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フリーターの立ち位置は?~生涯賃金は~

以前「本当にフリーターを希望するの?」という記事を書きましたが、そのと追い記事ということで、フリーターと会社員(正規社員)の経済的な違いを中心に書きましょう。


|前回の記事を振り返る

前回の記事では
•  2022年のフリーター数は132万人で、2014年以隆減少傾向にある。
•フリーター経験が応募職種と関連していれば、ブラスに評価される可能性がある。
•フリーターと正社員では給与・退職金等を含め、生涯賃金格差が大きい。
•フリーターである現状を変えずにいると、社会的信用が得にくくなる可能性がある。
•正社員を目指して早めに行動を起こして欲しい。

親の立場からは
○ 学校卒業後は定職、特に可能なだけ正社員になって欲しい。
○ 人生設計をしっかり持って欲しい。
○ 親は先に死ぬ、成人した子の面倒は見切れない。
ということを中心に記載しました。

以下今回のテーマにしたがって記述します。

|フリーターは会社にとって使いやすい?

企業や担当上司等によって異なるところはあるかもしれないが、フリーターは、会社にとって都合の良いポジションであり、使いやすい立ち位置にあるといえます。

なぜなら、健康保険や厚生年金などの適用状況が正社員に比べて悪く会社側の負担が少ない。

また、一般的に会社との雇用関係においては「有期雇用契約」が締結されている場合が多い。
このことは経営状況が悪化した際にすぐ解雇(契約解除)できることになり、会社側としてのメリットといえます。

さらには、仕事に対して不平や不満を言うフリーターに対しては、社員よりも比較的容易に解雇(契約解除)の手続きをとることができるのです。

そのことはフリーターにとっては大きなデメリットですね。
現状に不満があるフリーターは、手遅れにならないうちに正社員就職を目指すことが必要でしょう。

|企業側から見たフリーターの立ち位置

「企業がフリーターをどのように評価しているのか」という点については,労働政策研究・研修機構の「労働政策研究報告書 No.195 中小企業における採用と定着(63p)」に、フリーターに対する評価について以下のような記載があるので参考に紹介します。

4.フリーター経験の評価
中途採用にあたって、応募者にフリーターの経験がある場合、そのフリーターの経験をどのように評価するかを尋ねた結果をみると、全体の約 4 分の 1 程度は「評価にほとんど影響しない」と回答している(図表 3-23)。「フリーター経験の内容や期間に限らずマイナスに評価する」は 2%~6%程度と少ない。多いのは「フリーター経験であっても、その経験から何を得てどのように活かしていくかが明確に説明できている場合はプラスに評価する」が 4割弱~5 割弱でポテンシャル採用・育成企業責任型がやや多い。ついで「フリーター経験であっても、募集する職種と関連があればプラスに評価する」が 4 割弱~4 割強と続く。

労働政策研究報告書 No.195p63より引用

つまり
・ フリーター経験から何を得て、それをどのように活かすかが明確であればプラスに評価する。
・ 募集する職種と関連があればプラスに評価する。
・ 1つの企業に継続して勤務している期間があればプラスに評価する。
・ 評価にほとんど影響しない。
ということであり、フリーター経験があっても、
 「応募職種と関連性があるか」「応募先の企業でどう活かすか」
といった軸が明確であれば、プラスに評価されるということです。

また、同調査では「フリーター経験の内容や期間に関わらず、マイナスに評価する」という項目のパーセンテージが最も低いようです。

|フリーターと正社員の収入の差

一般的には、正社員のほうが高収入の傾向にあります。
また前回記載したように生涯賃金としても大きな差が出ることが推察できます。

以下確認してみることにします。

➤ 年収
厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査 一般労働者 雇用形態別」の第6図(下表)のように、男性では、20歳代ではあまり差はないが、年齢が上がるにしたがって給与格差が大きくなり50~60歳のころが格差が最も大きく二倍にもなっていることがわかります。
また女性の場合も最大2倍の差があります。

フリーターは正社員に比べて昇給しづらく、賞与ももらえない場合が多いので、加齢に伴って年収差が開いていくと言えます。
つまり年収の差が生涯賃金(収入)の差にもつながっています。

また、労働政策研究・研修機構の「ユースフル労働統計 2022」に掲載されているデータでは、フリーターと正社員の生涯賃金には約1億円の差があるとるのことです(退職金を除く)。
※下図「図21-1、図21-5」は、「ユースフル労働統計 2022」より引用し一部加工(朱線加筆)した。

フリーターは退職金をもらいにくい傾向にあるので、退職金を加えるとフリーターと正社員の生涯賃金の差はこれよりもさらに広がると考えられているようです。

|年金受給額にも差が出るの?

フリーターは厚生年金に加入していない場合が多く、国民年金のみの場合もあることから、一般的に年金受給額も正社員で勤務していた人よりより低くなり得ます。

日本年金機構の「令和6年4月分(6月14日(金曜)支払分)からの年金額」によると、令和6年度の国民年金の月額は6万8,000円、厚生年金(夫婦2人分)の月額は23万,483円です。
厚生年金を1人分に換算すると約11万5千円なので、国民年金の受給額とは倍近くの差があることが分かります。

令和6年4月分(6月14日(金曜)支払分)からの年金額

詳しくは、https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2024/202404/0401.html

|フリーターのままでいると?

フリーターのままでいた場合のデメリットは、
・社会的信用が得にくい
・孤立しやすい
・生涯賃金が低い
・年金支給額が低い

といった点があげられます。

この点について簡単に説明します。
➤ 社会的信用が得られない
フリーターは社会的信用を得ることが厳しい傾向にあります。
現状での「社会的信用」の高さは、収入の安定性や社会的地位の高さといった要素で決まることが多いですね。

社会的信用が得られない場合には、住宅ローンや自動車ローンが組めなかったり、クレジットカードの審査に通りにくいというようなことがあります。結婚、マイホームや車の購入などにを考えると大きなデメリットともいえるでしょう。

➤ 孤立しやすい
フリーターは、将来孤立するおそれがあるといえるかもしれません。
若いときは知人友人がいるかもしれません。しかし、社会的信用が得にくい、頼っていた人が離れていくなどの現況も見受けられます。

それは正社員の友人とは生活環境が異なり、次第に価値観が合わなくなる場合が多いので、距離が開きやすいといえます。
私自身、あまり意識はしていなかったのですが、フリーターを長くしていた同級生とは徐々に友達感が薄くなり、疎遠になってしまいました。

ということで、フリーターで一生過ごすとなると、病気やケガで働けなくなった際の生活が立ち行かなくなってしまうこともあるかと思います。

また、たとえ両親と同居していたとしても、いつまでも両親と生活できるわけではありません。

➤ 生涯賃金が低い
生涯賃金が低い先に説明したように、フリーターは雇用や収入が不安定な傾向にあります。そのため将来を不安視され、結婚を避けられることもあります。

「親に頼れば大丈夫」「結婚すれば良い」と、もしも安易に考えているようなフリーターは、適宜、将来設計を考えてみることが必要でしょう。

➤ 年金額が低い
これも先に説明した通り。厚生年金分が付加されないこと、賃金が低いことなどから年金支給額も低い状態です。
もちろん個人的に積み立てや民間の個人年金などに加入し積み立てることで差額を埋めることも可能ですが・・・年収が低い中では厳しいですね。

|おわりに

今回はフリーターと正社員の生涯賃金の差や、企業におけるフリータの立ち位置などについて記載しました。

決してフリーターが負であるとは言いませんが、リスクやデリットと多いというように思います。
次回に続きます。次回は主にフリーターが正社員になる場合のポイントなどについて記載します。


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