので、マガジンの購買登録をして無料期間中に読んでから解約するというのが実は一番お得なのは公然の秘密である。

さて、この尻物語シリーズは、痔瘻(じろう)という病気に関する記憶をもとに書かれた僕の個人的な体験記である。

ご存じない方のために説明しておくと、痔瘻とは肛門内部の大腸菌が悪さをして肛門を内部から化膿させて体内に侵襲していく病気である。

その前段階として、肛門周囲膿瘍(のうよう=うみが溜まった部分)という、体内の肛門周辺部分に膿が溜まって腫れたり炎症を起こしたりする症状があって、その膿瘍が表面に現れると、外から見ても腫れているのが分かるようになる(この辺の話は尻物語認知編に詳しく書いておいたのでぜひ見てほしい)。

その結果、最終的にどうなるかというと、その腫れが破れて中の膿が溢れ出し、直腸と体外をつなぐ肛門以外の通路ができるのだ。それが痔瘻という病気である。

この痔瘻、決して珍しい病気ではない。ちょっとググってみただけだが、2020年4月〜2021年3月までの間に、全国で11,000件以上の手術が行われているらしい。

つまり、平均すると1年間で1日当たり30件程度の手術が行われている病気なのである。

ちなみに、痔瘻は放置してもほぼ治らない。虫歯と同じで、放置すると悪化するだけで、治すためには手術が必要だ。なぜなら、その原因は肛門付近の大腸菌などの雑菌であり、それは体内にいくらでもいて、一度できてしまった膿瘍と痔瘻にどんどん新たに入り込んでくるからである。

そう、この病気は、罹患したことが判明した瞬間に、完治のためには手術台に上ることを運命づけられる病気なのである。(ただし、痔瘻と判明してもすぐに緊急手術を受けるというわけでもない。実は罹患しているのに放置している、という人もいる。もちろん良くないことなのだが、こうした放置プレイも一応認められる病気でもある)

痔瘻検索マシーンと化していた僕は、自らの知的経験と能力を培い自分の未来を切り拓くというイタリア滞在の本来の目的もそっちのけで、お尻にまつわる偏った知識を吸収していったのである。それはまるで乾いたスポンジのように。それはまるで春めいてきた3月の陽光の下、芽吹きの季節に備えてイタリアの太陽エネルギーを蓄える春の花々のように。

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