器が小さい男はいつまでも恩をキセル!? #2
はじめに
これは、私が現役のサラリーマン時代に経験した実話である。
今回の主人公は、Tさん。
Tさんから学んだことも併せて紹介しよう。
最後までお付き合いいただけると嬉しいです。
Tさんとの出会い
時は、1988年4月。
会社の構造改革で事業場が統廃合され、新しい職場の上司になったTさん。
Tさんは当時は45歳で、役職は係長であった。
私は、25歳で勿論、平社員。
異なる風土の事業場が統合されたため、同じ職場になった当初は戸惑いがあった。
主人公のTさんは、残念ながら職人肌であり、マネジメントがあまり得意ではなかった。
オマケに、下請け業者と非常に仲良くしていた。
いわゆる、接待漬けで業者に金〇を握られていて、業務発注も100%その下請事業者であった。
Tさんの時代は4年続いたが、アメリカから1ランク上の役職のOさんが帰国し、係長になった。
従って、Tさんは担当主任に格下げになった。
かわいそうだが、ある意味自業自得である。
ここから、Tさんが仕事を全くしなった。
いや元々仕事をしていなかったが・・・。
Oさんは、10歳年上なので、39歳、Tさんは49歳、私は29歳であった。
それから、3年後の32歳で私が主任に昇格。
その1年後に、Oさんが管理職に昇格したので、私が33歳で係長になった。
実績評価のフィードバック
Tさんとの関係がこれである程度説明できたので、前置きはこれくらいにしよう。
時は、1999年5月。
実績評価は、上司と面談し、上司から直接本人に結果をフィードバックする。
評価が上がった社員にフィードバックをするときは、全く問題は無い。
しかし、評価が下がった社員との面談は憂鬱になる。
Tさんの評価は、残念ながら主任の中で最下位であった。
憂鬱のマックスである。
順番の評価は伝えないが、記号による評価を伝えるルールになっている。
Tさんの評価は「C」である。
この評価は、多面的な評価を導入すると共に、課長と各係長が部下全員の評価検討会を行う。
従って、私だけの評価で無いので、少しだけ安心である。
事件発生
面談の前まで、Tさんにどう話そうか悩んだ。
実際にTさんに実績評価をフィードバックした。
「Tさんの評価は、Cです。」
Tさんから、次の言葉を期待していた。
「わかりました。次から真面目に仕事をします。」
しかし、Tさんは顔色を変えて私にこう言った。
「おまえ、何でC評価なんだ!俺はお前の元の上司だ。それに、リストラの時にお前は若いからお前を庇って、リストラ候補に挙げなかったんだ。その恩を忘れたのか!」
想定外の言葉ではあったが、淡々とこう話を続けた。
「評価は多面的な評価です。あなたも係長をされていたのでご理解されていると思います。」
Tさんは、うつむいて聞いていた。
「もし、不服なら課長や人事に申し出てください。あなたが仕事をしていないのは、みんな知っていますよ。恥ずかしくありませんか?」
私も言いたくないことを言わざるを得なかった。
少し沈黙の後、Tさんは立ち上がってこう言った。
「この恩知らず!」
そして、最後に捨て台詞を言ってTさんは会議室を出て行った。
「今後は、お前の足を引っぱてやる。覚悟しておけ!」
これで、Tさんが数年前から仕事をしなっかたことや降格を根に持っていたことがはっきりした。
報告
面談結果を課長に報告が必要である。
面談でのTさんの発言を課長に報告した。
課長から助言があった。
「大変だったな。Tさんは昔からよく知っているから、日を改めて私から説明しておく。しかし、Hさんといい、Tさんといい若いから妬まれるな。部下を持ったら色々ある。逃げずに正々堂々としてろよ。」
「わかりました。明日らから少し憂鬱ですが、普通に接したいと思います。」
「頼むな。」
「はい。」
報告は終わった後に、仲が良い部下に今回のことを相談した。
部下には
「Tさんが、業務違反や変なことしないかよく監視するようにしよう。」
Tさんは、次の日は体調不良で休んだ。
翌週からは、数日は会話をしなかったが、それ以降は何もなかったかのように普通に接した。
しかし、いつ仕返しをされるかわからないので不安な日々は続いた。
業者との癒着
Tさんが、業者との癒着をしているか試す機会があったので紹介しよう。
暫くして、職場の統合があった。
派遣社員のSさんが私の部下に加わった。
Sさんは、契約終了が近づいていた。
当時、Tさんは、Sさんのことをよく思っていなかった。
その理由は、派遣社員ではありながら、Tさんより仕事ができるからである。
本音は、Sさんを社員にしてTさんを派遣にしたいくらいだ。
しかし、Sさんの希望で、契約を終することになった。
本音は残念である。
しかし、当分の間は秘密にしていた。
ある日にこと。
Tさんから、「Sさんは契約終了になるのか?」と聞かれた。
私から「本人の希望で、もう1年継続すると思います。」と嘘を答えた。
それから、年末の挨拶で下請け業者の専務のKさんが来られた。
Kさんから、次のような話があった。
「Sさんは、もう1年継続されるそうですね。御社には優秀な社員が多いので、契約終了してはどうですか?」
この話をしたので、Tさんだけだ。
やはり、Tさんは下請け業者と深く付き合ってい事が証明された。
月に何度か、接待ゴルフに行っているようだ。
その当時、未だ業者との接待は完全に禁止ではなかったが、これ以上一緒に仕事はできない旨を課長に相談した。
Tさんは、その年の4月に他の職場に異動してもらった。
それ以降、お付き合いはしていない。
学びがくれた新たな気づき
以上の経験から二つの事を実践している。
①業者との癒着を確認する方法は、異なる情報を流すことである
②元上司が部下になったら要注意、抵抗勢力なら異動してもらう
おわりに
器の小さい男は、被害者意識が普通の人より高い!
器の小さい男は、人にしてやった恩をいつまでも忘れない!!
器の小さい男は、自分が受けた恩はすぐに忘れる!!!
器の小さい男は、業者癒着を堂々とする!!!!
器の小さい男は、女性のヤキモチより怖い!!!!!
最後まで、お付き合いいただきありがとうございました。