詩「サウンド」
耳の奥深くで鳴らし続けていた音
暗い闇の中で救いみたいに光ってた
時間の流れに寄り添うから
手の隙間から零れ落ちてく
その感覚が心地良くて
何度も何度も
子供みたいに繰り返した
私が知っている海の色よりも深くて
夕闇よりも澄んでいた
音符の連なりは完熟したサワーポメロの飛沫
甘くて酸っぱくて
どこか切ない
意識を失いたくないから
アルコールはいらない
このサウンドの波に酔っていたい
繰り返される旋律に誘われて
手を伸ばす
私は何が欲しかったのか
今になるとよく分からない
この
拙くて不自由な私を変えて欲しかったのか?
紫色の光の中で
目を凝らす
そういえば
あなたにも私にも羽根は無かった
出来損ないの細胞分裂
ぬるくなったお腹の底で
重低音が響き渡っていた