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飲酒運転で捕まると・・
飲酒運転で検挙された後は・・・、はて、どういう手続きによって処分を受けるのでしょうか?ザックリとひもときます。
|酒気帯び運転と酒酔い運転
警察の検問等で飲酒運転の疑い有りとなった場合には・・・
まず飲酒の有無の検査、正常な運転ができるか否かの検査が行われます。
飲酒の有無の検査では、機器を使って呼気の中のアルコール濃度を検査し、正常な運転ができるかどうかは運転者の歩行能力や言動、顔色など客観的な状態を客観的に見分を行います。
その結果0.15mg以上のアルコール保有量が検知され、かつ正常な歩行や言動等であるなら「酒気帯び運転」に、また、アルコール保有量に関わらず歩行能力や言動などから判断して正常な運転ができないと認められれば「酒酔い運転」ということになります。
|任意捜査と強制捜査
違反が成立しているということになると、交通切符(いわゆる「赤切符」)による任意捜査として捜査をするか、または現行犯人として逮捕して強制捜査とするかの判断を取調中の警察官が判断します。
一般的には任意捜査ということになるのでしょうが、逃走、証拠隠滅のおそれのある場合などは逮捕し強制捜査ということになります。
近年では悪質性の高い酒酔い運転や酒気帯び運転でも前歴があったり事故を伴ったりすると逮捕されることがあります。
|交通切符処理の場合の流れ
酒気帯び運転もしくは酒酔い運転で、任意捜査になった場合には、通常は交通切符、いわゆる「赤切符」が作成され、違反者に交付されます。
赤切符には、違反に関する取り調べを行うために出頭する日時、場所が記載されており、違反者はその指定された日時・場所に出頭することになります。
ここでは通常、警察、検察、そして裁判所の三機関の協力によって1日で処理する「三者即日処理」という略式裁判が行われます。
事務的な流れとしては、警察官と検察官の取り調べを受けた後、裁判所への略式命令請求、裁判所による略式命令の手続きが行われ、その日のうちに罰金が言い渡されます。
三者即日処理の場合には、罰金はその日に送付しますが、支払うことができない場合には罰金の窓口で検察庁職員に申し出ることで後日の払込が可能です。
罰金を納付すると、酒気帯びや酒酔い運転違反の処理が終了になります
|強制捜査の流れ
1.警察署への引致
飲酒運転で逮捕された後の一般的な流れとしては、取締り現場において警察の取り調べを受け、飲酒運転(酒気帯び運転もしくは酒酔い運転)の現行犯人として逮捕された違反者は、最寄りの警察署等に連行され、警察署の司法警察員に身柄を引き渡されます。
これを「司法警察員への引致」といいます。
違反者の身柄を受け取った司法警察員は
○ 犯罪事実の要旨の告知
○ 弁護人選任権の告知
○ 弁解の機会を与え弁解録取書の作成
などの手続きをおこないます。
その上で、司法警察員は、留置をするか釈放するかの判断を行うことになります。(刑事訴訟法第203条)
なお、司法警察員とは、巡査部長以上の警察官をいいます。
また巡査および巡査長の階級にある警察官は司法巡査といいますが、一部司法警察員の指定を受けた巡査、巡査長の警察官もいます。
釈放になった場合は、強制捜査から任意捜査に切り替わり、出頭要請があればその要請に応じて取り調べなどに任意で応じていくことになります。
留置をする必要があると判断された場合は、警察署の留置場等に留置されます。そして警察は逮捕から48時間以内に被疑者とともに事件を検察官に送致されることになります。
2.検察の取り調べ
警察から送致を受けた検察官は警察と同様に弁解の機会を与え、留置の必要がないと判断した際には直ちに釈放されることになります。
検察官が留置の必要があると判断した場合は、裁判官に勾留請求します。(刑事訴訟法第205条)
勾留の請求は、検察官が司法警察員(警察官)から送致を受けてから24時間以内、かつ逮捕から72時間以内に裁判官に行うこととされています。
勾留の請求を受けた裁判官が勾留の必要があると判断すると、勾留状が発布され、必要がないと判断すれば釈放されます。
留置される場合一般的には警察署の留置施設に勾留されます。
勾留期間は10日間ですが、検察官がこの間に公訴の提起や略式起訴にしない場合には検察官は被疑者を釈放することになります。ただしやむを得ない事情がある場合(証拠隠滅や逃亡の恐れなど)は、検察官の請求により、裁判官がさらに10日間以内で勾留期間の延長を認めることもあります。
|起訴後の流れ
起訴されると、被疑者から「被告人」という呼称にかわり、裁判等手続きに移り、罰金刑や懲役刑になることが多いです。
なお、勾留期間中に犯罪の嫌疑が不十分や起訴猶予などのいわゆる不起訴処分となった場合には捜査は終結し、道路交通法違反(飲酒運転)による刑事責任が問われなくなります。
|飲酒運転の罰則
【刑事罰】
ご存じの方も多いとは思いますが、酒気帯び運転および酒酔い運転の罰則については掲載します。
飲酒運転は、犯罪であり厳しい罰則が適用されます。
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【運転免許の行政処分】
交通違反の前歴がない場合は、酒気帯び運転で呼気中アルコール濃度が、0.15mg以上0.25mg未満の場合は、基準点数が13点となり、行政処分の前歴(過去3年以内の運転免許の停止など)がない場合は90日間の免許停止。
呼気中アルコール濃度が0.25mg以上および酒酔い運転の場合には、それぞれ基準点数が25点、35点であり、一発で「免許取消」。
運転免許の行政処分は、基準点数、前歴の回数によって処分量定や欠格期間(運転免許の再取得ができない期間)が変わります。
なお、刑事事件がいわゆる不起訴処分の場合でも、運転免許の行政処分は行われます。
|おわりに
酒気帯び運転で検挙された場合、初犯では略式起訴による罰金刑となることが多いようですが、飲酒運転の検挙歴など前歴があったり酒酔い運転の場合には逮捕されることもあり、結果として懲役刑になることもあるのです。
また、罰金刑となった場合でも「前科」となります。
飲酒運転をすると、運転免許が停止や取消処分になったり、前科が付いたりするなど大変厳しいペナルティが待っています。
さらに飲酒運転で交通事故を起こした場合には、本人の人生はもちろんのこと、自分や家族や、被害者家族などの財産的・精神的な負担など関係者の人生を大きく狂わせてしまうことになります。
そしてその後の人生に大きなリスクを負うことになるのです。
飲酒運転は絶対にダメ!
ちょっとだけとか、ひと眠りしたからなどと甘い考え方は禁物です。
近年では、朝方の通勤時間帯の酒気帯び運転での事故や違反が目立っています。
前日の飲酒量や飲酒していた時間によっては、翌朝でもアルコールが検知され、いわゆる「酒気のこり運転(二日酔い運転)」になることもあるので、飲酒した翌朝も気を付けましょう。