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カスタマ-ハラスメント

さまざまな媒体で「〇〇ハラスメント」という言葉を耳にする機会が多くなりましたね。TVのワイドショーなどでも連日取り上げられている。

今回は、企業を悩ませるカスタマーハラスメントについて少々書きます。


|カスタマーハラスメント(カスハラ)

カスタマーハラスメント(以下「カスハラ」として書く)は、企業が顧客から受ける悪質なクレームのことである。

クレームの中には、企業側のミスに対する指摘やサービスの改善•向上に繫がるものもあり、企業活動において必ずしもマイナスに作用するものとは限らないし、相互の話し合いを通じて解決できるようなケースもたくさんある。

しかしカスハラといわれるものは、顧客から攻撃的な態度を示されたり、異常なほど過剰な対応を執拗に求められたりして、落ち着いた解決を望むことができないことが大きな特徴といえる。

|カスハラは深刻

近年、深刻さを増す「カスハラ」は、大きく分けて以下の3つが挙げられる。

〇 暴言・恫喝
「死ね」「クズ」などと大声で罵ったり、「自宅まで謝罪に来い」「土下座しろ」といった過剰な要求をしたりする行為は、カスハラの代表的な事例だ。
このような行為は、脅迫罪や強要罪に該当する可能性もあるのだ。

〇 金銭の要求・支払い拒否
理不尽な理由で何らかの被害を受けたとして慰謝料などの金銭を要求したり、受けたサービスなどに適当な理由をつけて支払いを拒絶したりするような行為。
例えば、商品の渡し方が気に入らないとの理由から100万円の慰謝料名目でお金を要求するのだ。もちろんこのような場合には、恐喝罪や強要罪に該当する可能性もあるのだ。

〇 SNSへの投稿、拡散
近年のSNSの普及に伴い、店員に土下座をさせてその様子をがSNSにアップしたと報道されていたことがある。このような行為はプライバシーの侵害になるのはご存じのとおり。

また、企業への誹謗中傷や嫌がらせ、虚偽の書き込みもカスハラになる。
これらは名誉毀損罪や信用毀損罪に該当する可能性もある。

|「カスハラの見分け方」について

一般的なクレームとカスハラは違うのだ。
「クレーム」に起因してカスハラが行われるといえることから、一般的なクレームとカスハラの境界線は曖昧であり、なかなか線引きが難しく、見分けがつけにくいものである。

したがって、入り口での判断を見誤ってしまうと、適切な対応ができずトラブルを大きくしてしまうことになる。
したがって、しっかり見極めて見分けて対応することが必要になるのだ。               

ということで、一般的なクレームとカスハラは以下のように分けることができる。

〇 一般的なクレーム
サービスの改善に向けた要望、主張、期待などがクレームということになるだろう。

クレームの内容は、顧客の苦情、不満、文句などが中心だが、その根底にあるのは企業に対する期待感であり、サービスの改善に向けた希望や要望が含まれているといえ、話し合いを通じて問題の解決を図ることが可能である。企業・顧客の双方にとってプラスとなる建設的な関係性であり、適切な対応ができていれば、それ以上の大きなトラブルに発展しない。

〇 カスハラ(悪質なクレーム)
カスハラは、怒りに任せたいわば悪質な行為といえる。
「ただ困らせたい」「いじわるする」という負の意識が強く、そこにサービス改善への期待や希望というような要素はないのだ。
そのため、落ち着いた話し合いはおろか、建設的な関係性の構築も望めない。

もちろん相手のパーソナリティもあるが、中には「荒々しい言葉づかいだけど主張自体は正当」「直接的ではないものの、遠回しに要求をほのめかしてくる」といったケースもある。
また、「お前の会社を潰してやる!」といった脅迫まがいの態度や、「バカやろう土下座して謝れ!」というような暴言や威嚇を伴うものは、犯罪行為として警察に協力を求めることもできるような事案でもあり、明らかにカスハラであるといえよう。

法律に抵触しない限り判断が難しいが、従業員がこれらの行為によって精神的苦痛を覚えるようなら、それはカスハラとみなすことができるでしょう。

【ケースによる見分け方の例】

|企業としての対応を

カスハラを考える上で、忘れてはならないのは、クレーマーと直接向き合っているのは、企業ではなく主に売場担当者などの従業員そのものであるということ。

激しいカスハラを受けると過度なストレスで、精神や身体に支障をきたすこともあるのだ。

大切な従業員を守るため、企業は具体的な対処法を定め、事前に制度化して、社内で共有しておく必要がある。

カスハラ事案が起きたときの対処として、
・それが企業として謝罪の必要がある事案なのかの判断要領
・謝罪が必要な場合はどのようなかたちで行うのか
・どこで(場所)
・だれが対応するのか
・上司等への報告の流れ
・相談先は
・警察への協力要請基準
などをあらかじめマニュアル化しておくとよい。

どのようなクレームであれ、まずは真摯な姿勢で対応することが基本だが、前向きな対話が望めない不当な要求については、毅然とした態度を取ることも必要だ。

|おわりに

「クレームは企業を成長させる」ということを言っていた人がいたが、建設的なクレームは、確かに企業にとってもプラスになることが多いと思う。
しかし、カスハラは・・・。従業員等への暴言等により担当者の人格、尊厳が損なわれたり、精神的に追い込まれることにつながるのだ。

カスハラ対策のポイントは「対応の制度化」であるといえよう。
企業幹部は、従業員への「安全配慮義務」の観点から万全な対策を講じるよう取り組んでもらいたいですね。


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