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『盤上の向日葵』

タイトルでピンときた方もいらっしゃるかもしれないが、最近柚月裕子さんが書かれた『盤上の向日葵』という本を読んだ。柚月裕子さんの作品といえば、やはり最も有名なのは『孤狼の血』だろう。最近読んだ本の中では、ずば抜けて完成度が高かった。話としては、ヤクザと警察の間にある義理と人情の話と絡んで、サスペンスチックな仕上がりになっており、それなりのボリュームがあるのにさらさらと読めてしまう。

その延長線で読んだのが、『盤上の向日葵』。この本は、将棋界に彗星のごとく現れ、タイトル戦に挑む異端の棋士・上条桂介という人物の半生と、ある日駒を握って死んだ男の不可解な事件との関わりが描かれている。

人と人との数奇な人間関係に加え、殺人事件と思われる事件がどのような顛末を迎えるのかも非常に見どころ。一見何不自由なくすんなりと生きてきたように描かれている上条桂介だが、その人生はまさに波乱万丈。最後の最後まで、何だか人との”腐れ縁”というものを強く意識させられるストーリー展開だった。

上条はとにかく家庭環境に恵まれていない人間で、それだけでも生きているだけで嫌になってしまうし、心を閉ざしてしまってもおかしくは無い。そんな中で、彼を底から救ってくれたのが、近くに住む唐沢光一朗という小学校教諭。この人がまたすごく人格者で、妻と共に上条に対して優しく接する。そして彼らをつなげたものは将棋。

そしてたまたまであるが、同じ時期に藤井聡太棋聖が、最年少でタイトルを取ったというニュースを見た。この時期に、将棋と深い関わりのある『盤上の向日葵』を読んだのはたまたまであるが、将棋を仕事としてやっていくのがどれだけ大変なのかということを知ったのも、この本のおかげである。実際23歳までにはほとんどの人が脱落してしまう狭き門らしい。東大に入学するよりも、残留する確率は低いというのだから、将棋をやる人はよほど頭が切れる人、ということだろう。

それにしても、最近一時的にやたらと将棋に触れる機会が多かったからか、将棋がやりたくなって早速ゲームで始めてみた。これも、ザイオンス効果の結果と呼べるのだろうか?そして実際始めてみると、なかなか奥が深いゲームである。様々な戦法やら流儀があって、コマの動かし方は同じでもいくとおりもの指し方が存在するのである。

そして、いろいろそれなりに頭に戦法を叩き込んでおかないと勝てそうになかったので、いくつか将棋に関する本を読んでいる。その中で、将棋の歴史について語ったものがあるのだが、なんと将棋の起源はもともとインドだったらしい!こんなところにもインド…何だか本当にインドとは不思議な縁で繋がっている気がしてならない。


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だいふくだるま
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