映画紹介 #5 インサイド・ヘッド2
ピクサー作のアニメーション、インサイド・ヘッドの続編である2作目。
今回はネタバレはほぼ無しで書きたいと思う。
ライリーという主人公の頭の中の感情をキャラクター化し、主人公の葛藤や成長と共にどういった感情が現れたり変化したりするのかを描いた作品だ。
本当に傑作と言える作品だと私は思うので是非見てほしい。
1だけでも面白いし、2だけ見ても面白いと思う。成長とともにストーリーが展開するのでざっくり言えば1は幼少期、2は思春期、といった時期の話になっている。
2における大きな特徴として、対外的な感情というのが初めて登場する。
「不安」、「羨望」、「恥じらい」、「怠惰」という感情だ。
他者との関わりの中で初めて体験するその感情たちとの対峙や葛藤が丁寧に描かれる。おそらく誰しも体験したことのある複雑な気持ちになる”それ”を。
見ているとあの時の自分を皆想像するのではないだろうか、そしてその時の浅はかな判断で人を傷つけてしまったなとか、今ならもっとうまくできただろうにと思うのではないだろうか。
本作ではアイスホッケーの合宿に誘われるというストーリーの中で描かれる。プレッシャーや新しい人間関係や上下関係。
思春期に訪れる環境の大きな変化についていくのがやっとになる感情、パンクしそうになる感情。
私は見ていて辛くなってしまう場面もあって、なんとも言えない気持ちになった。自分の心の奥深くに丁寧にしまっていた、忘れてしまいたい経験であったり、恥をかいてしまった場面などのそれらを久しぶりに覗いたような、そんな感情だった。
振り返って見れば、こんな失敗しなければよかったと思うようなことは人生の中でいくつも起こるのだが。結局、どこかで経験して積み重ねていくしかないように思う。その残酷とも言える人生の進め方を、誰にでもわかりやすいストーリーとポップなキャラクターで表現してくれているのが本当に本当に素晴らしい。
人の生きてくことがとても素敵であり、たくさんの矛盾をどうにかこうにかその都度対処しながら。必死にもがく姿そのものも愛おしいのだなと。
こういった内容のことって、小難しい哲学書などで学んだり考えたりもできると思うのだが、物語にすることで自分ごととして感情移入しながらそれを考えたりあたかも擬似体験しているように思えるのではないかと思う。大人だけでなく子供が見たらまた違った感想をもつようにも思う。
この映画を見てから”日々の自分の頭の中でどういった感情が自分のコントローラーを握っているだろうか?”とふと考えることが増えた。
できることなら自分の日常を”喜び”の感情がコントロールできると素敵だなと思う。もっと言えば、自分自身に喜びの感情をリクエストしたいなと。
その上でいわゆるネガティブな感情も見捨てずにいれたらなと思う。