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外国人技能実習生の実習実施者に対して行った令和5年の監督指導、送検等の状況


外国人技能実習生の実習実施者に対して行った令和5年の監督指導、送検等についてちょっと解説します。


|厚労省の公表

厚生労働省は、全国の労働基準監督署等が、令和5年に外国人技能実習生(以下「技能実習生」)の実習実施者(技能実習生が在籍している事業場)に対して行った監督指導(立入調査)や送検等の状況について公表しました。
その概要は以下のとおりです。

|令和5年の監督指導・送検の概要

引用すると以下のとおりです。

労働基準関係法令違反が認められた実習実施者は、監督指導を実施した10,378事業場のうち7,602事業場(73.3%)。
※ 監督指導は、労働基準関係法令違反が疑われる実習実施者に対し実施しています。

主な違反事項は、(1)使用する機械等の安全基準(23.6%)、(2)割増賃金の支払(16.5%)、(3)健康診断結果についての医師等からの意見聴
取(16.2%)の順に多かった。
重大・悪質な労働基準関係法令違反により送検したのは27件。

|外国人技能実習制度

外国人技能実習制度は、技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護を図ることにより、企業などでの人材育成を通じた技能等の母国への移転により国際協力を推進することを目的としています。

|技能実習生の実習実施者に対する監督指導、送検等の状況

(1)法令違反の状況
令和5年に全国の労働基準監督署等において、労働基準関係法令違反が疑われる実習実施者10378事業場に対して監督指導を実施したところ 、その73.3% に当たる7602事業場で同法令違反が認められた 。

(2)主な違反事項
主な違反事項は、
(1)使用する機械等の安全基準(23.6%)
(2)割増賃金の支払(16.5%)
(3)健康診断結果についての医師等からの意見聴取(16.2%)

の順に多かった。
重大・悪質な労働基準関係法令違反により送検したのは27件。

(3)主な業種に対する監督指導状況
主な業種に対する監督指導の状況は 、 次のとおりであった 

(4)監督状況の事例
監督指導の事例には、以下のようなものがあった。

|申告状況

⑴労働基準関係法令違反の是正を求めてなされた申告
令和5年に技能実習生から労働基準監督署等に対して労働基準関係法令違反の是正を求めてなされた申告の件数は 141 件であった。

⑵主な 申告 内容
主な 申告 内容
 ① 賃金・割増賃金の不払( 114 件)
 ②解雇手続の不備( 35 件)
 ③支払われる賃金額が最低賃金の効力(6件)

の順に多かった。
<注>申告事項が2つ以上ある場合は、各々に計上しているので、各申告事項の件数の 合計と申告件数とは一致しない。

(3)申告事例
申告事例には以下のようなものがあった。

|送検の状況

(1)送検状況
令和5年に全国の労働基準監督署等において、技能実習生に関する重大・悪質な労働基準関係法令違反が認められた事案として送検した件数は、27 件であった。

(2)送検条文の内訳
送検条文の内訳は、次のとおりであった。

(3)送検事例
送検事例には 、 以下のようなものがあった。

|労働基準監督署等と外国人技能実習機構等との相互通報の状況

技能実習生の労働条件の確保を図るため、 労働基準監督署等では、外国人技能実習機構等との間で、 相互に 通報し、合同監督・調査を実施している  。

また、令和5年に 労働基準監督署等から 外国人技能実習機構へ通報した件数は 519 件、 外国人技能実習機構 から 労働基準監督署等へ 通報された件数は 2,173 件である。

なお、監督指導等の結果を相互に通報する以外にも、強制労働等技能実習生の人権侵害が疑われる事案については、外国人技能実習機構との合同監督・調査を行うこととしており、42の実習実施者に対して実施した。

|おわりに

外国人技能実習生の実習実施者に対する監督指導、送検等の状況については上記のとおりであるが、ちょっと驚いたのは、労働基準関係法令違反が疑われる実習実施者の73.3%に違反行為があったという。

技能実習生の適正な労働条件と安全衛生の確保に重点的な取組に期待したい。
※本文中使用した図表は、厚生労働省発表の「技能実習生の実習実施
者 に対する監督指導、送検等の状況」より引用転載している。

<参考>

https://www.mhlw.go.jp/content/11202000/001280229.pdf

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