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「ながら運転」による事故が多い

警察庁が公表した「令和6年中の交通事故の発生状況」、これをみると自動車も自転車もスマホなどを使用中の運転、いわゆる「ながら運転」による死亡・重傷事故が多いというので、ちょっとひもといてみた


|令和6年中の死者数及び重傷者数

令和6年中の交通事故の中で、特に死亡者数及び重傷者数は、
 ○ 死者数  2,663人(前年比-15人、-0.6%)
 ○ 重傷者数 27,285人(前年比-351人、-1.3%)
とともにわずかに減少している。
 
特徴的なところでは
 ○ 65歳以上の死者数が増加
 ○ 状態別では、「自動車乗車中」が増加、「歩行中」、「二輪車乗車中」及び「自転車乗用中」は減少
しているという。

|携帯電話等使用運転関連事故の状況

死亡・重傷事故における携帯電話等使用運転関連、いわゆる「ながらスマホ運転」といわれる事故が、自動車と自転車も増加しているという。

|自動車の携帯電話等使用運転関連事故の状況

自動車運転中の「携帯電話等使用」に関する死亡・重傷事故件数は近年増加傾向にあり、令和6年は136件であり、平成26年以降最多となった。

令和元年の「運転中の携帯電話等使用に係る罰則強化」の翌年には一旦大きく減少したものの、その後連続して増加している(下図参照)。

なお、「画像目的」が「通話目的」よりも多く、近年では9割が「画像目的」であり、スマホ等の画像を注視しながらの運転中に死亡事故や重傷事故の当事者になっている状況にある。

出典:警察庁「令和6年における交通事故の発生状況について」

下図(左)に示すように、携帯電話等使用時の死亡事故率を比較すると、使用時は不使用時の約3.7倍死亡事故の発生率が高くなる状況にあるのだ。

年齢層別では、20歳代から30歳代が約5割を占め、次いで40歳代、50歳代と続いており、若い年齢層が自動車運転中にながら運転をし死亡事故や重傷事故の当事者になっている割合が高い状況にある。

出典:警察庁「令和6年における交通事故の発生状況について」

|自転車の携帯電話等使用運転関連事故の状況

自転車運転中の「携帯電話等使用」に関連する死亡・重傷事故件数は、令和3年に増加したが翌令和4年にはわずかに減少したものの以後増加傾向にあり、昨年は平成26年以降では最多である。

内容的には、各年とも「画像目的」の使用の割合が多く、昨年は9割が画像目的、つまりスマホ等の画像を注視中に交通事故に関与し、死亡もしくは重傷事故の当事者になっている状況にある。

出典:警察庁「令和6年における交通事故の発生状況について」

年齢層別では、19歳以下が約6割を占めており、次いで20代、30代、40代の順で続いている。
若い年齢層ほど、スマホ等の画像を注視しながら自転車を運転し、死亡・重傷事故の当事者になっている。

出典:警察庁「令和6年における交通事故の発生状況について」

|おわりに

ながら運転については、自動車に係る死亡・重傷事故が増加したことから令和元年に厳罰が強化され、翌年一旦は減少したものの、令和3年から再び増加に転じている。

また、自転車は、令和3年には前年の二倍にまで増加し、以降高水準を維持していることから令和6年11月に罰則が強化された。

いずれも、特に若者層が当事者として関与している割合が高い状況にあることから、若者のスマホ依存度が高いことも影響している可能性があるのではないだろうか。

法律改正による罰則強化の効果がどれだけ保たれるのか、また、取締りや交通安全教育に期待するところではあるが、それだけでは解決しないだろう。今後更に交通事故死者数や重傷者数を減少させるためには、なにか根本的対策が必要なのではないかと悩むところである。

参考資料

https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/bunseki/nenkan/070227R06nenkan.pdf