素晴らしいSF作品の宝石箱「まるで渡り鳥のように」
<SF(222歩目)>
藤井さんの才能を満喫できる短篇集。色々なジャンルのSF作品の詰め合わせです。
まるで渡り鳥のように: 藤井太洋SF短編集 (創元日本SF叢書)
藤井 太洋 (著)
東京創元社
「222歩目」は、藤井太洋さんの高品質な短篇集。
藤井さんの作品の中で「現在の技術の近未来」のものは自分自身の仕事につながるところあり。
とても刺激的であり、開発者の「愛(Love)」を強く感じて大好きです。
この短篇集にもいくつかありますが、
「ヴァンテアン」
サラダ・コンピュータの発想が最高です。
あ~、こんな前向き思考な田奈橋さんみたいな人が増えると世の中の刺激が増えますね。最高です。
「おうむの夢と操り人形」
この作品は、よくあるスタートアップに必要な何でも屋の話ですが、「オウム返し」なる日本語の言葉が最新のITネタと「愛(Love)」で見事な作品になっている。
介護の世界も垣間見える。
「距離の嘘」
この作品集でもっとも考えさせられた。
今も隣国に侵攻している某国と、今は侵攻されていないがきな臭い某国の話。感染症対策に取り組む面々が、武力侵攻してくるご無体な国と紛争していた場合にどうなるのか?
非常によく考えられた作品で、今回一番考えさせられた。でも、藤井さんですから、必ずテクノロジーの先にはかすかであっても希望がある。
「読書家アリス」
AIエージェントが社会でアタリマエになった近未来の風景。
ここで「人間性」をどう判断するのか?
これもとても考えさせられた。
なんか10年後の世界をまさに見せてもらった気分。
そして上質な「宇宙SF」として
「まるで渡り鳥のように」
この作品は、宇宙SFのだいご味にあふれる作品ですが、読後感は素晴らしい文学作品を読んだ気分。「環境に適応する」とは?の一つの回答がある。
そして素晴らしい「愛(Love)」も。
「羽を震わせて言おう、ハロー!」
この作品は余韻が残って素晴らしいです。
あらゆる場所で生命は生まれ、最期を迎える。
この循環ですね。
「落下の果てに」
非常に短い作品ですが、無常と魂を感じる作品。
余韻残ります。
「祖母の龍」
奄美シリーズ。この作品の祖母・母・娘の関係だけに着目していたら、祖母が母に会えない理由に泣けた。涙腺突きました。
「海を流れる川の先」
奄美シリーズ。奄美シリーズは心を突く作品が多い。
それにしても、毎回どの作品にも引き込まれてしまう。
大ファンです。
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