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SNS型投資・ロマンス詐欺の被害発生状況等について

警察庁が「SNS型投資・ロマンス詐欺の被害発生状況等について」という統計をまとめたのでその概要を読み解くことにする。


|「SNS型投資・ロマンス詐欺」とは

都道府県警察が認知したSNS型投資及びロマンス詐欺の定義としては次のとおり。

 ○ SNS型投資詐欺

相手方が、主としてSNSその他の非対面での欺同行為により投資を勧め、投資名目で金銭等をだまし取る詐欺(特殊詐欺又はロマンス詐欺に該当するものを除く。)

「元本保証」「必ず儲かる」などと、あたかも利益が出るような口ぶりで投資(FXや暗号資産)を持ちかけられたら要注意!!!

 ○ ロマンス詐欺

相手方が、外国人又は海外居住者を名乗り、SNSその他の非対面での連絡手段を用いて被害者と複数回やり取りすることで恋愛感情や親近感を抱かせ、金鏝等をだまし取る詐欺(特殊詐欺に該当するものを除く。)

投資とは違う話をして交流を深めた後、海外サイトでの投資などを持ちかけられ、被害に遭うケース(ロマンス投資詐欺)もある。

それぞれの手口など子細は次回以降に書くこととし、発表された内容を中心に説明する。

|SNS型投資・ロマンス詐欺の被害発生状況

令和5年1月から令和5年12月末までに都道府県警察が認知したSNS型投資詐欺及びロマンス詐欺に係る被害発生状況を調査し取りまとめた結果は以下のとおり。

 ○ 昨年中の認知件数、被害額

昨年中の認知件数、被害状況は、合計で認知件数3,846件、約455.2億円であり、
・ 1件当たりの平均被害額は1,000万円超
・ SNS型投資詐欺はもちろんロマンス詐欺の多くでも、投資が詐取の
  名目である。
などの状況にある。

 ○ 月別推移

月別にみると
SNS型投資詐欺、ロマンス詐欺ともに、認知件数、被害額が下半期の増加が顕著になってることが分かる。

|SNS型投資詐欺の内容

 ○ 被害者の男女別・年齢層別

被害者の男女別では
 男性が56.9%、女性が43.1%
となってる。

また、年齢層別にみると、
・ 男性は50歳代から60歳代
・ 女性は40歳代から50歳代

がそれぞれ多い年齢層になる。

 ○ 被害金額分布状況

SNS型投資詐欺の被害金額の分布をみると、500万円以下が最も多いが、1億円を超える被害も26件確認されている。
また、男女間での被害の傾向に大きな差はなかった。

 ○ 被害者が詐称した国籍

被疑者が詐称した国籍としては
 日本国内(58.1%)、東アジア系(7.4%)、東南アジア系(2.2%)その他、北米系、欧州系が続いている。

また、被疑者が詐称した職業は、判明している分(1064件)中の過数が「投資家」(57.6%)を自称している。

 ○ ツール別

初接触時(最初に相手方が接触してきた時)のツールは、男女間で異なっている(下の円グラフ参照)ものの、主なものは、フェイスブック、LINE、インスタグラムを使用している。
その後の具体的な連絡の際のツールは「LINE」が88.6%を占めていた。

 ○ 被害金の交付形態

お金の受け渡し方法(交付形態)としては、
 振込(86.0%)、暗号資産(12.2%)、電子マネー(0.8%
となってる。

|SNS型ロマンス詐欺の被害状況

 

 ○ 被害者の男女別・年齢層別

被害者の男女別では
 男性が48.4%、女性が51.6%
と女性の被害者が多い。

また、年齢層別では、
○ 男性は50歳代から60歳代
○ 女性は40歳代から50歳代

がそれぞれ多い状況にある。

 ○ 被害金額分布状況

ロマンス詐欺の被害金額分布としては、500万円以下が最も多いが、1億円を超える被害も14件確認されている。
女性被害者の被害金額が男性よりやや高額化の傾向にある。

 ○ 被疑者が詐称した国籍

被疑者が詐称した国籍としては
 日本国・在外(17.8%)、東アジア系(35.2%)、東南アジア系(12.1%)
その他、北米系、欧州系が続いている。

また、被疑者が詐称した職業は、判明している分(748件)の中では
    会社役員(18.6%)、投資家(17.4%)、医療関係(13.9%)、会社員(13.6%)
となっている。

 ○ ツール別

初接触時(最初に相手方が接触してきた時)のツールとしては、男女間で異なっているが(下の円グラフ参照)主なものはフェイスブック、インスタグラム、マッチングアプリを主に使用している。
具体的な連絡の際のツールは「LINE」が88.5%を占めている。

 ○ 被害金の交付形態

お金の受け渡し方法(交付形態)としては、
 振込(79.9%)、暗号資産(15.7%)、電子マネー(3.4%
となっている。

|おわりに

以上のように、昨年中のSNS型投資詐欺及びSNS型ロマンス詐欺の被害件数や被害金額は、1件当たりの平均被害額は1,000万円を超るという驚くべき実態にある。

SNS型の詐欺の場合には本人同士が非面接、非接触で、しかもLINEを使用して金額の振り込み等の要求をしている実態があるようだ。

しかも渦中の被害者は、被害に遭うこと、さらには被害に遭ったことも認識していない場合が多いという。
甘い言葉に騙されているので注意していただきたい。
また、捜査機関には一層の注意喚起のための広報啓発と犯罪組織の摘発検挙に努めていたらだきたいものだ。


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