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信号無視違反について_信号に従う義務と確認義務

道交法に規定されてる「信号に従う義務」を怠ると「信号無視」として検挙されて青切符を切られることになる。でも本来は二つの義務が隠れていることをご存じですか?


|道路交通法(「道交法」という)の規定

◍ 道交法第7条の「信号機の信号に従う義務」の規定は以下のとおりだ。

(信号機の信号等に従う義務)
第七条 道路を通行する歩行者等又は車両等は、信号機の表示する信号又は警察官等の手信号等(前条第一項後段の場合においては、当該手信号等)に従わなければならない。
(罰則 第百十九条第一項第二号、同条第三項、第百二十一条第一項第一号及び第二号)

◍ 道路交通法施行令第2条の「信号の意味等」は規定は以下のとおり。

(信号機の意味等)
第二条 法第四条第四項に規定する信号機の表示する信号の種類及び意味は、次の表に掲げるとおりとし、同表の下欄に掲げる信号の意味は、それぞれ同表の上欄に掲げる信号を表示する信号機に対面する交通について表示されるものとする。

参照先:E-GOV検索「道交法施行令」

|信号に従う義務の履行

信号に従う義務(第7条)は、車両等の運転者及び歩行者は信号に従う義務を負い、赤信号の時は停止位置を越えて進行してはならないこととされている。
もし停止しなかった場合には「信号無視違反」として、通常は交通反則制度により、いわゆる「反則切符(青切符)」を作成され反則金を納付することになる。

歩行者の場合ももちろん信号無視となるが歩行者には反則制度が適用されないので、交通事件として書類を作成して検察庁に送致するという手続きになる。
交通事故の際に歩行者が信号無視である場合などがこのような手続きをとることがある。

|信号無視の中に隠れる二つの義務

あまり言及されていないし話題になっていない(これも当然であり当たり前かもしれないが・・)が、第7条の「信号に従う義務」の中には
① 信号を確認する義務
② 信号に従う義務
の二つが含まれているのだ。

①の「信号を確認する義務」とは、信号機の表示する灯火(信号の色)を確認する義務があるということ。

うっかり信号の灯火を確認しないで進行したために結果として、信号を見落としてしまい「信号無視違反」になる場合がこれにあたるのだ。
信号機の灯火を見落としはいわゆる「過失」であり、過失による信号無視となり、罰則は法第119条第2項(10万円以下の罰金)に該当する。

②の「信号に従う義務」は、信号の灯火の「赤色」を認識した場合には停止線を越えて進行してはならない、つまり停止しなければならないのだ。

これを怠って信号を無視した場合には信号無視違反となる。
このような信号無視はいわゆる「故意」による信号無視ということで罰則は3か月以下の懲役または5万円以下の罰金(道路交通法119条1項)である。

法定刑(罰則)は異なるが、いずれも交通違反通告制度の対象となる違反であり両者は区分されていないことから、普通車の場合は反則金9,000円を納付すると刑事罰を課されることはない。反則点数(基礎点数)は2点である。

|時々ある事例

大型のパネルトラックの後ろを接近して続いて走行していた際に赤信号無視で警察官の取り締まりを受けた。その際、「トラックの後ろだったので信号が見えなかった。見えなかったから仕方ないじゃないか!」という人がいる。
しかし「見えなかった」「従わなかった」とは、まったく別の間題であり、「見えなかった」のではなく「見なかった」ので免責される事案ではないのだ。

法律的には、前記の①の信号を確認する義務があるのにこの確認を怠ったり、結果として信号無視となったということなのだ。
ぼんやりしていたり、考え事をしていて信号を見落としたという状態と同じカテゴリーに入るのだ。

信号無視の例(筆者撮影)

|違法性が阻却される場合

信号が「見えなかった」場合とは、トラックのうしろで・・というのはなく、物理な事情で見えない状態であった場合をいうのである。
「確認しろ」といっても物理的に見えないのでは確認しようがないということで信号無視という違法な行為ではあるが違法性が阻却されることになるのだ。

信号機が物理的な事情で見えない、見えなかったという状況とは、例えば、信号機の前に植栽の枝葉が覆いかぶさり灯火の色が確認できる状態でない場合には、確認しようにも確認できない状態であるといえる。

本来、信号機は適正に視認性が確保されるように公安委員会が管理をしなければならないことになっており、適正に管理されていることでその効力を発揮するものである。
また、信号の赤色の灯火が球切れなどで滅灯していた(点灯しない)場合なども同様である。

|交通事故の場合

交通反則制度上は、信号に従う義務も確認義務も一緒の反則金や行政処分点数になっているが、交通事故や正式裁判になった場合の刑事罰の量刑は異なる。

交通事故の場合の責任としては、故意過失の違い、相手方のけがの程度によって処分が異なってくる。
ただ少なくとも判例の中では「信号機の灯火を確認しそれに従うべき義務を怠り・・」とか「信号を確認する義務があるのに考え事をしていたため信号灯火を見落として・・」、「信号が赤色であったのだからこれに従い停止すべき義務があったのに・・・」などと判示している例が多い。

|おわりに

自動車や車両運転者はもとより歩行者もしっかり信号を確認し、確認したらその信号意味に従い行動しましょう。
そのことが結果として、自分を守り、周りの交通を守ることになるのです。

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