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品揃えや商品内容を考える上でまず覚えておきたい3つの視点

飲食業や中食業では、商品の「品揃え」「内容」「品質」など実際に購買をしてもらう上で、競合店より有利になるポイントを作ることは非常に重要になってきます。

一方で「質(=味、見栄え)」という観点においては、感性によって生みだされるものや各食材の品質が重要になってくることも大いにあります。

感性=(先天的もしくは)店舗運営や業態開発による経験値によって研ぎ澄まされたもの

商品品質=調理技術・技能(の希少性)や食材仕入れ力に裏打ちされたもの

と、私は、飲食業で考える場合には捉えているのですが、どうしても取得に時間・労力が掛かり、「質」を上げて選ばれる商品を作るという事は、ハードルの高いものとなります。

一定の品質担保や常識の範疇と思われる感性はもちろん必要ですが、この観点において、競合他社を上回ろうとするのは簡単なものではないと考えています。

そのため、品揃えや売場作りなどで競合他社を上回ろうと考える際に必要な視点は、「量」「数」「幅」の3つの定量的視点です。

この「量」「数」「幅」が一体どういうものなのか?を下記にてお話ししていきます。


「量」の視点

量は、”在庫”や”重”などを表しています。

飲食業では(それ以外の業種においても)、最も売れている商品・サービスやカテゴリーをガンガン売っていく事が、最も効率の良い売上の立て方かと思います。

その中で、人気商品の在庫切れ・仕込み切れなどを起こすと、お客様は「買いたい物が買えない」、「食べたい物が食べられない」などの不満足を起こします。

これは売上機会ロスにも繋がります。仮に競合店に同じ商品の品揃えがあれば、そちらに顧客が今後流れていく可能性もあります。

そのため、人気・売れる商品やカテゴリーについては、競合よりも在庫量を持ち、確実に提供を出来る(=機会ロスを無くす)、提供できる量が多い状態を作ることが必要になります。

また、ここまでは店舗全体の「量」の話しですが、各商品を見るとどうでしょうか?

競合店と同じく自店でも唐揚げ弁当を販売していたとします。同じ予算帯や近い値段ならば、よりボリューム=重のある商品の方が、お客様はそちらを選びやすいと言えます。(もちろん適量という言葉あるように多ければ多いだけ全てOKという訳ではありませんが。。。。)

そのため、競合と同一商品(価格や内容)をもっている場合は、ボリューム=重量において上回ることによって、より選ばれる商品にすることができます。


「数」の視点

数とは、商品やカテゴリーの”種類”や”品目”などを表しています。

当然といえば、当然ですが、競合よりも保有している商品やカテゴリー数が多ければ、消費者としては選択の幅が広がる分、その店舗を選ぶことが多くなると思います。

例えばですが、居酒屋でいえば、ドリンクのカテゴリー数や人気のサワーカテゴリー内の種類数を増やすなどです。

また商品内の”数”でいえば、競合と似通っている刺身/前菜盛り合わせ内の種類数を増やすことやもっと細かく言うと、ある商品内の具材数や御膳メニューの副菜数を増やすなどを行う事によってよりお得感を訴求し、競合を上回るということです、

上記の通り、”数”については目に見えてわかる種類やカテゴリーなどを競合よりも増やすことが必要になります。


「幅」の視点

幅は、”客層”、転じて”価格”も表しています。

顧客が来店回避・購買回避をする理由の大きな要因の1つが「予算の乖離」です。「考えていた予算の商品がない」や「予算より販売物が高い(安い)」などの理由です。

そのため、多くのお客様(幅広い予算を持たれている客層)を取り込むために予算の幅を競合よりも多く持っておく必要があります。

例えば、競合の弁当店が800~1,500円の価格幅(1,000円予算のみ)を持っているならば、自店は600~1,800円(500円予算、1,000円予算、2,000円予算の3つ)を持つほうが多くのお客様を取り込むことが出来る可能性が増えます。【予算帯のお話は下記の記事よりご覧ください】

この”価格幅”を増やすことは上記で記載のある通り、”客層幅=利用動機幅”の拡大にもなります。

飲食店で言えば、低単価=日常(ふらっと飲みに、大衆客層)、中単価=日常~非日常(週末で、月1回ちょっといいものを、大衆客層~中間所得層)、高単価単価(お祝い・記念日など、富裕層)のような複数客層=多動機利用を取り込むようなイメージです。(もちろん全て取り込むには店舗設計や客層によって場所を変えるなど工夫は必要ですが・・・・・)


さいごに

「量」「数」「幅」においては、競合他社よりも多く・広くもつことによって、集客力を強める。というのが基本的な考え方になりますが、全ての商品・カテゴリー・売場に使えばいいという事ではありません。

飲食市場においても「専門店」や「目玉/看板商品が集客フック」なごが当たり前化しているように、全ての品揃えを多くし、全ての客層を取り込めばいいというものでもありません。(総合型居酒屋は衰退していますよね。ライフサイクルといったお話しなのですが、また別の機会にでも。)

そのため、勝つためのポイントや自社が出来る事に絞り込んで、その観点において「量」「数」「幅」を使って競合他社に勝ちに行くための取捨選択が必要になります。例えば、

・居酒屋→人気のサワーカテゴリーの”商品”を競合他社よりも多くする

・弁当/惣菜店→売上構成比の大きい弁当の”価格”を広くする

・定食店→一番人気の唐揚げ定食の”在庫”を増やして品切れを無くし、主菜の唐揚げを競合よりも多く盛り付ける

などが挙げられます。

また、どれくらい多く・広くすべきなのか?(答えは1.3倍以上)について以前の記事でご紹介をしていますので、是非合わせてご覧ください。


最後に冒頭でお伝えした、商品品質=「質」の部分でも唯一定量的に捉えられる部分があります。それは”原価率(額)”です。仕入れ云々のことがあるので一概には言えませんが、「勝つためのポイントや自社が出来る事」を集客商品として捉えた場合、集客商品においては原価を掛ける。というのも集客力を上げる1つですので頭の隅にでも入れておいて頂ければと思います。

是非、品揃えや商品内容を考える際には競合の数字と併せて、「量」「数」「幅」の観点を使って考えてみて下さい。

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