140字小説、架空タイトル『ちゃんと大嫌いになったよ』他
『ちゃんと大嫌いになったよ』
ほら言ったでしょ、私がばらまいた嘘が本当になった。
「まさか!付き合ってないよ」
「やめてくれる?あんな奴」
「ほんとありえないから」
あちこちで私の噂をしてる。腕を組んでいたのは補導、二人きりだったのは指導。
約束通り、在学中はあなたのこと、ちゃんと大嫌いになったよ、先生。
『それじゃ、ぜひ思い出さないでね』
強気な女として知られる私は、振るのが得意。相手が飽きたと感じたら、私から別れるの。だって私は我儘だから、心の傷はなるべく小さくしたいの。
だから今日、あなたに別れを告げる。
「それじゃ、さよなら。ぜひ思い出さないでね」
思い出されると辛いから。
大好きなあなたの記憶から、ただ消えたいの。
『星風の吹くほう』
どこにも行くあてがないのなら、星風の吹くほうに行こうと君は言った。星風?と私が聞くと君は指を空へ向けた。
「ほらごらんよ、星が皆あちらへ流れていくだろう?彼らはああやって風を纏って夜明けに向かうんだ。僕らも一緒に夜明けを目指してみないか」
そうして私たちは手を繋ぎ、星風に身を任せた。