M-1グランプリ 2021 感想

年末の風物詩が終わって一か月。遅ればせながら。関連番組や石田教授の解説など、一通り観た後での感想なのでネタ以外の予備知識含んでます。お笑い論とかそういうのは全く分からない勢の個人の気持ちです。

1.　モグライダー
せり上がりのともしげさんの表情にこちらも心拍数がぶち上がり、冒頭で舌足らずに美川さんをdisった時ああダメかも…と思った私が浅はかでした。段階的なボケに颯爽としたツッコミが脳内に滑らかに入ってくる。そうよ私は～♬のお茶目な合唱からグーパンチへの流れるような芝さんの動きも素晴らしかった。声出してわろた。トップバッター歴代最高得点も納得しかない。

2.　ランジャタイ
体内でニャンちゃんが暴れているのが見えた凄まじい形態模写でした。初見の私には奇天烈すぎてほぼ笑ってないんですが(ごめん)、えみちゃんを気絶させたり富澤さんに一喝されたり暫定ボックスで爪痕を残しまくったり、終わってみれば希望だらけの二人。すき。「是非Ｍ-1で最下位に沈んでくれ」とファンから祈られていたと知った途端さらに愛おしくなった。

3.　ゆにばーす
面白かったし掴みも好き。センシティブな部分もあったけど媚びずに自信のあるネタを貫いた気概がカッコいい。ランジャタイ直後の焼け野原もなんのその、とても完成度が高い漫才だなと思った。Ｍ-1に心血を注ぐ川瀬名人の冷静と情熱の間な表情と、腕を上げたはらちゃんという一見ポジティブな要素が大会にハマらなかったのだとしたら今後どう攻めればいいんだろ…

4.　ハライチ
人気投票の勝利でないにせよネタ時間の大幅オーバーは運営の課題では。時間が長い分ウケる機会が増えるだろうし不公平感は残る。我流を通すのはどのコンビもそうなんだろうけど「やりたかった」という岩井さんの狂気キャラ、長尺使って展開しないボケをひたすら延ばしただけに見えた。スピッツＴシャツは最高だったし、ともあれ去り際の岩井さんは瑞々しかった。

5.　真空ジェシカ
出場コンビでは最も声量が低く、M-1という大会において勢いに乗るにはそこが難しそうだけど緻密に組まれたボケの着想が上手すぎて何度も唸った。教養がダダ洩れるボケ。言うとしたら僕～！も好き。余談ですがアナザーストーリーで川北さんが「モグさん、錦さん、ランジャさん」って正規呼びしてなかったのが気になった。えっ山城新伍なの？梅宮の辰っちゃん的な？

6.　オズワルド
優勝トロフィーに片手伸ばす二人が見えたぐらい、これはいったなー！と思った一本目。直すとこないんちゃう？と言い放った巨人師匠に異論ないです。独特のシュールな世界観、テンポ、きめ細かいワードすべてが圧巻だったし冒頭の畠中さんの「なにがなにがなにが？！」が妙にツボだった。素で友達ゼロのサイコに見えてくる演技力たるや。会場を一気に温めたで賞。

7.　ロングコートダディ
一番面白かった。中毒性がすごい。「同期も引くほど天才」と評される堂前さんの脚本や、肉うどん＆二文字タイムというキラーボケに加え「嫌なんですけど～」とトボトボ設定窓口に行ったり鉄アレイを哀れむ兎さんの一挙一動と感情表現に心くすぐられる。センターマイクも私は気にならなかった。めっちゃ強いコンビだな。鳥貴族で二人に挟まれてハイボール飲みたい。

8.　錦鯉
お年のせいか見た目のせいかまさのりさんが心身共にリアルに不健康な人に見えてしまい、バッチバチに叩かれるたび痛そうすぎてボケよりそっちが気になってテンションが文字通り頭打ちに。でもネタ自体はとても分かりやすく、優勝が決まった時の抱擁や涙にはこれまでの二人の苦労が滲んでいて素直に感動した。「ぼっ、僕はァ……ラストイヤーが56歳でぇ…」が最高。

9.　インディアンス
年々円熟味を増しててすごい。速すぎて聞き取れないところがあって早い段階で置いてけぼりになり、その後も高速回転ボケに胸焼けしてしまったのは私の不徳の致すところ。脱線漫才がゆえに観終わった後「何のネタだったっけ？」って感じで印象に残らないというか、今も決勝ネタ動画を観漁ってるけどインディアンスのは鑑賞意欲が沸かずにいる。田渕さんは善人。

10.　もも
結成４年目で決勝５位というとんでもない精鋭。見た目と発言のギャップに触れ、ひたすらお互いを「〇〇顔」とイジり倒すそのワードセンスがいちいち共感しかなくて、場のボルテージも尻上がりという理想形だったのでは。初出場で初優勝のミルクボーイと違いそのシステムがお茶の間に広がってしまった今、二人の漫才がどう更新されているのかとても楽しみ。

おわりに
友人とLINEで実況してたけど最終決戦はどのコンビも不発だったので「もう肉うどんが優勝やろ」という意見で一致した。

スタート直後は私自身も毎度緊張感が解けてなくて一組目で爆笑したことがなかったけど、その我が歴史をひっくり返したモグライダーにシャンパンでも抜きたいぐらい。芝さんの平場力にも平伏。

ロングコートダディ堂前さんには次元の違うマルチな人間力を感じた。敗者復活のMVPは完全に金属バット友保さんでしょう。「国民だるいっすわ～」が切なくも美しかった。

錦鯉の「おバカに全振りした最年長優勝」というドラマも2021年大会を一層輝かせた。改めて本当におめでとうございます！
ファイナリストと審査員の皆様、全運営スタッフや関係者の方々。素敵な大会をありがとうございました＆お疲れ様でした！はーァ楽しかった。