セーブザチルドレン広告拡散に見る同輩の力
先日、インスタグラムでセーブ・ザ・チルドレンという団体の募金を呼びかける広告が拡散されたのをご存知だろうか。
実際、ネットで知り合った友達のみならず多くの中学・高校の同級生がこの投稿をシェアした。僕がこのムーブメントを知ったのは友達の投稿を見たからである。
そもそも、僕はインスタグラムに募金機能なんてあることを知らなかったので、少し調べてみようと思って募金ページを開いた。
どう頑張っても“donate”ボタンが押せない。表示は“Donations are currently unavailable in your location.”となっている。どうやら日本では実装されていない機能でシェアなどのみが可能のようだ。どうりでインスタグラムのヘビーユーザーである僕がその機能を知らなかったというわけだ。
また、募金の使い道などの説明は全て英語であった。暇だったので全て読んだが、イエメン戦争で被害を受けた子どもを支援している団体とのこと。
なるほど。飢餓などで苦しむ子どもがどうたらこうたら…みたいな説明があると思いきや、戦争による子供への影響などについて書いてあったことに驚いた。募金募集の写真からはそこまで予想できなかった。
僕は英語が人よりはできる。実際、最近は英文ニュースを読むのが日課である。塾では全く面白くない英語の小論文のようなものばかり読んでいる。だからこれを読むこと自体は苦ではなかった。
しかし、インスタグラムにこの投稿をシェアしていた人の半分以上はこんな面倒臭い文章を読んでいないのではないか。そもそもインスタグラムの募金システムを日本で使えないことを彼らは知っているのか。投稿前に募金の詳細のページを開いたのか。
友達数人に話を聞いてみると、やはり詳細ページは読んでいなかった。僕の当初の予想通り「アフリカの飢餓の人々に支援するユニセフ的なやつ」っぽいというのを画像で判断してシェアしていた。
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理解不能すぎて面白い。
「よく分かんないけどみんなやっているからとりあえずやってみよう」という日本人、その中でも特に若者の性質を示している。
この性質に可能性を感じる。
個人的に様々な社会問題に興味があってそれらを学ぶために大学に進学しようと思っている。しかしながら、ほとんどの問題が数人では解決することができないものである。その解決手段として一般に有効なものされているのが政治である。
ただ、若者はなかなか政治に興味を持たない。彼らの眼をどう社会や政治に向けるか、というのは様々な議論があるが、このムーブメントはこの解決策の一つとなり得る大きな可能性を秘めているのではないだろうか。
今後、このムーブメントで露呈した性質を社会がどのように利用できるのか考えてみたいと思う。
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しかし、この性質には利点がある一方で問題点もある。
僕はこのインスタグラムのストーリーを見たときに感じたことなどを含めて、その広告をシェアした。
すると、ある友達から「今すぐこの投稿を消せ」とリプライ。
話を聞くと、この広告をシェアした人から個人情報が抜き取られているという話が彼女の周りで拡散されていたようで、それを伝えてくれたのだ。
インターネットに疎い僕はあり得る話ではあると思った。しかし、彼女の言葉を聞くだけでは信憑性が足らないのでその情報の根拠を聞いてみた。彼女から提示されたのは以下のスクリーンショットである。
この例はムーブメントそのものとなんら変わらない性質を示している。
「よく分かんないけど友達がそう言ってるし多分危ないのであろうから、広告をシェアしている他の友達に言ってあげなきゃ」という彼女なりの正義感なのであろう。
彼女は僕のことを思って言ってくれた訳なのだから全く責める気はない。しかしながら、この行動は危険である。
これが現状募金機能自体がインスタグラムでは実装されておらず、このデマによって団体の信用が失墜したり募金額が減ったりすることはない。しかしながら、今後一つのアプリやアカウントで仕事や生活で必要なことの多くが完結するようになった場合、このようなデマで被害が出ることも考えうる。
かといって、現状の教育ではファクトチェックやネットリテラシーは誰から教わる訳でもない。だから、その無意識に拡散してしまった「事実上の」加害者が加害の意識を持つことなく、さらにその加害者の数を「拡散」によって増やしてしまうという連鎖反応が起きることになるだろう。
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僕の同輩、つまり若者の力は偉大だ。デジタルネイティブと言われるだけあって、新しいアプリ、デバイスが登場してもすぐに適応する。
しかしながら、その適応する際の注意点、いわゆるネットリテラシーの教育は不十分ではないか。被害が出る前に、インターネットがさらに進歩する前に、教育はその責任について再考すべき時だろう。
うまくこの性質を利用すれば、社会問題への支援の輪を広げることも、ビジネスの開始、拡大もしやすくなるだろう。社会がこの性質のメリットのみを享受できるか、まずは今後の教育に注目してみよう。
--profile--
18歳。東京都生まれ。無料塾でボランティア講師を務める。小学校の時に不登校を経験。都内公立高校に入学するも中退し、カナダ・ブリティッシュコロンビア州で高校留学し現地高校を卒業。現在、大学進学を目指して受験勉強中。政治経済を中心に宗教、教育、日本近現代史、皇室、言語など幅広い分野に興味を持ち独学で勉強している。
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