犬君の超訳「源氏物語」 第24巻「胡蝶」
犬君アタマの超訳源氏!第24巻「胡蝶」UP!第54巻「夢浮橋」まで完走なるか…to be continued
第24巻「胡蝶」
玉鬘物語「つるくさ つるくさ」 作:犬君アタマ
それは、わたくしが四歳の夏のことでした。乳母が、母君と侍女の右近の姿が煙のように消えてしまったと申すのです。幼いながらも、とても心細く悲しい気持ちになったことを覚えています。乳母は方々手をつくして探してくれたのですが、とうとう行方はわかりませんでした。
そうこうするうちに、乳母の夫が大宰の少弐になって九州に下ることになり、幼いわたくしも乳母と一緒に九州に旅立ちました。
わたくしが二十歳になった頃、とんでもなく失礼な田舎人との縁談が舞い込みました。わたくしは母君と高貴な父君の間に生まれた姫なので、身分にふさわしい縁談をと望む乳母に連れられ、京の都に上ることになりました。
九州からは早船に乗りましたが、初瀬の長谷寺への願掛けのお参りは歩いて行くことになりました。歩くということは、とてもつらいことでしたが、つらいことを選んでお参りした方が、ご利益があるという乳母の言葉に従いました。その甲斐があったのでしょう。行方知れずだった侍女の右近に巡り逢うことができました。そして、母君はあの夏の日に儚くなられたと右近から聞きました。幼い心に残る母君の面影は、垣にからまる夕顔の白い花ばかり。わたくしのわずかな望みも絶たれてしまいました。
そののち、右近の手引きで源氏の君のお世話を受けることになりました。わたくしの父君は内大臣でいらっしゃるそうです。なぜ、ほんとうの父君にわたくしを委ねることができないのでしょう。よくわかりません。父親として後見をしますとおっしゃりながら、わたくしに言い寄られる源氏の君のことを思うと、気が滅入る日々です。
ああ、わたくしの人生いつも崖っぷち……。
犬君「船越さ~ん、出番だよ~🎬」