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ゼビウス移植列伝・PC版全10機種紹介

かつてゲームの最前線はゲームセンターでした。その象徴たるゼビウスをパソコンに移植出来るのか?この命題に多くの機種のプログラマーが挑みました。ゼビウスはレトロパソコンにとってのベンチマークだったのです。今回はそんな各機種のプログラマーたちの執念の結晶を、広告と動画で紹介します。


❶1983年12月PC6001タイニーゼビウス


一番手は伝説のPC6001版タイニーゼビウス。天才中学生が生み出した「小さなゼビウス」はゼビウスへの憧れを最も端的にあらわした一例だと思います。

電波新聞社から発売された、ゼビウス移植の一番手。


ログイン1984年4月号。
83年11月にはPC6001mkII用にAC版に近づけた『タイニーゼビウスmkII』も発売。


正直かなり厳しい移植でしたが、当時はパピコン君の家で夢中になりました。

❷1983年6月PC8801版アルフォス

その半年前の83年6月、この難題に取り組んだのは天才森田和郎氏。「不可能を可能に」という彼の情熱がPC8801版ゼビウスのオマージュであるアルフォスを生み出しました。この作品は圧倒的支持を得ると共に「自分の機種でも可能かも」と挑戦するプログラマーが次々現れる起爆剤となったのでした。


エニックスより1983年6月に発売。ログイン1983年 11月号ではランキングトップに。


ログイン1983年 11月号の特集記事。ゲームフリーク時代の田尻智さんが執筆


田尻智さんの評価は結構辛口です😁


83年のソフトウェア大賞にも選ばれています。

❸1984年5月X1版ゼビウス

84年パソコン版ゼビウスの決定版と言われたのがX1版です。ジョイスティック付という満を持しての登場となりました。
電波新聞社の広告には「そして神秘をX1にプログラムしました」のコピーが。ライバル誌のログインも大絶賛の内容でした。その後の電波ブランドを支える藤岡忠氏の超絶テクニックが光ります。


1984年5月発売。基本的な内容はアーケード版に沿ったものになっており、地上絵やアンドアジェネシスの浮遊なども再現されてます。




ログイン1984年9月号では堂々の首位に。
まだPCゲームにアクションゲームが多かった時代です。

❹1984年11月FM-7版ゼビウス

厳しい移植になったのはFM7版。これはハード上仕方がない部分が大きいのですが、当時僕は悪友FM7君の家でやりまくった挙句「これならパピコンのタイニーゼビウスの方が出来がイイ」と暴言を吐き大喧嘩となったのでした。
バカですねー、愛機の悪口はご法度です😅


84年11月20日電波新聞社。 FM7版はキーボードが仕様上特殊で色々大変でした。


専用のスティックは人気で単体でも販売。というかFM7はこれがないとアクションゲームはまともにプレイできません🤣

❺85年9月PC80mkIISR・PC88・PC98

やや遅れて85年には8ビット御三家筆頭PC8801・主力16ビット機PC9801・古豪PC8001mkIISRとNEC系マシンにゼビウスが出そろいます。特に旧式機となっていたPC80版の完成度は素晴らしく、電波新聞社も大きく広告を出していますね。別記事では芸夢狂人さんがPC88版への移植の苦労を語っています。実はPC88とPC98のゼビウスはエニックスが発売してるんですよ。


1985年9月PC-8001mkIISR・電波新聞社。 見開きの気合の入った広告です。


1985年10月 (PC88)・11月 (PC98) ・エニックス


IO・1986年2月の芸夢狂人さんへのインタビュー。

❻1986年1月MZ2500版ゼビウス

ゼビウスがもはや「懐かしのゲーム」となっていた86年に突如発売されたのがMZ2500版。
パレットボードに対応という力の入れようで「スーパーMZここにあり」を強烈にアピールしました。


電波新聞社発売。ハードウェアによるスムーススクロール、4,096中16色のパレットボードに対応し、データ圧縮によるオンメモリでの動作を実現した作品。

❼1987年6月X68K版ゼビウス

87年のX68K版ゼビウスは「どうせ完全移植でしょ」とあまり関心を持たれませんでした。しかしツイッターなどでのユーザーさんの評価は芳しくありません。僕も動画を見てみたのですが、微妙にヒット音のSEが違うなどちょっと違和感がありました。マシンスペックだけが移植度に直結しない一つの好例だと思います。


1987年6月25日X68000版、電波新聞社。X1君の家でプレイしたはずなんですが記憶にないです😅X68Kは完全移植が当たり前という意識があったのかも。

❽88年12月MSX2版ファードラウト伝説

そしてゼビウスが伝説としての地位を確立していた1988年末、ゼビウス・ファードラウト伝説としてMSX2に蘇ります。初代『ゼビウス』を再現した「RECON」モードと、全ての面でパワーアップした新作「SCRAMBLE」モードが用意されていました。
このバージョンには思い入れがあるのでまた改めて投稿しますね。


MSX2版1988年12月23日発売。開発はコンパイル。
ゼビウスのMSX移植には色々と紆余曲折があったんですよ。

❾ベーマガ掲載のゼビウス移植特集

ベーマガに掲載されたゼビウス移植の記事




素晴しいまとめ動画がありました。

パソコン少年は自分の愛機にゼビウスが移植されるか一喜一憂していました。ゼビウスは多くのパソコン少年の夢と憧れを乗せた、特別なゲームだったのだと思います。それ故、それぞれのゼビウスにはプログラマーからのメッセージが込められていたように思うのです。


僕の所有のゼビウスです😊

言うまでもなくゼビウスはゲームの歴史において革命的だった特別なタイトルです。この素晴らしいゲームを届けてくれた遠藤雅伸氏に心より心より感謝し、この項を終わりたいと思います。
                       
                       サイボーグMSX


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