墓地・葬儀に関する手続き_その1 法定事項
人生の最後は「死」、そして「死」の流れとしたは葬儀、火葬、納骨といことになるのだろう。
そのあとの「相続」という手続きもあるが、これは相続人がとるべき法的な手続きだ!
生きている人が人生の終局となるのは通常はここまで。
※相続まで含めて論じる人もいるが・・
|問題提起
私も両親を看取り、すでに喪主としての立場で必要な措置を講じてきた。
そして諸般の事情からこれまで田舎の共同墓地に眠る先祖代々の霊を菩提寺に移すこととし、改葬手続き申請等を含めた各種手続き、施行等もこれも無事に終了させることができた。
ちなみに改葬とはお墓の移動のことだ。
田舎のご近所さんから「親が亡くなったので、墓地を探しているが改葬した跡地を譲ってほしい」との連絡がった。
もちろん快諾したのだが・・・。
さて前置きが長くなったが、法律的には、死者の埋葬は義務なのか?墓地を設ける時の手続きは?など、経験を踏まえて数次に分けて記載することにする。
|埋葬は義務?
人が死亡した場合、市町村長の許可を得て埋葬しなければならない。それゆえ病院で亡くなった場合などは葬儀屋などがが死亡診断書をもとに、死亡届、埋葬許可の申請を代行して市町村長に申請するど、必要な手続きを進めてくれる。しかし葬儀屋がやらなければ遺族(通常は相続予定人)がその手続きを行わなければならない。
つまり、法律で「火葬し埋葬しなければならない」ことが規定されておりその法律名は「墓地埋葬法(略称)」である。
埋葬せずに死体を放置しておくことは「死体遺棄罪」に問われることになるのだ。
|「墓地埋葬法」
「墓地埋葬法」は、1948年(昭和23年)に定められた墓地や納骨堂、火葬場などの管理運用に関する法律で、正式な法律名は「墓地、埋葬等に関する法律」という。
その目的が第1条に規定されており以下のとおりの規定である。
すなわち、管理・経営者が執り行う埋葬や火葬のルールを定めた法律なのだ。
|墓地乃埋葬取締規則
「墓地埋葬法」の以前に制定された法律が「墓地乃埋葬取締規則」である。
これは歴史的な火葬の流れにおいて、墓地や火葬が許可制になった転換点となる法律だといえる。
その目的としては、墓地を取り締まることを主眼とし、それぞれの地域で行われていた埋葬や火葬に統一的なルールを加え、都道府県ごとにその基準を設置しているのかを確認することだ。
これを明治政府が中心となって行い、地域によってバラバラだった葬儀に制限的な意味合いを加えたものだということできる。
|墓地埋葬法の内容
〇 埋葬・火葬をする際のルール
埋葬や火葬に対してルールを作るのが「墓地埋葬法」の役割であり、個人や団体が埋葬・火葬に係る場合には、いくつかの条文に照らしたルールを守る必要があります。
〇 死亡か死産した後に24時間が経過すること
24時間経過しないと埋葬や火葬はできないとされている。
例外として、妊娠6ヶ月以下の死産、新型コロナウイルスの感染者の場合などがあるが、基本的には火葬までの期間として24時間ルールがあるのだ。
〇 納骨は、事前に許可を得た墓地でなければできない。
納骨は許認可を受けた墓地でしかしてはいけないことになっている。
〇 身内がいない場合
死亡して葬儀をしてくれそうな人が周囲にいない場合は、「行旅病人及び行旅死亡人取扱法こうりょびょうにんおよびこうりょしぼうにんとりあつかいほう)」という法律に則り、死亡地の市町村長が葬儀を行い、費用もまたこの法律の通りに処理することになる。
つまり身元不明死体として取り扱い公費により火葬までの手続きが執り行われ、いわゆる「無縁仏」として市町村と契約をしている寺院等に託されることになる。
行旅病人(こうりょうびょうにん)とは、歩行することができない行旅中の病人という意味であり、療養先が見つからず、救護者のない人をいう。
|墓地などの管理・経営者側は
「墓地埋葬法」には、埋葬・火葬をする側とは逆に、管理・経営者側のルールが定められている。
〇 都道府県知事、市町村長の許可制
各施設(墓地や納骨堂、火葬場)の経営者は、都道府県知事の許可を受けて施設を管理することになる。そのため、施設変更や廃止については都道府県知事等の許可が必要となるのだ。
〇 埋葬許可等が必要
それぞれの施設(墓地や納骨堂、火葬場)は埋葬・収蔵・火葬を許可証なく行うことができない。
ここでいう「許可証」と、は具体的には「埋葬許可証」、「改葬許可証」、「火葬許可証」のことをいうが、これらの許可証がないものを実施することはできないのだ。
それゆえに各施設から埋葬許可や火葬許可証の提出が求められるのである。
〇 許可証の保管義務
それぞれの許可証は5年間管理者の方で保管しなければならないとされている。
〇 違反者への罰則
施設側等が「墓地埋葬法」に違反した場合には、施設の管理・経営者に対しての罰則が科せられることになる。
【6カ月以下の懲役又は5千円以下の罰金】
・ 都道府県知事等の許可を受けずに(10条)管理・経営した場合
・ 都道府県知事等の使用制限・停止命令(第19条)に違反した場合
【千円以下の罰金又は拘留若しくは科料】
・ 火葬までの時間や墓地域内での火葬、埋葬や火葬に許可が必要となる
など(第3~5条)
・ 第12~17条の違反
・ 都道府県の職員の立ち入りを拒否した場合(第18条)の違反
※ いずれも、法人や代理人、従業員の場合であっても罰則が適用される。
|まとめ
今回は墓地埋葬法などについてその概要を説明しました。
「墓地埋葬法」なども数次にわたり適宜改正されているが、変更点があるので問題意識を持つ方はこの記事を参考にもう一度条文を確認するようにして欲しい。他のサイトを含め最新のデータを確認いただきたい。
なお、次回は法令上の原則等について説明する。
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