ダダ・センプチータの作り方
今週も水曜日がやってきました。
ダダ・センプチータのサトモリサトルです。
5月に予定されている新作公演「踊れない夜の嘘つき」に向けての劇団員note企画、今回5回目の投稿です。
前回の投稿もいいねありがとうございます!
今回のハッシュタグは #仕事について話そう です。
これまで主に僕の日常的なものを投稿してきましたが、今回は仕事がテーマということでダダ・センプチータの公演を行うにあたってどのようなタスクが発生しているのか、劇団としてどんなことを経て本番を迎えているのかみたいなことを書いていこうと思います。
①会場と日程決め
まず、公演を打とうとなった場合日程と会場を押さえなくてはなりません。
これに関しては主宰の吉田次第な部分があります。
彼は普段フルタイムで働いており、どうやら暦通りの休日しか取れないらしいので必然的に土日もしくは連休が本番期間となります。
そして、予算との兼ね合いでその日程で借りられる会場を押さえます。
今回も諸々鑑みた結果、5月のGWにカフェムリウイで公演を打とう!と決定しました。
②タイトル・作品決め
これに関しては主宰であり、作・演出の吉田の投稿を読んで頂ければわかるかと思うのですが彼はタイトル先行で作品を書き始めるという結構珍しいスタイルを取っています。
今回も「踊れない夜の嘘つき」というタイトルが突然降ってきたと語っています。しかし、内容は今と全く違っていたらしく、年始に起きた能登半島地震やJALの航空機事故などを受けた上で現在のストーリーになったそうです。
因みに僕は彼のタイトルセンスに一目置いています。
今回もそうなんですが、過去作品に「猫なめずりの会」「半魚人たちの戯れ」などがあり、タイトル中にのという文字が入ることが多いなあと思っています。
これは宮﨑駿監督作品のタイトルの特徴としても挙げられていますね。
思い返してみてください、「風の谷のナウシカ」「天空の城ラピュタ」「となりのトトロ」「魔女の宅急便」「紅の豚」「千と千尋の神隠し」「ハウルの動く城」…もう枚挙に暇が無い!!
だから何だという感じですが…
③キャスティング
作品が決まったら次は出演してほしい俳優にオファーをかけます。これもまたウチは他所とは違うかなと思っているのですが、キャスティングが決まってから当て書きして作品を書いていくのでこの役にこの人を当てたいというよりはこの人とやってみたい、この人に出て欲しいという前提でオファーをかけます。
それも基本的には吉田から「この人どうでしょう?」という提案があり、他の劇団員がそれに対して意見をしていくという感じです。
オファーをしてそのまま受けてくれれば良いのですが、先方の都合などもありすんなり決まらない時もあります。
そんな時はWSオーディションや稽古会をして、参加してくれた人の中から選ぶこともあります。
今回出てくださる客演の方も去年のWSオーディションからのご縁です。
そして、キャスティングは俳優だけではありません。
スタッフの方々もオファーします。
ダダプチはギャラリーなど劇場ではないところでの公演が多く、建て込みなども殆どしないので舞台監督を基本的には置きません。強いて言えば主宰の吉田がその役割というところでしょうか。
それ以外の音響や照明の効果部、制作を外部の方にお願いします。
ただ最近までは上記の仕事も劇団員で賄っていました。
やはり専任の方がいるのは大変心強いです。
④フライヤー作成
さて、キャスト・スタッフ陣が決まったら次にフライヤーの作成に入ります。
フライヤー作成も主宰の吉田が行っています。
こうやって書き出すと彼の仕事量めちゃくちゃ多いですね…いつも本当にありがとう…
彼は美大出身なので本人は謙遜していますがデザインセンスはあると思います。
基本的に作成したものを劇団のグループLINEに投げて、主に僕がめちゃくちゃ修正の指示をします。
フォントの大きさや種類、微妙な配置、色遣いなど本当に細かく修正のお願いをします。
修正作業は大変だと思うのですが、妥協したくはないので満足できる出来になるまで何度も指示を出します。
そうして出来上がったフライヤー、毎回評判が良いのです。
以前は写真を使っていた時期もあったのですが、最近は吉田の描き下ろしイラストを使用したフライヤーが多いです。
今回のも可愛くてお気に入りです。
⑤脚本執筆
そして、いよいよ公演の要である脚本の執筆作業に入ります。
