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子供たちへのキャリア教育について思うこと

こんにちは。

今回のコロナウイルスの影響によって『令和2年度全国学力・学習状況調査』が中止になりました。

文部科学省は使用予定だった問題冊子を後日、各教育委員会および学校へ配布するとのことでしたがその後どうなったのでしょうか。

とはいえ、学力を測ることは全体の平均を知れることはもちろん、次代を担う子どもたちの学習状況を測り知ることもできることから、国にとっては重要な調査とも考えられます。

さて、今回はそのような初等中等教育において、授業を受けている子どもたちは『将来その授業が役に立つ』と思いながら授業を受けているのか?といったことをテーマに話していこうと思います。

教育段階は大きく以下の通り分けられています。
〇初等中等教育:小学校~中学校~高等学校
〇高等教育:大学や専門学校
(出典:Wikipedia)

また、高等教育機関もそういった意識をもった子どもたちが進学しているのでは、といった状況を理解し考えてもよいのでは思い記事にしました。

これらを考えるきっかけになった筑波大学 藤田先生の著書もはじめにご紹介させていただきます

今回は少しデータも多く、見ずらい部分もございます。予めご了承ください🙇‍♂️

ですが自分も調べていくうちに非常に面白い結果となりました。教育関係者だけでなく、保護者の方などにも見ていただきたいなと思います。

では、早速その理由などを探っていきましょう。

■世界との比較

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結論から言うと、日本の子どもたちは

〇『世界最高峰の授業』を受けながらも
〇『将来自分のために役に立つのかな…』

思いながら授業を受けている
かもしれません。

それらを紐解くカギとして以下の調査から考察していきましょう。

突然ですが『国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)』をご存知でしょうか。これは「理数系教育」の各国の到達度をはかるといった国際的な調査です。

この調査は、国際教育到達度評価学会(IEA)が4年に一度行い『算数・数学、理科』の各国の到達度を国際的に調査しているものです。

文部科学省はこの調査の意義を

〇初等中等教育段階における児童・生徒の算数・数学及び理科の教育到達度を国際的な尺度によって測定し、児童・生徒の学習環境条件等の諸要因との関係を分析する。

と述べ、続けて2015年に実施した対象を以下の通り表しています。

○小学校は50か国・地域(約27万人)、中学校は40か国・地域(約25万人)が参加。
※一部の国で、調査対象と異なる学年が調査を受けているため、それらの国については含めていない。
○我が国では、148校の小学校4年生約4400人、147校の中学校2年生約4700人が参加。


■国際数学・理科教育動向調査の結果


気になる結果ですが
(TIMSS 2015International Resultsより)

【国際数学での成果】

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日本は山よりさらに上の「雲の中」にいます。
世界と比べ世界最高峰の授業を受け、かつ学力も有していることが分かります。

続けて、中学2年生の「数学・理科の大切さや意義に関する意識」についても見てみましょう。

<中学2年生>数学
(参加:39国・地域)
数学に対して「強く思う」と回答した生徒の割合

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日本は、下から2番目のようです(平均42%)。

(では理科は?)

<中学2年生>理科
(参加:39国・地域)
理科に対して「強く思う」と回答した生徒の割合

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日本は、一番下のようです(平均40%)。

(この結果は以外でした…)

といったように「強く思う」と回答した子は非常に少ないというショッキングな結果となりました。

この調査で分かることは

『世界的には雲の上にいるような優秀な子どもたち』だけど『将来自分のために役に立つのかな…と思いながら授業を受けているということかもしれません。

(これは自分も思い当たる節があるだけにグサッときました…)

ただ、この結果は子供たちをはじめ先生方が悪いわけでは全くありません。

そして、この質問は抽象度が高いですし「職業や進学のために必要か」と限定して伺えば違う結果も出るでしょう。そのため、ひとえにそう括ってしまうのは尚早なのかもしれません。

では、何故それでもなお勉強をするのでしょうか?

