マガジンのカバー画像

ロシア・東欧的な本

66
私の主観なのですが、ロシア・東欧的な本を集めました。
運営しているクリエイター

記事一覧

固定された記事

大切な「家族」を考える「ポトゥダニ川」

<文学(19歩目)> アンドレイ・プラトーノフさんの短篇から、「家族」を考える。 ポトゥ…

16

不思議な三重帝国を想像しながら読み進める「エステルハージ博士の事件簿」

<SF(230歩目)> 不思議な短篇集。それぞれの作品よりも、全体を通しての「スキタイ=…

7

ピュアな文体で理不尽を描く「その子どもはなぜ、おかゆのなかで煮えているのか」

<文学(228歩目)> この物語はピュアだから、とても心に切り込む言葉がある。 その子ど…

読書ノーツ
10日前
20

チェコからの幻想文学の贈り物「もうひとつの街」

<文学(222歩目)> SFテイストの上質な幻想文学。しばし時を忘れてしまいました。 も…

読書ノーツ
3週間前
22

重く心に刺さる自由がない世界「クルーゾー」

<文学(220歩目)> 東ドイツという、今は存在しない国の本質。 クルーゾー ルッツ・ザイ…

読書ノーツ
4週間前
16

読み応えありな不条理物語「ペンギンの憂鬱」

<文学(218歩目)> イイ感じに風刺が効いた不条理劇。 ペンギンの憂鬱 アンドレイ・クル…

読書ノーツ
1か月前
8

カバーがとてもお洒落で、文章は暖かい「五月の雪」

<文学(207歩目)> 想定以上に素晴らしい作品の詰め合わせ。 酷寒であっても、あたたかい人間描写はもちろんできる。流刑地故の文化がとても興味深い(文化的に先進地域)短篇集です。 五月の雪 クセニヤ・メルニク (著), 小川 高義 (翻訳) 新潮社 「207歩目」は、クセニヤ・メルニクさんの短篇集。水準を大きく超えて良かったです。 旧ソ連時代の極東の酷寒の流刑地マガダン。ソ連は崩壊して、ロシアに。 でも、資源は豊富でも、生活は酷寒でキビシイ。 そんな地で生活する数奇な

死んだ者だけが降りることができる「寝台特急黄色い矢」

<文学(203歩目)> 文体についていけるか?最初の20ページ程度が合うか合わないか。 …

読書ノーツ
2か月前
8

故郷喪失者の視点は他人事ではない「ブルーノの問題」

<文学(201歩目)> サラエヴォから遠く離れ、そしてつながっている。生得の言語ではない…

読書ノーツ
2か月前
4

20世紀初頭のソヴィエト連邦の忘れられた、しかし興味深い作品「未来の回想」

<SF(197歩目)> もう95年前の作品。でも、現代のスタートアップの起業家と同じ苦し…

読書ノーツ
2か月前
11

まさに癖になる面白さ「眠らぬ人: ワグナー教授の発明」

<SF(196歩目)> アレクサンドル・ロマノヴィチ・ベリャーエフさんのSF作品は、「教…

読書ノーツ
2か月前
14

いずれも異様な人間が登場する「出身国」

<文学(196歩目)> ちょっと他にない短篇集で、小説の底力を感じました。おそらくテクニ…

読書ノーツ
2か月前
13

極めて良質な現代ロシアの短篇集「はじめに財布が消えた」

<文学(193歩目)> 「ロシア文学翻訳グループ クーチカ」による現代ロシア文学の短篇集…

読書ノーツ
2か月前
16

読めてよかった「文化の脱走兵」、「理不尽ゲーム」「赤い十字」「手紙」の背景を知ることできました

<文学(185歩目)> 「理不尽ゲーム」「赤い十字」「手紙」を読んだ時から、翻訳者の奈倉有理さんが翻訳に取り組まれる時に感じたことが知りたかった。 読めてとてもよかったです。 文化の脱走兵 奈倉 有里 (著) 講談社 「185歩目」は、翻訳者の奈倉有理さんのエッセイ。 「留学中のガリーナ先生の、「〇〇人」でないところに、その人の本質がある。」との見方。とても同意できる。 「留学中の同部屋の友人の恋人から、好きなものが同じだと顔が似てくる」との見方にも、とても同意できる