読書感想文「舟を編む」
先日NHKでドラマ化されて、全部は観ませんでしたが面白かったこと、本好きな友人(大好きな先輩でもある)に強くおすすめされたので読んでみました。
「大渡海」という辞書を完成させるべく奮闘する編集部員とその関係者達の人間模様が書かれた小説ですが、元々女性向けファッション誌の連載小説だったとのこと。初めて三浦しをん氏の小説を読みましたが、話のテンポがよく、あっという間に300ページを読み終えました。
辞書の編集部を舞台とした話なので言葉の意味を大事にするくだりが多く、1つの言葉から連想する意味や知的で軽妙な登場人物達のやりとりが微笑ましいです。いわゆる悪人、敵役が登場しない小説で平和的な話の進み方をしていくこともあり、心穏やかに読み進められます。
主人公的位置づけの馬締光也と同じ下宿に住む板前の林香具矢の出会い方、距離が縮まる経緯、時が経ってお互いの仕事に邁進しつつも思い合う夫婦になっている様子など、ロマンティックな展開もありつつ、誰が読んでも面白いのではないかと思います。
ファンタジー要素といえばそれまでですが、馬締が紡ぐ言葉の1つ1つが香具矢への思いやりに溢れていて、心温まる小説だと思います。
総じて人に強くおすすめできる作品ですね。まだ読んでいない方は勿体ないと正直思いますので、図書館で借りるなりして読んでみて下さい。
人生で多少嫌なことがあっても少しの間は現実逃避できるでしょう。