開かれた大学たる早稲田
早稲田大学は「無門の門」に象徴される通り、開かれた大学の代表格である。
まずは「無門の門」について説明する。早稲田大学の正門は大隈講堂正面の入口であるが、他大学のように大きな銘板や建造物が存在しない。これを無門の門と呼ぶ。セキュリティなんてものは存在せず、誰でもキャンパス内に合法的の立ち入ることができる。中は幼稚園のお散歩コースやピクニック等、多用途に利用される。
大学が「無門の門」を採用したのにはワケがあるとされる。これは早稲田が開かれた大学であることを象徴している。早稲田大学は物理的にも学問的にも開かれている。その校風は他に無いものである。学問を実社会に活用する、大学社会が外の社会と過度に乖離しない、多様な価値観を認め尊重する、といった独特の校風は多くの学生とって魅力的だ。
それは東京帝国大学など国立大学が主流であった創設当時の社会において、公務員を養成したり国に貢献することを主たる目的とする大学が多い中、「学問の独立」「学問の活用」を掲げた早稲田が早稲田たるアイデンティティの一部でもある。
そんな中、昨日は東京都立大学の宮台先生が刃物で切りつけられるという事件が起きてしまった。これは多くの学生や研究者に大変な衝撃を与えたことだろう。
開かれた大学たる早稲田では本事件は他人事ではない。早稲田が無門の門を維持できるのは人間の性善説のもとにあり、さまざまなトラブルがありながらも学生や教職員の努力によって死守してきた。
しかし、このような状況下ではナイフや爆発物の持ち込みは事実上可能であるし、切りつけられても防御しようがない。
特に、政治経済学部では実際の政治に関わる機会も大変多く、教授のみならず多くの学生が政治に関わっている。政治は恨みを買う。
では、当局はセキュリティの強化策をとるべきか。入構時の学生証の提示、一般開放スペースの制限、防犯カメラの設置など、他大学で行われているセキュリティは検討に値する。
しかしながら開かれた大学であるから早稲田なのであり、これは失うべきでないアイデンティティである。安全確保が重要であることは十分に理解できるが、先述したようなセキュリティ強化策を当局が実行するとした場合、私や志がある沢山の同輩は反対することだろう。
最後に、宮台先生の一日も早い御快復をお祈り申し上げる。
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