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ロシア・東欧的な本

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私の主観なのですが、ロシア・東欧的な本を集めました。
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#小説

大切な「家族」を考える「ポトゥダニ川」

<文学(19歩目)> アンドレイ・プラトーノフさんの短篇から、「家族」を考える。 ポトゥ…

16

戦争により、国境線が書き換えられるとは「西欧の東」

<文学(234歩目)> 東欧のブルガリアから、国境線が常に書き換えられる世界の意味を問う…

5

圧倒的な恐怖小説「紅の笑み・七人の死刑囚」

<文学(233歩目)> 二作品ともに、今までの読書履歴の中でも最大のインパクト。「恐怖」…

5

ピュアな文体で理不尽を描く「その子どもはなぜ、おかゆのなかで煮えているのか」

<文学(228歩目)> この物語はピュアだから、とても心に切り込む言葉がある。 その子ど…

読書ノーツ
2週間前
20

チェコからの幻想文学の贈り物「もうひとつの街」

<文学(222歩目)> SFテイストの上質な幻想文学。しばし時を忘れてしまいました。 も…

読書ノーツ
3週間前
22

重く心に刺さる自由がない世界「クルーゾー」

<文学(220歩目)> 東ドイツという、今は存在しない国の本質。 クルーゾー ルッツ・ザイ…

読書ノーツ
1か月前
16

読み応えありな不条理物語「ペンギンの憂鬱」

<文学(218歩目)> イイ感じに風刺が効いた不条理劇。 ペンギンの憂鬱 アンドレイ・クルコフ (著), 沼野 恭子 (翻訳) 新潮社 「218歩目」はアンドレイ・クルコフさんの短篇集。 生来ペンギンって、集団で生きる動物で、いつもみんなそろって行動するでしょう。一羽だけコロニーから出して別の島に移すと、そいつはどうしたらいいかわからなくなって、途方に暮れてしまう。この点が、私の小説に出てくる登場人物、ソ連時代を生きた人間にそっくりなんです。 ペンギンのミーシャは、囚

カバーがとてもお洒落で、文章は暖かい「五月の雪」

<文学(207歩目)> 想定以上に素晴らしい作品の詰め合わせ。 酷寒であっても、あたたかい…

読書ノーツ
2か月前
15

死んだ者だけが降りることができる「寝台特急黄色い矢」

<文学(203歩目)> 文体についていけるか?最初の20ページ程度が合うか合わないか。 …

読書ノーツ
2か月前
8

故郷喪失者の視点は他人事ではない「ブルーノの問題」

<文学(201歩目)> サラエヴォから遠く離れ、そしてつながっている。生得の言語ではない…

読書ノーツ
2か月前
4

いずれも異様な人間が登場する「出身国」

<文学(196歩目)> ちょっと他にない短篇集で、小説の底力を感じました。おそらくテクニ…

読書ノーツ
2か月前
13

極めて良質な現代ロシアの短篇集「はじめに財布が消えた」

<文学(193歩目)> 「ロシア文学翻訳グループ クーチカ」による現代ロシア文学の短篇集…

読書ノーツ
2か月前
16

読めてよかった「文化の脱走兵」、「理不尽ゲーム」「赤い十字」「手紙」の背景を知る…

<文学(185歩目)> 「理不尽ゲーム」「赤い十字」「手紙」を読んだ時から、翻訳者の奈倉…

読書ノーツ
3か月前
19

独裁者が認知症を患ったら?「ウラジーミルPの老年時代」

<文学(175歩目)> とても笑える。そしてとても興味深い。でも、想像を広げていくとものすごいブラックな世界が見えてくる。「認知症」の不幸は本人だけに終わらない。 ウラジーミルPの老年時代 (世界浪曼派) マイケル・ホーニグ (著), 梅村 博昭 (翻訳) 共和国 「175歩目」は、イギリスのマイケル・ホーニグさんの作品。表題の通り、ロシアのP大統領が10年後くらいに、認知症を患ったら?にかかわるフィクションです。 徹底的な強権で「皇帝」と揶揄される人間でも、認知症を患