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友達に教えたいリスクとお金の話(5-5)

5-4「分散投資」に続き、リスクを飼いならす方法その2の「長期投資」を見ていきましょう。

「当てない方法」ポイント2:長期投資

分散投資と同じくらい重要なポイントが「長期投資」です。

個人投資家の中には「株は暴落するから」と短期売買を繰り返す方もいます。
投資理論よりも自分の「感覚」を信じているのでしょうか。

 長期投資の「長期」という時、株式であればざっと10年程度の投資期間をイメージしましょう。理由は、10年程度あれば、その間に大きく値下がりする時期があっても、たいていは取り戻せるからです。過去の株価の推移をみてみましょう。
 下記のグラフは2009年11月から2024年11月までの世界株式指数(先進国と新興国をすべて合わせた株価指数)の収益を累積したものです。(出所:MSCIウェブサイト)
 この間、何度も下落局面がありましたが10年程度以上投資すれば、おおむねプラスの収益率となっていることがわかります。2024年11月までの過去10年間の収益率(年率)は12.45%となっています。

(注)MSCI ACWI(世界株式指数)およびMCSI Japan Index(日本株式指数)は、MSCI Inc.が開発、計算した株価指数です。同指数に関する著作権、知的財産その他の一切の権利は、MSCI Inc.に帰属します。また、MSCI Inc.は同指数の内容を変更する権利及び公表を停止する権利を有しています。

 ただし、これは世界の株式に広く分散投資している場合です。分散投資せず「より上がる国、業種、企業」を当てようとして選んだ場合は下がった分を「取り戻す」確率が低くなったり、市場全体に劣るリターンになる場合があります。
 2014年11月から2024年11月の10年間、MSCI ACWI(世界株式指数)に投資した場合と、MSCI Japan(日本株式指数)に投資した場合を比べてみましょう。スタート時の価格を100とすると、10年後、前者は736.56と7倍になっており、後者は441.07と4倍になっています。

(注)MSCI ACWI(世界株式指数)およびMCSI Japan Index(日本株式指数)は、MSCI Inc.が開発、計算した株価指数です。同指数に関する著作権、知的財産その他の一切の権利は、MSCI Inc.に帰属します。また、MSCI Inc.は同指数の内容を変更する権利及び公表を停止する権利を有しています。

 日本株式市場に投資した場合も十分魅力的なリターンですが、これからあなたが投資する10年間がバブル崩壊後(1989年以降)の10年のように、日本株価停滞の時期となる場合もあり得ます。日本株に長期投資をした結果、バブル崩壊後のように資産が半減しては意味がありません。長期投資をする時は、世界に幅広く分散投資しながらの方がよいのです。

「自分の感覚ではアメリカ株の方がいいんだけどな」「インド株の方が伸びそうなんだけどな」
いいえ、市場は日々刻々と変わっていきます。当てようとしない方が長期投資にはいいのです。

 ただ、国や業種を選ぶだけなら多くの場合、損失は限定されます。もしこれが特定の企業であれば最悪の場合、企業の破綻で株価はゼロになります。破綻とまでいかなくても、業績が悪化した場合は、債券の利息よりも先に株式の配当が削られ、株価は下落します。
 私の幼馴染が、ある企業の株式に長期投資していたところ、証券会社からの連絡で破綻を知ったそうです。彼女の投資元本(約600万円)は泡と消えました。株式への投資は「出資」行為であるため、長期投資を行う姿勢は間違っていないのですが、分散投資をしていなかったため、資産の大きな部分を失うことになったのです。
 このように、株式投資をする場合は「分散投資と長期投資はセット」でないと、意味がありません
 たとえインデックスファンドで分散投資をしていても、数か月単位で売買を繰り返すと、株式の「ゆっくりと成長する」局面を逃してしまうことになります。
 株式投資に関しては「分散投資」と「長期投資」の両輪で行きましょう。(次項へ続く。次項では債券投資のリスクを飼いならします)


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