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出雲大社へ還暦旅行     感動を共有できる幸せ




今回は小学校からの同級生との「出雲旅」の話である。お互い還暦でいわゆる「還暦のお祝い」のような旅である。


彼はどちらかというと物静かでおっとりしていて、そこがなんとなく居心地が良い。お互いたまーに飲み会で会うぐらいでそれ以上は深い付き合いはない。ベッタリでもなく疎遠でもない。
50年以上も付き合いが続いている理由はその辺りかもしれない。



千歳空港が待ち合わせ場所。待ち合わせ時刻の7時に彼は現れた。少し寝ぼけた顔をしている。お互い初の道外二人旅である。


千歳空港


いよいよ出発


天気はまあまあ



8時のJALのフライトで羽田を経由して11時40分出雲空港に到着した。


出雲空港は千歳空港と比べると少しレトロな雰囲気を感じた。

出雲空港



空港の外に出ると急に額から汗がぼたぼた流れ落ちてきた。ぐんぐん気温は上昇しているようで30度はすでに超えているようである。


空港近くのバスに乗り込み、出雲大社に向かう。

出雲へ向かうバス車内



北海道とは明らかに異なる車窓。瓦の屋根、曲がりくねった細い道、昔話に出てきそうな田畑の風景を遠目で見ながらバスに揺られる。


お昼過ぎ出雲大社に到着。
嗚呼、ここがどうしても来たかった神話の地出雲。その空間に今立っている。



時間はお昼過ぎ。そろそろお腹が空いてきたので友人と「みちくさ」という出雲そばのお店に入ることにした。


みちくさ



暖簾を潜り抜け奥の小上がりに座る。

熱った体にひんやりとした冷房が心地良い。

王道の郷土料理の出雲そばと出雲発祥の地と言われるぜんざいのセットを注文。
出雲そばは、岩手県、長野県と並ぶ日本三大そばの一つ。
出雲では昔から重箱のことを割子と言っていたらしい。江戸時代にはお弁当に用いられていたが四角だと洗いづらいということで丸くなった様である。



そばの喉ごしがよく、あっという間に食べた。

店内
割子そばとぜんざいセット
割子そば



店を出て、観光客の流れのままに着いていくと、竹内まりやの身内が営んでいる旅館「竹野屋」があった。出雲大社から数分で行ける場所にある。

竹野屋
竹野屋の正面玄関



目的の出雲大社向かって友人と歩く。

お!いよいよ見えてきた。

正門前には「勢溜鳥居」と出雲大社と書かれた石碑があった。

出雲大社正門前



階段を登り振り返ると正反対の通り神門通りが一直線に伸びている。その向こうに白塗りの大鳥居が眼下に横たわっていた。「宇が橋の大鳥居」である。その巨大さに圧倒された。

宇が橋の大鳥居



再び出雲大社の方に振り返りいよいよ正面から入ることにした。「勢溜鳥居」を潜り抜け境内の中に入っていく。



深緑の中を少し歩き「中の鳥居」を潜り抜ける。

中の鳥居

しばらく松の参道を歩くとその右手に大国主大神の像いわゆるムスビのご神像が現れた。その傍にうさぎの像が佇んでいた。伝説では大国主大神が困っていたうさぎを助けたらしい。うさぎは免るという漢字に似ていて、悪運から免れるという言い伝えがあるようである。境内に46匹のうさぎの象があるらしい。


やがて「銅鳥居」を通過し行事等が行われる出雲大社拝殿に到着。お守りを買って御朱印帳に記入してもらう。

銅鳥居
出雲大社拝殿



振り返ると目の前に大国主大神の鎮まる国宝「御本殿」が佇んでいた。八足門の前で大国主大神に手を合わせる。古代神話のふるさと出雲の地のその心臓部である。
神聖な風が全身を通り抜けた様な感じがした。

出雲大社御本殿


ガイドブックを見ると御本殿の周囲を左回りに回るようだ。まず出くわしたのは「東十九社」という建物だ。ここは、旧暦の10月に全国から出雲に集まる神々の宿舎だそうである。

