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商材・業態選定の時に知っておくべき・考えるべき事(市場規模の視点)

フードビジネスにおいて(それ以外の業種でもそうですが)どんな商材を売るか?=どんな業態にするか?を考えることは非常に大切で、出店・事業開始において考えるべき初手の1つであると思います。

この商材・業態選定においては、3方良しの考えに準えて、

◆やりたいモノ(自店が販売や展開したい商材・業態)

◆売れるモノ(顧客ニーズの高い商材・業態)

◆求められているモノ(市場から必要とされる、評価の高い商材・業態)

から選定をすることが多いのではないでしょうか。フードビジネス(主に飲食店)の多くは、やりたいモノ(自身の想いや自信が持つリソースを活かす)を商材・業態として選定する場合が多いのですが、

その一方で、特定の売りたいモノがなく、「何を売ろうか?」「売れやすいもの何か?」などを考えている方もいるかと思います。

今回はそんな業態・商材のお話です。


商材・業態の市場規模を知る

選定の判断軸の1つとしてほしいものが「マーケットサイズ」(≒市場規模)と呼ばれるものです。

市場規模とほとんど同義なのですが、この記事では、市場規模の金額を日本の人口数で割った、ある商材・サービスに対する”国民一人当たりの年間消費金額”としてお伝えしようと思います。

このマーケットサイズですが、

大きい(消費金額が高い)=需要量が大きいので売れやすい

小さい(消費金額が低い)=需要量が小さいので売れにくい

という風に、まずは覚えておいておいて頂くといいと思います。


この感覚は日常生活で感じる部分が大よそ当てはまっているので、多くの方が持ち合わせている感覚だと思います。

例えばですが、ハンバーガーよりもお米の方が食べる機会が多い分、マーケットサイズや販売額・流通金額は大きいだろう。

こんな感じの感覚です。

一方で、そのマーケットサイズの大小をより正確に把握するためには、市場規模の大小やそれが幾らぐらいなのか?を把握する必要があります。


市場規模の大小や実態を調べる

調査・把握できる方法は、下記のようにいくつかあります。

矢野経済研究所富士経済研究所などのデータバンク系企業や銀行のマーケットレポートを見る:一部情報は概要版として無料閲覧ができます。業態・サービス・業界で区切られて市場規模概要などが掲載されています。

総務省統計局の家計調査のデータベースe-statから見る:商材(フードビジネスでいう食材)ベースで世帯当たりの消費金額などが情報としてあがっています。

・検索エンジンで「〇〇(業態・商材名) 市場規模」と検索する:情報リソースや見解(業態や規模感の定義など)がまちまちのため複数検索することをお薦めします。

・図書館等での文献調査:最も分かりやすいのは、年1回や数年に1回に発刊されるような業界専門誌の調査文献です。(中食では惣菜白書なるものがあります)情報リソースや見解(業態や規模感の定義など)がまちまちのため複数文献を閲覧することをお薦めします。

前提として、複数の方法を使って様々な視点の情報を仕入れることをお薦めします。また、1円単位で正しい数値は難しいかもしれませんが、マーケットサイズの大小の判別材料ならこれら方法で補えることが多いです。


特定商圏内の市場規模を知る

マーケットサイズの大小の判断や、大よその金額を把握した上で、次に行いたいのが、自社商圏や出店候補地に落とし込んで、その商圏内の市場規模や目指すことのできる年商を把握することです。

例えば、市場規模6,000億円の商材Aを販売するとします。自社の商圏は人口10万人のB市です。

マーケットサイズ算出方法は、【マーケットサイズ=市場規模/日本の人口】です。そのため、Aのマーケットサイズは、

6,000億円/1.2億人(日本の人口)=5,000円

となります。

その上で【商圏内の市場規模=マーケットサイズ×商圏内人口】のため、

B市は人口10万人の商圏なので、B市内の市場規模は

5,000円×10万人=5億円

と計算できます。

もちろん取れればいいですが、100%のシェアとはいかないので、10%のシェアを獲得出来たとした場合、年商の目安で約5,000万円を目指すことができるという計算になります。

※この場合の対象商圏や人口は、単一市での計算になりますが、宅配事業や大型店舗などで対象市が複数をまたぐ場合は、それを加味してください。

また、商圏設定も、場合によっては、車で〇分以内や徒歩〇分や〇〇町のみや場合によっては乗降客数の・・・という場合もありますので、それぞれに呼応させて考えてみてください。


マーケットサイズと売上の可否判断

上記の市場規模や目安年商が、目標に対して十分であれば競合を鑑みながらも、この事業でいきましょうという話になるのですが、もちろん足りないという場合も考えられます。

そういった場合には、

①商材を変える、付加する(マーケットサイズの大きなものや対象となるマーケットサイズを大きくする)

②対象商圏を広げる(商圏人口を広げる)

➂シェアを高める(B市内での市場占有率を高める)

などの方法がありますが、今回はマーケットサイズのお話しなので、①について、商材・業態が正しいのか?扱う商材を増やすべきではないのか?など考えるべきかと思います。


ただし、マーケットサイズが小さいことが悪い、という事ではありません。

マーケットサイズが小さくても成立する場合も、もちろんあります。

それは人口の密集している(多い)エリアや人口流入の多い繁華街・オフィス街・(地方でも)観光地などで商売をする場合です。

マーケットサイズが小さくとも、商圏人口や流入人口が多い分、市場規模がある程度担保されるからです。

そんなの田舎や地方じゃ売れない、成立しないよ。という商材、業態でも東京・大阪をはじめとする都心でなら、売れている・成立している店は多数ありますが、その事象が人口の差によるものが多いです。

ですので、

マーケットサイズが大きい=都心や観光地はもちろん、田舎・地方でも商売として成立しやすい

マーケットサイズが小さい=都心や観光地など人の多いところで成立するが、田舎・地方では成立しづらい

と、簡単にですが覚えておくといいでしょう。


マーケットサイズと合わせて見たい観点

マーケットサイズが大きい商材を選ぶということは、その分競合が多いということでもあります。(もちろんマーケットサイズが小さくても特定商圏内に競合が多いこともあります。)

外食店の同業競合はもちろんですが、商材によっては異業種競合(コンビニ、スーパー、惣菜店、TO専門店など)も存在しえますので、

この点については、昨今中食市場の台頭により、外食市場と中食市場の境目が曖昧になりつつある点から見ても、注意は必要です。

一方で、マーケットサイズが大きい業態・商材といえど全てが商圏内にあるとは限りません。そのため、マーケットサイズの大きい候補商材・業態を調べ競合が存在しない、少ないという者を選択することが、1つの勝ち筋になります。

これを踏まえ、出店において、これといったものが決まっていない場合に、何の業態・商材を選ぶべきかの観点は、

◆マーケットサイズの大小と競合の有無:マーケットサイズが大きく競合が少ないものが望ましい。
◆出店立地(商圏人口)から見る市場規模と目安年商:目標に対して十分な市場や目安年商があるかどうか。足りていない場合には扱う商材の変更や付加もありうる。

の2つになるかと思います。


もちろん一概にマーケットサイズと商圏人口(当該エリアにおける市場規模)と競合性から鑑みても、大きな売上・成果を挙げられている店舗や企業は多々ありますが、

業態・商材を選ぶ際に、何を基準にしよう?と思った時にはこちらのマーケットサイズについて考えて頂けると良いと思います。

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