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2023年中のストーカー事案に係る統計

 ~ストーカーの相談が6年ぶり増加、禁止命令は最多となる。

警察庁が全国警察のストーカー事案に関する相談などの統計をとりまとめたので読み解きます。


|ストーカー事案の相談等状況

ストーカー事案に係る相談等件数(令和5年中)は、19,843 件(前年比+712 件,+3.7%)と前年より増加し、依然として高い水準で推移している。
ここ数年減少傾向にあったが昨年は6年ぶりに増加した。

警察庁発表資料から引用

|ストーカー規制法に基づく行政措置

ストーカー規制法に基づく警告は、1,534 件(前年比-334 件,-17.9%)と前年より減少。
禁止命令等は、1,963 件(前年比+219 件,+12.6%)であり、警告前置の廃止及び緊急禁止命令等の新設等を内容とする平成 28 年の改正ストーカー規制法が施行された平成 29 年以降急増しており、令和5年は 改正法施行後最多になった。

警察庁発表資料から引用

|ストーカー事案の検挙状況

ストーカー規制法違反の検挙件数1,081 件(前年比+53 件,+5.2%)と増加
ストーカー事案に関連する刑法犯・他の特別法犯の検挙は令和2年以降増加傾向であり、令和5年は 1,708 件(前年比+58 件,+3.5%)と4年連続で増加した。

警察庁発表資料から引用

具体的な違反罪種でみると
ストーカ規制法違反が最も多い。
ストーカーが関連した刑法犯の検挙1,708件の内、殺人未遂での検挙が18件、傷害が100件、暴行が146件、住居侵入罪360件、脅迫罪227件などとなっている。
その詳細は下表のとおり。

  

|改正ストーカー規制法の適用状況

○ 現に所在する場所の付近における見張り等
   警告 35 件  禁止命令等 83 件  検挙 55 件
○ 拒まれたにもかかわらず連続して文書を送付する行為
   警告 2件  禁止命令等 10 件  検挙 11 件
○ 位置情報無承諾取得等
   警告 10 件  禁止命令等 32 件  検挙 56 件
※ストーカー規制法の改正点についてはこちらをご覧下さい。
https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/stalker/kaiseigaiyou.pdf

|警察本部長等の援助

ストーカー行為等の規制等に関する法律第7条「警察本部長等は、ストーカー行為等を受けている人から援助を受けたい旨の申し出があれば、自衛策の教示など必要な援助を行うこと」と規定されている。この規定に基づく援助申出を受理した件数である。
被害防止措置の教示が最も多い。

警察庁発表資料から引用

|その他の対応

その他の対応としては「被害者への防犯指導」、「加害者への指導警告」、「パトロール」、「他機関等への引き継ぎ」などがある。

警察庁発表資料から引用

|ストーカー事案の被害者・加害者の状況等

(※以下(7)以外、全て相談等件数(19,843 件)の内訳)

◍ 被害者の性別
被害者は女性が87.0%、男性が13.0%となっている。
令和元年以降男性の被害者の占める割合が微増している。

警察庁発表資料をもとに筆者作成

◍ 被害者の年齢
20歳代が6,671件(34.3%)と最も多く、次いで30歳代が4,176件(21.5%)、40歳代3,436件(17.7%)、19歳以下が2,335件(12.0%)と続いている。

警察庁発表資料から引用

◍ 加害者の性別

警察庁発表資料から引用

◍ 加害者の年齢
加害者の年齢は、20歳代が3,958件(19.9%)40歳代が3,410件(17.2%)、30歳代が3,324件(16.8%)と続いている。

警察庁発表資料から引用

◍ 被害者と加害者の関係
被害者と加害者の関係別では、特定の者が98.0%であり、その中をみると
交際相手が最も多く7,389件、37.2%、次いで、知人友人が2,750件、13.9%勤務先同量・職場関係が2,653件(13.4%)となっている。

警察庁発表資料から引用

◍ 動機
ストーカー行為等を行った動機としては「好意の感情」が最も多い。

警察庁発表資料から引用

◍ 行為形態別発生状況
ストーカー規制法第2条第1項に、「つきまとい等」の定義が定められており、同項の1号から8号までの行為が定められている。
また、法第2条第3項の各号に「位置情報無承諾取得等」について規定されている。
それらの各号の形態別に行為を分類したものである。
「つきまとい・待ち伏せ等」が最多、次いで「面会・交際の要求」となっている。

警察庁発表資料から引用

|おわりに

ストーカー規制法が改正されて以降、行政措置命令や取締りなどを強化しているようだが、ストーカー事案の相談や事件数は増加している状況にある。

ストーカー行為は、次第にエスカレートして、凶悪な犯罪に発展するおそれ
のある行為なので、1人で悩まず、できるだけ早めに警察への相談、被害の申告、援助の申し出などを行うことが大切です。
また、急迫の危険を感じたときなどは躊躇することなく110番することも大事ですね。

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