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「カリオストロの城」を久々に観て、娯楽のお手本だと思った話
大晦日に友人と、ある有名映画の鑑賞会をしました。
もはや説明不要な名作中の名作、
「ルパン三世 カリオストロの城」です。
これは当然、初見という訳ではなくしかし数年ぶり、だったので新鮮な気持ちで観る事が出来ました。簡素ながら、Filmarksレビューも以前書いているので転載します。
Filmarks感想
ルパン三世カリオストロの城(1979年製作の映画)
囚われのヒロインを救い出す義賊ルパン、
という王道も王道のストーリー。
そこに往年の仲間やライバルまでが
協力していくカタルシスに溢れている。
この映画だからこそかもしれないが、
とっつぁんこそが最高の相棒じゃないかと
思えた。
次元と五右衛門が目立たなかったのは
仕方がないのかもしれない。
最初から最後まで、一貫して
ルパンがカッコ良い!
スコア…4.3
愛される秘訣は、隙のないエンタメ性
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これはもう、不朽の名作の代名詞といっても良い作品で思い出しながらの鑑賞でもとっても楽しむことが出来ました。飄々とピンチを切り抜けていくルパン達の冒険劇、やっぱり楽しいですよね。
ただこういうノリの作品を観ると、車がひっくり返っても平気だと思ってしまうのは危険ですね(笑)。「もう大事故じゃん」みたいな目に遭ってもケロッとしているルパンですが、この映画ではしっかり重症も負ったりしてちゃんと人間なんだな、と感じさせたりもしてくれます。
もう少しで50年経とうかという作品です。私も生まれる前ですし、メインキャストの方々はクラリスの島本さん以外鬼籍に入られております。
そんな時間の経った作品ながら昨年はIMAXでの再上映もあったり、また数年おきにテレビ放送もされています。今観ても、全く古びていないのが解りますね。
その秘密は、私などがあえて言うまでもないですが完成されたエンターテイメントである、という事でしょう。ドラマ、アクション、ファンタジーとリアルの融合、アニメ映画はこうあるべき、な要素が詰まっています。
ルパンがこの物語に絡むのは、思い出の中のクラリスに恋をしていたからではないかと思います。泥棒として大きなメリットがある訳でもないのに命を懸ける姿に、誰もが応援したくなりますね。
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ところで、他人になりすますマスクって現実にはあるんでしょうか
アクションも、道なき道を行くシーンでふんだんに描かれています。当たり前のように屋根から屋根に飛び移っていますが、子供の頃は平然と見ていたのにいい歳の大人になるとちょっと怖いと思っちゃうんですね、アニメでも。これが夢を失くすってことなんでしょうか(大袈裟)。
そして、古風な舞台と言い伝えによって動く旧家というファンタジー性。ここはなんとなくですが宮崎駿監督の好みがある気がします。
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ここに埼玉県警のパトカーがくる絵面も面白い
最後に、偽札作りで富を得ている悪党というリアリズムです。
これを掴まされたルパンと、知った銭形警部が手を組むのは自然ですし、泥棒とそれを追う者ながら世の中にはそんなものを凌駕する社会悪が存在する、という話なんですね。
そもそもルパン&銭形のコンビはトムとジェリーと同じで、追いかけっこを楽しんでるだけ、に見えたりしますしね(笑)。いつぞやのスーパー戦隊もそうですが、泥棒と警察は決して交わらない平行線、しかし平行線は常に側にある、って感じですね。
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ホント仲良いんですねあなた達
何が言いたいかって、このコンビは熱くて最高じゃん、と再認識した次第です。
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加えて不二子も、白々しくテレビレポーター役をやったり、美味しい場面でしっかりチームの一員っぽさを見せます。
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しかし他にも、様々なところで見かけるネタ、台詞がありました
あらためてその影響力を感じましたね
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しかしこの絵面、親子にしか見えない
こうして銭形警部も含めた「ルパンチーム」が悪を倒すストーリー、老若男女誰が観ても面白い作品として、半世紀近く愛され続けている作品なんですね。
素晴らしい映画であることを再認識し、さらに自分自身の作家としての方向性もまた、あらためて考えを定めるに至りました。
大勢の人に「楽しさ」を
一昨年の10月ですが、こんな記事を書きました。
創作物を世に放つのであれば、より多くの人を楽しませることが第一だろう、という考えから綴った記事です。
よく、芥川賞と直木賞を引き合いに出して、作品のタイプがどちらになっているかという論が交わされることがあります。
私はやはり上の記事に書いた通り、「エンタメ性」を重視した面白い作品を書いていきたい、という思いを今回カリ城を観たことであらたにしましたね。つまり、比べるならば直木賞を目指したい、ということになります。
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車内でのやり取りだけでも一級のエンタメだからです
もう3年前になりますが、シナリオS1グランプリで入選した際に審査員の一人から「エンタメとしてとにかく面白かった」と評していただけたのは本当に嬉しかったです。この路線で、今年もまた進んでいきます。
わかる人にはわかる、みたいな作品は所詮自己満足ですから、わかりやすくて面白いものだけを追求していきたいですね。その両方の作品を造っていた黒澤明監督を崇拝していますが、片方だけ尊敬していく感覚です(笑)。
「どうせ書くなら、「面白さ」に振り切りたい。」
そんな思いを今一度得た、「カリ城」鑑賞録でした。
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もはや作品としてのカリスマ性すら感じさせますよね