東十九社



そしてさらに左回りに進む。「素がの社」に来た。出雲山麓に鎮座し、御本殿真裏にあたり、境内屈指のパワースポットと言われている。

素がの社


さらに前に進み角を曲がる。ここからの本殿の風景が一番カッコいいかも。シャッターを切りまくる。

本殿裏


前に進み門を右に曲がると「神楽殿」に到着した。長さ13.6mの注連縄が上から見下ろしていた。迫力満点の日本最大の注連縄である。

神楽殿
注連縄



帰り道の途中、宝物殿に入る。

古事記によると古代出雲大社は巨大な神殿だったらしくその高さは48メートルもあったという。
その神殿の柱の痕跡らしきものが最近見つかった。直径が3メートルの巨大な柱の根本が境内敷地内から発見され、それを拝観することができた。


次に古代出雲歴史博物館に寄り出雲大社、出雲地方の歴史を学んだ。


出雲大社敷地内を出た。


次は本日の最後の訪問地「稲佐の浜」に行くことにする。出雲阿国の道という神様達が通る道を歩いてみる。全国から神様が旧暦の10月(神奈月)に集まり、人と人との縁を相談会議するらしい。まずは神々は稲佐の浜に集まり、出雲大社を訪れ最後は万九千神社に寄り全国各地に戻るらしい。

出雲阿国の路地




神様の歩く出雲阿国の道を友人とひたすら20分くらい歩く。汗が滴り落ちる。

向こう方に海が見えてきた。


稲佐の浜


夕方の稲佐の浜と弁天島





稲佐の浜を少し歩く。海の向こう側はユーラシア大陸。古代はこの辺を拠点に大陸との交易が行われていたんだろう。

砂浜を歩く。


渚に弁天島が見えてきた。この辺りも出雲パワースポットの一つ。だんだん陽が落ちていく。空が朱色に変化していく。日没とともに茜色に変わり稲佐の浜が幻想的な雰囲気に包まれる。今まで見たことない神々しい茜色の夕暮れ空の下で、時間を忘れて佇んでいた。

茜色に染まる弁天島



7時を過ぎたろうか、ふと我に返る。近くの道路まで歩き友人とタクシーを捕まえる。とりあえずツインリーブスホテルまで行ってもらった。

ツインリーブスホテル



荷物を部屋に置いて近くの居酒屋に行く。友人とコの字型のカウンターに座る。ビールで乾杯する。今日の疲労感が心地よい疲れに変わっていった。ホテルに帰り深い眠りにつく。




翌朝、カメラの準備をしている自分がいた。友人と部屋は別なので気兼ねなく準備をした。タクシーに乗り込み再度出雲大社へ向かった。朝の幻想的な出雲大社が見たかった。


早朝のタクシーの車窓から見る出雲の風景は、さらに神話の地の鼓動と香りを強く感じた。古来の日本の文化が中心地であった様相がそこに見ることができた。

出雲大社に到着。静けさの中に荘厳な境内が佇んでいる。昨日その大きさに感動した宇賀がの橋の大鳥居から歩いてみる。空は薄暗く白い巨大な鳥居が不気味であった。10分くらい歩き出雲大社の境内に到着。
さらに奥へ進む。
「ジャリジャリ」小石を踏む音だけがあたりにこだまする。
御本殿を一周しながらシャッターを夢中で押す。朝の少し寒い空気感が漂っていて、日中とは明らかに違う空気を感じた。

出雲大社入り口
出雲大社本殿裏
神楽殿



最後に神楽殿で写真を撮り境内を後にした。
ホテルに帰り友人と朝食を取る。
バスに乗り込み出雲空港を12時25分出発。



羽田経由で千歳には夜の8時に着いた。

時間があれば宍道湖や松江城、足立美術館も見たかった。
友人の、仕事に合わせたので残念だがどうしても一泊しか叶わなかった旅であった。
しかし、友人と二人で旅することにより、一人旅では味わえなかった感動の共有や一体感が生まれ、とても有意義で、楽しい旅になった。


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