もちろん「良い点を取って褒められたい」といったことも考えられますが、

つまるところ『いい仕事に就くためには、いい上級学校に入る。そのための手段として勉強が必要』とも考えられます。

しかし、これ自体は当たり前ですし、私もそう考えていました。

そして、勉強が進学のための手段となる原因に『学習とキャリア教育が紐づいてない』といったことが考えられるかもしれません。


■「剥落する知」の危険性

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藤田先生いわく、日本の子どもたちの大きな課題は『学習への興味・関心・意欲』であると指摘しています。

そして、その「知」が最も剥がれ落ちる瞬間が『大学合格後』とのことです。

(確かに私も入学直前と直後は遊んでたなぁ…)

これを感じる人は多いのではないでしょうか?

前項でも触れたように、学習とキャリア教育が紐づいていなければ、その例として大学合格後がゴールとなる可能性があります。そのため、安易に決めた大学とのミスマッチにより転学や退学の意向をもつ学生も少なくありません。

2013年にベネッセが行った『転学や退学の意向を持つ大学1年生の概況調査』では、約4割の学生がミスマッチにより転学を考えているようです。

ただ、やや過去の調査ですし実際に転学をする学生はごく一部です。

ですが、大学入学後にミスマッチのまま過ごし、特にやりたい事が見つからない学生は就職活動で困難を極め、焦って決めた就職先も早期離職といったようなフローになってしまいます😥

もちろん、それが全てに当てはまる訳ではありません。

ただ「大卒の約3人に1人が3年以内に離職」は現実に起きています。それに関する記事は過去の記事で記しております。ご興味のある方はご覧ください。

そいった意味では『初等中等教育段階でキャリアマインドを育み、大学でそれを醸成させる』といった教育ベストなんだろうな…と思いました🤔

そのために、学校外とも連携したキャリア教育が必要とされているようです。


■勉強とキャリア教育を紐づける

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こういった状況に国も動いていおり、新たな学習指導要領改訂の方向では以下のように述べています。

〝より良い学校教育を通じてより良い社会を創る″という目標を学校と社会が共有し、連携・協働しながら、新しい時代に求められている資質・能力を子供たちに育む「社会に開かれた教育課程」の実現に向けて、地域と学校の連携・協働の推進が重要となる。
(出典:学校と地域でつくる学びの未来,社会に開かれた教育課程の実現に向けて)

そのため、学校では『社会』とも協働し資質・能力を育むキャリア教育を推進することにしています。例えば、コミュニティ・スクールなどがあげられるでしょう。

他方で、人と仕事の研究所による「子供の頃のキャリア教育と就職活動に関する調査」では

社会人2~4年目の方を対象に「小学校5-6年生当時に家庭であったキャリア教育の機会」について質問したところ以下のような結果となっています。

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<コメント抜粋>
〇家庭でキャリア教育の機会が「あった」という回答で最も多かったのは、「将来の夢について考える機会」で61.0%。
〇次いで「親から仕事の話を聞く機会」49.1%、「興味がある職業について調べる機会」46.7%、「大人の働いている姿を見る機会」45.6%、「いろいろな職業があることを教えてもらう機会」42.9%、「職業選択の道筋を教えてもらう機会」29.9%となった。

この結果からは『家庭内のキャリア教育は仕事の充実度にも影響があり、大人の働いている姿を見る機会があった子供は、早期に志望業界を意識し始める傾向にあることが分かりました。

最後に、教育基本法には学校教育や社会教育の他、第10条に「家庭教育」があります。

『この3つが揃うことで勉強とキャリア教育が結びつく』とも考えられ、これらを少し意識するだけでも、子どもたちへのキャリア教育に対する意識も変わるのではないでしょうか。

私も教育関係者として、初等中等教育に関する動きに敏感にならなければと思いました。


再度、藤田先生の著書をご紹介し終えたいと思います。


最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
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