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ポンコツ一家 2年目/にしおかすみこ

去年発売された「ポンコツ一家」の第2作目が早くも今年発売となった。

女王様キャラの女芸人にしおかすみこさんのエッセイ本である。

 
母 81歳認知症
姉 48歳ダウン症
父 82歳酔っ払い
私 47歳元SMの一発屋の女芸人

帯に書かれたこの家族の紹介文はなかなかにリアルで、シビアだ。

 
 
去年エッセイ本を読んだ時、私は10年後家族の介護が本格化すると思っていたのだが
まさか2作目が発売された今年、我が家は我が家で現実とぶつかるとは全く想像もつかなかった。

  
我が家を紹介するならばこんな感じになるだろう。

母 67歳  脊髄梗塞。歩行障害、感覚麻痺あり。
父 67歳  軽い認知症と感情の起伏の激しさあり。
私 39歳  独身恋人なし。障害福祉屋として10年以上働働いているが、転職を考え中。

 
SNSやテレビでは、様々な家族を取り上げている。
老老介護、老障介護も今は少なくない。

日本には想像以上にポンコツ一家がたくさんいるのだと思う。

  
私は30代で、家族介護の人生が始まるとは考えもしなかった。 

 
 
にしおかさんの文才により、お母さんの認知症や妹さんのダウン症ネタを面白く描けているのかもしれないが
私は読んでいたら笑うに笑えなくて泣けてくることが多かった。
自分を重ねすぎてしまう。

 
一番泣けたのが、お父さんが酔っ払ってお母さんに暴力を振るった時、お母さんが「こんにゃろ、こんにゃろ」と応戦しても手が届いていないシーンだ。
想像するだけで泣けてくる。

 
エッセイを読むと、認知症の母親より酔っ払いの父親の方が課題だと強く感じる。
母親やお姉さんのサイフからお金を盗り、飲んだくれ、家庭内暴力は当たり前のようだし
にしおかさんが生活を支えているのは今に始まったことではないようだからだ。
お母さんはお父さんを「パパクソ」だとか「パクソ」と呼んでいるようだが、確かに身内ならばクソくらい言いたくなるだろう。

 
お母さんはお姉さんが死ぬまでは生きたいという思いが強いらしいし
ずっと親子で支え合って暮らしており、関係も良好なことが伝わる。

  
幼少期からにしおかさんは複雑な思いを抱えているような気がする。

母親はどうしたって障害があるお姉さん寄りになってしまうし
父親が酔っ払いでは大変だっただろう。

お笑い芸人という道を選んだだのも
環境要因や家族との関わりかあるように感じた。

 
 
母親は認知症だが、にしおかすみこさんに夜食を用意したり、ハッとするようなことを言ったりと、本当に認知症かを疑うかのような言葉や態度がある反面
詐欺に引っかかりそうになった際、「お母さんはなんだったらできるかね…」と情けなさを口にするシーンもあり、ここもまた涙が込み上げた。

 
うちの母親も、脊髄梗塞後、母親らしい言動を見せる反面、「役立たずになった」「何もできなくなった」と口することもあるからだ。
つい自分の母親と重ねてしまう。

 
にしおかさんが母親を求め、母親が抱きしめた時にあたたかさと臭さを感じたシーンはとてもリアリティがあり、生きることや生活することとは何かを感じる。

 
家族はどこまでも家族であり
何歳になっても親は親であり、子は子なのだ。
 



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