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友達に教えたいリスクとお金の話(3-5)

3-3と3-4では「リスクとリターンの関係」を説明しました。しっくりきたでしょうか?ここで一息「コラム2」のコーナーです。
「リスク」とは不確実性のこと、と学びましたが、投資理論ではこの「リスク」を数値化して表します。深堀したい方はぜひ以下をご覧ください。
もし「難しいな」「ちょっと苦手」と感じたら、飛ばして次に進んで構いません。

(コラム2)リスクを数値化すると?

 コラム1ではリターン(利回り)に関する数式を学びました。
 投資運用の世界では「リスク」を「リターンのばらつき」と定義します。
 数学っぽく言えば「標準偏差」です。英語名Standard Divisionの頭文字をとってSDと呼ぶ人もいます。
 単純化された例で見てみましょう。
 資産Aと資産Bに各々投資した場合、 過去10年間の単年度リターンが以下のようだったとします。どちらが「リターンのばらつき」が大きいですか?

単年度リターンとは、各年ごとに得られたリターンのこと。平均値ではありません。
例えばある年に上昇を上回る下落があれば、その年の単年度リターンはマイナスになります。(注)より多くのリターンのサンプル(標本)を集めないと統計としては意味をなさないのですが、ここでは単純化のために、10つのサンプルとしています。

 ぱっと見て「資産AよりBのアップダウンが激しい」とわかりますね。
資産Aの最大値は2.2%(2024年)、最小値は-1.2%(2020年)であるのに対して、資産Bの最大値は15.4%(2024年)、最小値は-8.0%(2020年)となっています。
 二つの資産ともプラス、マイナス両方のリターンがありますが、AよりBの振れ幅が大きくなっています。つまり(正式にはより多くのサンプルをとって計算すべきですが)「BのリスクはAより大きい」と言えます。

 公募投資信託の目論見書には、代表的な資産クラス6種のリターンとその「ばらつき」を示した棒グラフが載っています。
 下記は2023年12月末までの過去5年間の6資産の月次リターンの分布グラフです。どれが一番「ばらつき」が大きいでしょうか?最大が62.7%、最低がマイナス19.4%の新興国株式が一番「ばらつき」が大きくなっていますね。 

公募投資信託の目論見書から、当該ファンドのリターン(左端)を削除したものです。
「日本株」「先進国株」等は各資産を代表するインデックス(指数)の数字です。

 ではこの6資産の中で過去5年間の平均リターンが最も高かったものはどれでしょう?このグラフからわかる「平均騰落率」を見ると、16.2%の先進国株式が7.2%の新興国株式を上回っています。このように、リスクをとればとるほどリターンが「結果として」必ず高くなるわけではないのです。
 期待リスクの高いものは期待リターンも高いですが、あくまでそれは「期待」であって、将来のリターンが「確実に」予測でき、現実のリターンになるとは必ずしも言えないのです。だから「リスク」(不確実性)なのですね。

ボーナスは「だいたいこれくらいもらえるだろう」という「期待」はできますが、
会社の業績や個人の評価次第では期待通りにはならないですよね。
振れ幅の大きい業種や仕事だとボーナスの振れ幅も大きくなりがちです。

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