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【続いてる写経 773日め】〜映画で描かれた「忖度」
ソ連時代に隠蔽された住民虐殺事件を描いたロシア映画、『親愛なる同志たちへ』の感想、続き。
この映画の中でショッキングだったのは、
上からの「命令」が絶対
良心よりも、人命よりも、何よりも、「命令」が優先
そこに疑問や私情はない
ってことでした。
命令に反くことは、自身の破滅に繋がるからです。
市民を守るはずの軍隊も、上からの命令だから撃ったのです。
党本部は絶対的な権力を握り、命令に叛いたものを簡単に排除することが可能なのです。
逆らえば、投獄、処刑、僻地への流刑・・
陰惨な人生に転落してしまいます。
無差別発砲事件への隠蔽工作には、ぞっとしました。。
・怪我人が運び込まれた病院
↓
・職員1人ずつに秘密保持誓約書を書かせ、口封じ
・広場で流された血痕が、水では消えない
↓
・上からアスファルトを敷いて隠す
・発砲で死んだ人々の遺体の処理
↓
・郊外に密かに運び、墓地に紛れさせて埋める
極め付けは、
・事件後の雰囲気を払拭するため
↓
・広場でダンスパーティを開催・・・
主人公リューダとKGBの男性が、郊外に出てリューダの娘を探したのち、街に戻ると、そこでダンスパーティーが開かれていたのでした。
その時のセリフが、
танец(ダンス??)
信じられない?!と困惑と絶望の思いで発せられてました、、
(これははっきり聞き取れた、、)
これがわずか2日の間に行われたことなのです・・
実行力凄すぎでしょ、、血が流れた場所を塗り固めてダンス、する?
恐ろしい。。
完全に人としての良心が失われています。
これがソ連時代に実際に行われたことだったのです。。
共産主義政権下に生きた人々は、共産政権が崩壊した後も、早々自由な発言や行動することはできなかったのではないでしょうか。
ソ連時代の思想と行動の制約が、今のロシア国民の根底にあるとしたら、やっぱり独裁的なリーダーの決断にNOということは難しいのではないか、と思えてきます。
世論調査をやったら、「支持する」にしておかないと、誰に刺されるかわかりませんもの・・
最後に気になったこと。
なぜKGBの男性ヴィクトルが、主人公リューダを救う存在として描かれたのか?
ちょっとこの点がワタシの中では流れとして唐突だったんですね。
軍隊よりも非情な、血も涙もないKGB、ではないのかしら?と。
劇場の入り口に並べられた、佐藤優さんの映画評を見て納得しました。
「元KGB中堅将校だったプーチンを意識して、良心的インテリジェンスオフィサーヴィクトルが描かれているように思えてならない」
この事件を映画にするために、そんな忖度が必要だったのか・・?
ありうるな。。と。