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ほぼ地球サイズ!土星の衛星エンケラドスで巨大な水蒸気の噴出を確認。地球外生命探査の最前線「オーシャンワールド」に迫る!

NASA(アメリカ航空宇宙局)は5月31日、NASAの研究チームが、土星の衛星エンケラドスからの巨大な水蒸気の噴出を確認したと発表しました。その大きさは約1万キロメートル。地球の大きさが12742kmほどですから、ほぼ地球の大きさに匹敵します。

今回は、このエンケラドスで確認された巨大な水蒸気の噴出について、太陽系内における地球外生命探査の最新動向を絡めながら、解りやすく解説していきたいと思います!


今回確認された巨大な水蒸気の噴出はどんなもの?


今回確認されたエンケラドスからの巨大な水蒸気の噴出の画像。画像提供:NASA

エンケラドスは土星の衛星の1つです。その大きさは500kmほどになります。

今回、確認されたこのエンケラドスからの巨大な水蒸気の噴出はウェッブ宇宙望遠鏡の観測データから明らかになりました。ウェッブ宇宙望遠鏡は2021年12月に打ち上げられたNASAが誇る最新鋭の宇宙望遠鏡です。

その大きさはほぼ1万km。地球の大きさが12742kmほどですから、ほぼ地球の大きさに匹敵します。

エンケラドス自体の約20倍。上掲の画像からその規模の巨大さがよく解りますね!

研究チームを率いたジェロニモ・ビジャヌエバさんは「最初にウェッブ宇宙望遠鏡のデータを見たときには我が目を疑いました。てっきり間違いだと思いましたね。エンケラドス自体の20倍の大きさの水蒸気の噴出なんて本当に驚きです!」と語っています。

噴出した水蒸気はどこからきたの?


エンケラドスから噴き出す水蒸気はプルームと呼ばれています。その大きさは300km~500kmほどにもなります。画像提供:NASA

エンケラドスからは今回確認された巨大な水蒸気の噴出以外にも南極にあるタイガーストライプと呼ばれる割れ目から盛んに水蒸気が噴出しています。このような水蒸気の噴出をプルームといいます。

NASAの土星探査機カッシーニの観測などから、プルームは、大きさが300km~500kmほどにもなり、水蒸気や氷の粒子の他に有機物などが含まれていることが解っています。

では、このようなプルームはどこからきているのでしょうか?

実はエンケラドスの内部には岩石のコアと氷の地殻の間に海が存在し、プルームはこの内部海に由来すると考えられています。

それでは、このような内部海はどのようなメカニズムで形成されるのでしょうか?

エンケラドスの軌道は楕円になっています。そのため、土星の周りを公転しながら、土星に近づいたり、離れたりしています。大きな楕円軌道を持つ彗星と太陽の関係と同じですね。

そして、土星の重力によって、土星に近づいたときには、大きく変形し、離れたときには、小さく変形します。こうして、形が変化することで、エンケラドスの内部では、摩擦によって、莫大な熱が発生します。これを潮汐加熱といいます。

この潮汐加熱によって、氷が溶かされ、内部海が形成されているというわけです。

エンケラドスの内部構造。岩石のコアと氷の地殻の間に内部海が存在しています。画像提供:NASA

なお、氷の地殻の厚さは20km~25km、その下の内部海の深さは10kmほどになると考えられています。

で、面白いのはここからです。

プルームには90℃ほどの熱水と岩石が化学的に相互作用して形成されたと考えられる岩石の粒が含まれていることが解っていますが、このことから、エンケラドスの内部海には、熱水活動が存在し熱水噴出孔が存在する可能性があることが指摘されています。

地球の生命が発生した有力な場所の1つとして深海の熱水噴出孔が考えられています。

もし、本当にエンケラドスの内部海の海底に熱水噴出孔が存在するならば、もしかしたらエンケラドスには生命が存在するかもしれませんね!

地球外生命探査の最前線、木星や土星の周囲に存在するオーシャンワールドとは?



NASAの木星探査機ガリレオが撮影した木星の衛星エウロパの画像。木星の衛星の中でもエウロパ、ガニメデ、カリストは内部海を持つと考えられています。画像提供:NASA

このように地下に内部海を持つ衛星は、エンケラドスの他にもいくつかあります。例えば、木星の衛星エウロパ、カリスト、ガニメデなどです。

いずれも木星や土星などによる潮汐加熱によって氷が溶け内部に海が形成されています。

木星や土星の周りには内部に海を持つ衛星群からなる「オーシャンワールド」が広がっているのです。

そして、今、このオーシャンワールドは地球外生命探査の最も熱い最前線になっています。

例えば、現在、ESA(ヨーロッパ宇宙機関)の木星氷惑星探査機ジュースが、2023年4月に打ち上げられ、木星に向かっています。2031年には、木星に到着し、エウロパ、カリスト、ガニメデの内部海を詳しく調べたり、生命探査(生命の存在可能性を示す指標バイオマーカーの探索)をおこなう予定です。

ESAが運用する木星氷惑星探査機ジュースの打ち上げの模様。4月14日に木星に向けて出発しました。画像提供:ESA

特にエウロパにはエンケラドスと同じように熱水噴出孔が存在する可能性が指摘されています。

何が見つかるか本当にワクワクしますね!

【翻訳元+参考URL】

■NASAの記事

https://www.nasa.gov/feature/goddard/2023/webb-maps-surprisingly-large-plume-jetting-from-saturn-s-moon-enceladus

https://www.nasa.gov/feature/jpl/powering-saturns-active-ocean-moon

https://www.nasa.gov/image-feature/jpl/pia20013/enceladus

■JAXAの記事

https://www.jaxa.jp/projects/files/youtube/juice/20230406/jaxa_doc-0406-01.pdf

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