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クリームパンが食べたい

去年の12月頭
私は仕事である場所に行った。

その場所では委託販売でパンを売っており
私は仕事を終えた後
美味しそうなパンをいくつか買った。

 
そのパン屋は知らない場所だったが
一口食べて驚いた。
とても美味しかったのだ。

私はバクバクとパンを頬張り
五個買ったパンは
二日で食べ尽くしてしまった。

 
そのパンの中でも特に感動したのはクリームパンだった。
モチッとして弾力のある生地に
濃厚だがクドくないクリームがほどよく入っている。
バニラビーンズが入っているのか
オレンジ色のクリームにはポチポチと黒い粒が見える。

 
私はクリームパンに感動した。
こんなに美味しいクリームパンは初めてだった。

 
私はパンが好きだし
毎朝朝食はパンだが
思えば
パン屋さんでクリームパンを買うことはあまりなかった。

市販のクリームパンとあまりにも違うクリームパンに
私は感動しつつ
動揺もした。

 
私は人生損していたのかもしれない。
今までパン屋でクリームパンを何故買ってこなかったのだろうか。
 
 
私はそれから、毎週様々なパン屋に行き
クリームパンを買った。

グローブのような形のクリームパン
三角っぽいクリームパン
まんまるのクリームパン
クリームが黄色のクリームパン
アーモンドが飾りでついているクリームパン
クリームがオレンジ色のクリームパン
バニラビーンズが入ったクリームパン

パン屋によって同じ味、同じ形のクリームパンはなかった。


 
誤算だったのは
クリームパンを販売していないパン屋もあったこと。
クリームパンは定番だと思った私は驚いた。新たな発見だ。

 
毎週毎週パン屋に行き
私はクリームパンの他、気になるパンをトングでつかみ
トレーに置いた。

仕事終わりもしくは休日にパン屋に行き
美味しそうなパンが並ぶ光景を見て
美味しそうなパンの匂いを嗅ぐ。

それは私にとってご褒美のようなものだった。

初めて行くお店で
お店の人と談笑したり
サービスしてもらったりと
パンを通じて人と触れ合う時間も好きだった。  

 
しかし
私は各パン屋のクリームパンを食べて気づいた。
どこのパン屋のクリームパンも美味しいのだが
 
クリームパンを買うきっかけになった最初のお店のクリームパンを超えられないのだ。

 
もしやパン屋のクリームパンが美味しいのではなく
あそこのパン屋が特別だったのか?
確かにクリームパン以外もレベル高かったな…。

 
私は思った。
こうしてあちこちのパン屋を巡るのではなく
あのパン屋に行くべきではないのか、と。

 
しかし
その店は我が家から少し遠かった。

委託販売先は職場から近いが
お店となると、職場から遠い。

仕事終わりに行くとなると営業時間は終了しているし 
委託販売先は毎日色々なパン屋のパンを売っており
いつそこのパン屋が販売かは分からない。

 
これは店に行くしか、ない。

 
そう思った私は 
自分へのクリスマスプレゼントとしてクリームパンを買おうとパン屋に向かった。
クリスマスの日は道が混んでいてなかなか到着しなかった。

ケーキよりチキンより私はクリームパンを欲した。

 
だが
渋滞の末、到着するとお店は暗かった。
休みだったのである。

ネットで調べたら営業日だったのになんということだろうか。

私はガッカリしながら
仕方なくUターンした。
再び渋滞に巻き込まれながらやるせなさが込み上げた。

 
 
年末年始の休みに入り
私は用事がてら別のパン屋のクリームパンを求めに買いに行った。

なんとこちらも定休日だった。

年末年始だから仕方ないが…ネットの情報は当たっているか分からない。

 
仕方なく
別のパン屋に行った。

最近はパン屋のことで頭がいっぱいで
県内のパン屋の位置や評判はチェック済みである。

 
嗚呼、今年もパン屋に行きたい。
様々なお店のクリームパンを食べたい。
 
そして近々
クリームパンを食べたくなった原点のお店にもリトライしたい。





 

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