実際に執筆前に作品のプロット(アニメでいう絵コンテみたいなもの)がダダプチのグループLINEに投げられ、これに対してもあれこれ意見を出し合い、まずプロット段階でOKが出てから執筆に入ります。
そして、実際に台詞に起こされた脚本を事前に劇団員で共有しこのくだりはいらない、この展開はちょっと…など忌憚なく意見を言い合います。
この作業もフライヤー以上にシビアなものです。
脚本家からしたら、自分の書いたものにケチをつけられるのはあまり気持ちの良いものではないかと思うのですが、実際に演じるのは僕たち俳優なのでそこはこちらもシビアにやらせてもらっています。
僕が心がけているのはお客さんの立場になって考える、ということです。
自分が観客の立場で観た時に楽しめるかどうか、受け入れられるかどうかが重要だなと思います。
プロットでは違和感なくても、台詞になってみると違うなと思うこともあります。
さらに、文字で読んでいる時はそうでもなくても声に出してやってみるとちょっと違うなあとなることもあるので脚本の完本は稽古が始まってから何回か経ってからになるのが殆どです。
吉田は割と本を書くのは早い方なので、ダダプチでは稽古初日に脚本が無いということはありません。
ただ今回に関しては、前述したように途中で話の変更もあったりして割と書くのが難航したようです。
それでも初日には途中までですが脚本が上がってきていました。
⑥稽古
脚本が出来上がったらいよいよ稽古です。
現場ごとに様々ですが、大体本番の2〜3ヶ月前から開始するのが一般的な気がします。
前述したように吉田の仕事の関係で、ダダプチの稽古は基本的に土日に行われます。
俳優は稽古期間には台詞を覚えるのも仕事です。
よく聞かれるのが「どうやって台詞覚えるの?」なんですが、これは人それぞれ自分の決まったやり方があると思います。
僕は基本的には移動中かバイトの休憩中に覚えます。
家はくつろぐ場所なので台詞覚えは家ではやりたくないのです。
そして、これは人と違うなと思ってるのですが声に出して覚えるということを基本しません。
視覚と頭の中での反芻、稽古でやった一連の動きとの連動など身体全体で染み込ませていくという感じでしょうか。
台詞を覚えた上で本番が近くなってくると通し稽古をします。
回数としては5回ぐらい出来ると安心。
因みに吉田の書く台詞は「え?」「まあ」「なに」などの相槌が多用されており、その細かい相槌が意外と癖者で覚えるのに苦労します。
⑦宣伝
そして、これも本当に大事な仕事なのが宣伝です。
世は大サブスク時代、月に1000円ちょっと払えば世界中の様々な作品を観ることが出来る今、演劇を観に行くという行為は年々ハードルが高くなっていっていると思います。
コロナ禍以降、チケット代も全体的に値上がりしており毎回どうしたらお客様に足を運んで頂けるかうんうん頭を悩ませています。
ダダプチは今はSNSを強化しています。
このnoteもそうですし、最近ではTikTokを始めました。
今回の作品の登場人物達のへんてこな会話の片鱗が伺えるショートコントを投稿しているので宜しければ是非ご覧ください!
各種SNSでの宣伝以外に、他の団体さんの公演へのチラシ折り込みも行います。
フライヤーで気になって観に来たという方も少なくないので大事な仕事だと思います。
このような感じでざっくりとですが、劇団で公演を行うにあたってどんなことをしているのか書いてみました。
少しでも興味を持って頂けたら幸いです。
↑先日の稽古終わりに劇団員3人で今回の作品に関するおしゃべり動画を撮りました。
こちらも是非ご覧ください〜。
それでは、また水曜日にお会いしましょう。
○公演概要○
ダダ・センプチータ
「踊れない夜の嘘つき」
日時
2024年5月
4日(土)15:00/19:00
5日(日)15:00/19:00
6日(月)13:30/17:00
会場
カフェムリウイ
(世田谷区祖師谷4-1-22-3F)
チケットご予約フォーム
https://www.quartet-online.net/ticket/yiopgqv
※役者個別の窓口はございません
予約 3500円
当日 4000円
U-25 2000円(受付にて年齢のわかる証明書をご提示ください)
※別途ドリンク代を頂きます
作・演出
吉田有希
(ダダ・センプチータ)
出演
サトモリサトル
梁瀬えみ
(演劇ユニット マグネットホテル)
(以上、ダダ・センプチータ)
尾形悟
(演劇ユニット マグネットホテル)
宇都有里紗
大村早紀
制作協力・当日運営
木村優希
(演劇ユニット「クロ・クロ」)
音響・照明
小林和葉